トレース~科捜研の男~ (第1話/初回90分SP・2019/1/7) 感想

フジテレビ系・月9『トレース~科捜研の男~』(公式)
第1話/初回90分SP『初回90分SPバラバラ遺体の想い...科捜研サスペンス』の感想。
なお、原作の漫画、古賀慶「トレース~科捜研法医研究員の追想~」(「月刊コミックゼノン」連載)は、第3巻まで読了し、現在第4巻を読書中。
イベント会場で、犬が掘り起こしたと思われる切断された人間の左手が見つかり、警視庁捜査一課の刑事・虎丸(船越英一郎)が科学捜査研究所に鑑定結果を聞きにやって来る。担当者は出向先から戻ったばかりだという真野(錦戸亮)だった。被害者の爪の間からケイ藻が検出されたことから、虎丸は残りの遺体が川の付近にあると考え、捜索を指示する。虎丸の意見を否定する真野は、鑑定結果から別の場所に遺体があると推測し、捜索に向かうと言い出す。科捜研に配属されたばかりの新人研究員・ノンナ(新木優子)は、法医科長・海塚(小雪)の指示で真野に同行することになる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:古賀慶「トレース~科捜研法医研究員の追想~」(「月刊コミックゼノン」連載)
脚本:相沢友子(過去作/鍵のかかった部屋 第1-5・7・10-11話)
演出:松山博昭(過去作/鍵のかかった部屋 第1・2・5・8・11話) 第1話
相沢秀幸(過去作/グッド・ドクター)
三橋利行(過去作/コンフィデンスマンJP)
音楽:Ken Arai(過去作/鍵のかかった部屋、失恋ショコラティエ)
主題歌:関ジャニ∞『crystal』INFINITY RECORDS)
放送前から『科捜研の女』との関連性が話題の本作…
原作漫画のタイトルは『トレース 科捜研法医研究員の追想』なのに、本作のタイトルには『科捜研の男』が入り、2期連続で『月9』出演が話題の新木優子さんの役名が「沢口ノンナ(原作も同じ)」であることなどから、放送前から先日2019年4月からの1年間の放送が発表された沢口靖子さん主演ドラマ『科捜研の女』との関連性が、何かと話題になっている本作。
原作は、明瞭で魅力的な登場人物とリアルな描写が訴求力
実は、漫画と法医学好きの知人に「法医学が好きなら薦めたい漫画がある」と言われていたのが、本作の原作である『トレース 科捜研法医研究員の追想』。
知人に言わせると、「ドラマ『科捜研の女』では端折られてしまう現場検証や捜査過程が丁寧に且つ臨場感溢れる描写で読む価値あり」とのことで、早速読んでみると、まず、登場人物の個々の設定が、かなり緻密に計算されており、分かり易くて魅力的なキャラクターばかりで読み易い。
また、主人公が法医研究員になった理由が、『科捜研の女』の榊マリコよりも重く、『アンナチュラル』の三澄ミコトに似ているが、主観や憶測を完全に排除する点で、本作の主人公・真野礼二とも大きく異なる。この辺が類似作品との差別化が成功している原因でもある。
原作のかなりエグくてグロい描写に立ち向かうか逃げるか?
また、作者が本物の科学捜査研究所の元研究員だけあって、かなりエグくてグロい描写が多く、それがまた現実味を感じさせ面白い。しかし、本作は『月9』だから、リアル路線の『アンナチュラル』方向なのか、逆にマイルド路線で『科捜研の女』の二番煎じになるのか楽しみで観始めた。
主人公の欠落で、第1話への期待は完全に裏切られた
そして、第1話は完全に裏切られた…と言わざるを得ない内容だった。まず何よりも不満なのは、科捜研の場面が極端に少ないこと。また、それに伴っての主人公・真野(錦戸亮)の存在感の薄さ(皆無と言っても良い位だ)による、主人公の欠落。これだけでも、十分に『科捜研の女』と『アンナチュラル』の比較対象では無い。
虎丸が画面に登場すると、昭和の刑事ドラマしか見えない
また、登場人物の設定や配役についても一言いたい。主人公の真野は、そもそも出番が少な過ぎるのに、その上で個性が無い。逆に個性があり過ぎて邪魔だったのが、必要以上に科捜研と対峙する捜査一課の刑事・虎丸(船越英一郎)の大声と騒がしさ。もはや、虎丸が画面に登場すると、昭和の刑事ドラマしか見えなかった。
1時間枠のフォーマットを、90分枠でやったら無駄話ばかりになる
全体の構成にも一言。今回は90分の拡大版だったが、残りが 1時間近くあるのに、物語の転機は 33分頃の新人研究員・ノンナ(新木優子)が資料を落としてから。当然、たった1つの事件で1時間も引っ張れず、57分で事件の話が再度進み出すまでの、25分近くは無駄話。33分で「転」にするのは、1時間枠のフォーマットなのだ。
(科捜研見習いの成長物語+2サスのお涙頂戴刑事ドラマ)÷2=?
そして、内容について。決して、新木優子さんが出演しているからと言う訳では無いが、全体的には、科捜研の見習いの成長物語に、2時間サスペンスのお涙頂戴刑事ドラマを、足して二で割ったような中途半端な作品だった。類似作品との差別化と既視感を払拭しようと焦り過ぎたとしても、的外れも甚だしい仕上がりと言わざるを得ない。
あとがき
毎度書いて申し訳ありませんが、私は基本的に原作とドラマは比較しない立場ですが、ここまで原作の持つ重厚で真面目なテーマ性や、丁寧過ぎる科捜研の描写や、張り詰めた緊張感とちょっとした緩和のメリハリを壊すのは如何なものかと思います。原作の改悪と言えば、最近では『犬神家の一族』超えの改悪かも…
名作の『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』が最新の「3rd season」以降で「新人成長物語」になって残念だったのを思い出します。でも、本作は今回が第1話ですからねぇ。それと、私は錦戸亮さんの芝居が好きなのですが、今作はキャラを作り過ぎて彼の持ち味が死んでしまっているように思います。あまり原作に引っ張られない方が良いような…
う~ん、とにかくテコ入れとしては、虎丸刑事(船越英一郎)の出番と声量を抑えて、無意味に科捜研と捜査一課との対峙も減らし、主人公をグィっと前面に押し出すことだと思います。『鍵のかかった部屋のスタッフ』なら、やれるはずです…。そして、こんな長文の感想を書いたので、次回へ大いに期待します。
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トレース 科捜研法医研究員の追想 1 (ゼノンコミックス)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/12275/
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