まんぷく (第83回・2019/1/10) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式サイト)
第15週『後悔してるんですか?』の
『第83回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
萬平さんから毎晩、万能調理器の開発を手伝っていることを打ち明けられる福ちゃん。そして町工場で萬平さんのいきいきした姿をのぞき見て、萬平さんが本当は物作りをしたいけど、我慢して信用組合の理事長を続けているのではと考えてしまいます。萬平さんの町工場への入れ込み方に、信用組合のメンバーも戸惑っていると、資金援助を受ける母店の梅田銀行から連絡が…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンでの強引なナレーションに違和感…
アバンタイトルで、織田島製作所で職人たちと万能調理器の開発に携わる萬平を見て動揺した福子のカットに、「あんな生き生きとした萬平さんを見たのは何年振りでしょう。福ちゃんは 複雑な思いを抱いていました」と言うナレーションが被さっていたが、ナレーションに問われても困る。
何せ、視聴者には釈放されてからの萬平の 8年間がどうだったのか見せられていないのだから。福子の複雑な思いだって、かなりの好意的な脳内補完をしているから、今週のサブタイトル『後悔してるんですか?』に帰着すると思うだけであって、正直、福子は不審者のようにヒロインのお約束の “覗き見” をしただけなのだ。何を大袈裟にアバンで描くのか…と言いたい。
真一が職場で福子を心配し萬平に聞くのもどうかと思う…
主題歌明けの萬平の一言も気になった。毎日定時で退社し織田島製作所の手伝いをしている事実を、福子が知ってどう思っているのかを、最初に真一が萬平に聞くのもどうかと思うが…
その反応として萬平が定時に退社しているのに帰宅しないことについて「浮気じゃなくて よかった」を言ったと言うのもよーく考えれば変だし(実際に真一もスルーしている)、町工場を手伝うことについては「それは別に構わないと」と言っていると描かれた。
一体いつまで、福子は自分の考えや思いを発しないのか!?
これ、間違ってやしないか。本作で描くべきは、主人公でありヒロインが苦悩と葛藤を経て結論を出すところ、要は自分自身の意見を述べる映像だ。アバンで何となく “悩んでいる風” の表情のあとは、萬平の台詞で済ませたのは、やはり間違いだ。
だって、それでなくても最近の朝ドラの主人公の中でもトップクラスで、福子は自分の考えや思いを発しない。思い起こせば、最初に萬平が逮捕された時と、たちばな塩業時代に社員向けの慰労会を企画した時と、ダネイホンの原材料をワカメから昆布に変えたらとアドバイスした時くらいだ。
だから、ここはしっかりといつもの寝床のシーンで良いから、福子の口から言わせるべきだった。それをしないから、いつまで経っても「急に金回りが良くなった理事長の妻」しか役目が無いのだ。
喫茶店と信用組合の場面の順番を逆にしたら良かったのに…
そして、喫茶店での福子と世良の場面。これも、私に言わせれば、構成がおかしい…と言うことになる。このシーンはアバンの直後、今回で言えば主題歌明けに接続するべきだったと思う。世良にあれこれ言われても、福子は「それは別に構わない」との結論を出した…として、先の萬平と真一のシーンに直結したら、福子の存在感が際立ったのだ。
その順番を逆にしてしまったから、世良の「あれは萬平君の趣味やと思え」との考えが、分かり易過ぎる安っぽいフラグになってしまったし、「パーラー白薔薇」のしのぶ(牧瀬里穂)の “福子アゲ” にも、加藤雅也さんの無駄遣いにも、うんざりしてしまうのだ。
福子以外の女性たちは、みんな自分の意見を口にするのだ!
8分過ぎ、定時過ぎには理事長不在なのは十分知っているはずの真一が、午後5時2分に理事長室にやって来た(苦笑)。
そして、前回に続いて萬平の秘書・望月綾(玄理(ひょんり))が登場。秘書の綾は理事長の言動を心配している胸の内を真一に話した。この場面の直前では、香田家で鈴と克子とタカがこの度の萬平の言動について自分の意見を述べていた。
そう、福子以外の女性キャラたちは、みんな自分の意見を口にするのだ。今回は登場しなかったが、亡くなった「咲姉の幽霊」ですら、自分の意見で生きている人を動かしてしまう…これが、本作なのだ。
物言わぬ福子の内面を "安藤サクラ" の存在感と演技に頼り過ぎ
そして、本作がいけないのは、物言わぬヒロインの心の中を、「安藤サクラ」と言う女優の存在感と演技に依存しっ放しな点だ。既に、当blogでは、目付きが怖いなどと演技について言及しているが、もはや安藤サクラさんに委ねて済む状態ではないのだ。
確かに「急に金回りが良くなった理事長の妻」は良くも悪くも上手に演じてはいる。しかし、夫を支える妻、夫の二人三脚の妻を演じ見せているとは、残念ながら言い難い。かと言って、夫は夫、私は私と言った自立した女性にも映っていない。一体、本作は結婚して「立花福子」となった主人公に何をさせたいのだろう…
「みかんのふさ」のくだりは、おかしなことばかり…
9分過ぎの「みかんのふさ」のくだりについては、なぜあんなエピソードに2分間もの尺を割いたのか全く理解出来ない。
かなり鈴が丁寧に話し始めたから、兄妹仲良しの秘訣に繋がる教訓でも出て来るのかとか、今日くらいは家族に心配させないと萬平が帰宅して「みかんのふさ」のくだりで、万能調理器のミキサーの歯のアイデアを閃くとか期待したのだが、何もなく、ただの「鈴ばあちゃんの知恵袋」で終了。
でも、それもおかしいのだ。福子は「そんなん聞いたことない」と言っていたからだ。あのお喋り鈴が、これまでに福子に話していないと言うのがおかし過ぎるのだ。
これまでの「視聴者代表の鈴」なら、「昨日、お隣さんに聞いたのよ」とか「今日の朝刊に載ってたの」と自慢するはず。それが「脚本家の手先」になったから、ただの時間繋ぎになった。やはり、ドラマ的に破綻しつつあるように思う…
あとがき
あれだけ「みかん」を描いた割に、「みかん」を持って来てくれた人が描かれず仕舞いで終わったのも、どうかと思います。8年間も豪邸に住んでいるのですから、ご近所付き合いもあるはずですよね。それに、ご近所付き合いをこれでもかって描くのも朝ドラなのでは?
いずれにしても、福子が何に悩んでいるのか全く見えずに終わりました。いっそ、萬平を主人公に仕立て直した方が楽しいかも知れません…
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【これまでの感想】
第1週『結婚はまだまだ先!』
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第2週『…会いません、今は』
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第3週『そんなん絶対ウソ!』
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第4週『私がみつけます!』
19 20 21 22 23 24
第5週『信じるんです!』
25 26 27 28 29 30
第6週『お塩を作るんですか!?』
31 32 33 34 35 36
第7週『私がなんとかします!』
37 38 39 40 41 42
第8週『新しい冒険!?』
43 44 45 46 47 48
第9週『違うわ、萬平さん』
49 50 51 52 53 54
第10週『私は武士の娘の娘!』
55 56 57 58 59 60
第11週『まんぺい印のダネイホン!』
61 62 63 64 65 66
第12週『絶対何とかなるから!』
67 68 69 70 71 72
第13週『生きてさえいれば』
73 74 75 76 77
第14週『理事長!?』
78 79
第15週『後悔してるんですか?』
80 81 82
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