フジテレビ開局60周年特別企画スペシャルドラマ「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」 (2019/1/6) 感想

フジテレビ開局60周年特別企画スペシャルドラマ「レ・ミゼラブル 終わりなき旅路」 (2019/1/6) 感想

フジテレビ系・フジテレビ開局60周年特別企画スペシャルドラマ『レ・ミゼラブル 終わりなき旅路』公式サイト
『あの“レミゼ"が今宵、総勢17名の豪華キャストで甦る!平成最後の年明けに贈る、30年間に及ぶ大河ドラマ!別人に成り代わった逃亡者×復讐誓う刑事の心理戦』の感想。
なお、原作の小説、ヴィクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」は既読。また、ミュージカルや映画も数作品を鑑賞済み。


   [第1幕]は平成3年~の神戸。殺人犯の少年が刑務所から脱走したニュースが駆け巡る。2年前、17歳の馬場純(吉沢亮)が正当防衛の末、殺めてしまった相手は母(富田靖子)を騙して全財産を巻き上げた男・斎藤太(寺脇康文)。刑事罰となり、少年刑務所に入れられてしまう。

   ある日、弟が危篤であることを聞かされ脱走。だが弟はすでに死亡し…。絶望の淵で自殺しかけたところ、自立支援施設「徳田育成園」を営む徳田浩章(奥田瑛二)に助けられ、身分を隠して育成園で暮らし始める。そこで弁護士を目指す少年・渡辺拓海(村上虹郎)と出会う…。

   もう1人の主人公は斎藤の一人息子・斎藤涼介(清水尋也)。悪徳な両親と縁を切っていたものの、父親が殺された理由が投資詐欺を働いたせいだと世間に知られ、被害者遺族のはずがまるで加害者家族の様な報道被害にあってしまう。そんな中おきた阪神・淡路大震災。未曾有の大震災が2人の少年の運命を大きく変えることに…。

   [第2幕]は平成16年の東京、[第3幕]は平成30年の福島が舞台。2人の主人公の再会と、阪神大震災で決定的に変わった運命のその後が描かれ、世間から身を隠しながら生きる純(ディーン・フジオカ)と、純を追いかけ続ける涼介(井浦新)。ついに対峙する2人の男。30年にわたる旅路に打たれる衝撃的な終止符が…。

   彼らを取り巻いてきた人々の思いを紡ぐ希望の光はそこにあるのか…。感動のクライマックス!
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


原作:ヴィクトル・ユゴー「レ・ミゼラブル」
脚本:浜田秀哉(過去作/ドラマスペシャル 人間の証明)
演出:並木道子(過去作/突然ですが、明日結婚します)
音楽:吉川慶(過去作/医龍-Team Medical Dragon-4)
主題歌:Aimer「Sailing」(SME Records)
プロデュース:太田大(過去作/モンテ・クリスト伯 ‐華麗なる復讐‐)
       野田悠介(過去作/コード・ブルー -もう一つの日常-)

フジがまた「原作殺し」をしなければ良い…と観始めた

原作の『ああ無情』は、知る人ぞ知るフランス文学の巨匠ヴィクトル・ユゴーが自身の体験を基に、19世紀初頭のフランスの動乱期を舞台に当時の社会情勢や民衆の生活を克明に描いた長編小説だ。原作では「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「自負と尊厳」など、人間の心の奥深い部分を掘り下げた名作。

とは言え、物語は、一切れのパンを盗んで19年間投獄された主人公が、司教に盗みを許されて宗教的に改心し、愛と贖罪の人生を全うすると言う超有名な展開だ。原作の未読者は別にして、原作は既読、過去の作品も鑑賞済みの私の今作への興味関心は唯一つ。

古今東西で幾度もミュージカルや映画化され、ある意味で使い古された予定調和のこの物語を、どう現代の日本を舞台に描くのか? まあ、昨年フジテレビで放送された連ドラ『モンテ・クリスト伯 ―華麗なる復讐―』も第2話で視聴停止した私だから、フジテレビがまた「原作殺し」をしなければ良い…と言う程度で観始めた。

昨今のドラマは、あれこれ描い難いのは承知しているが…

さて、昨今のドラマ(映画も)制作の現場は、コンプライアンスやら人道上はどうだとか、スポンサーとの絡みもあって、フィクションの映像化、特にチケット代を支払って観る映画と違って、無料で見てあぁだこうだ言える地上波の民放ドラマを作るのは大変面倒な時代。

だから、多少のことには目をつぶることにしている。本作でも、自立支援施設「徳田育成園」が殺人犯で脱獄犯と知った上で匿うとか、他にも現代日本では突っ込みたくなる場面があちこちにあった。

拓海が怪我する場面を "あっさり仕上げ" にしたのは大失敗!

しかし、もっともやってはいけない、と言うかむしろやるべきだったのが、阪神大震災が発生して瓦礫が上から落ちて来て下半身がハマってしまった弁護士を目指す少年・渡辺拓海(村上虹郎)が、まだ助かりそうな状況なのに、馬場純(吉沢亮)に「自分の身代わりになって、俺の分まで生きてくれ」と懇願する場面。

あの中途半端さでは困る。思い切って、『コードブルー』並みに胴体に柱が刺さるとか完全に絶体絶命の場面を作ら蹴ればなかったと思う。あのシーンが中途半端だから、主人公の「無知と貧困」「愛と信念」「革命と正義」「自負と尊厳」などが全部焦点ボケに見えてしまった。

映像的にやってはいけないことがあるのは分かる。しかし、物語の根幹に匹敵する重要な場面を “さっさり仕上げ” で逃げるのは卑怯と言うしかない…

原作とは別物の、個人的な恨みと騙し騙されの繰り返し…

今作は、ある意味で私の期待通りであり、ある意味で私の期待を大きく裏切った。

まず、期待通りだった点だ。原作の持つ貧困層の人民の怒りや、民衆たちの無関心が世の中を変えない無情さなどには全く無縁の、個人的な恨みと騙し騙されの繰り返しのミステリードラマとヒューマンドラマを足して2で割って、『レ・ミゼラブル』のラッピングで装った、長過ぎた2時間サスペンスだったこと。

数奇な運命の人生を "自己犠牲の心" を丁寧に重ねて描いた

期待を大きく裏切った点は、もしも私が『レ・ミゼラブル』を知らなかったら、もしも今作が『レ・ミゼラブル』と題していなかったら、数奇な運命の人間たちの「貧困」「愛」「正義」「尊厳」、そして日本らしい「ご縁」を描きつつ、“自己犠牲の心” を幾重にも折り重ねて描いたと思う。

私にとっては、『モンテ・クリスト伯』に比べれば雲泥の出来の良さだった。それだけに「レ・ミゼラブルをモチーフにした、新作フィクション」と番宣したら、評価を変えた視聴者も多かったに違いない…

あとがき

原作の『レ・ミゼラブル』とは全く異なった作品ではありましたが、別物として捉えれば、使い古された原作の展開を巧く現代日本に当て嵌めて、改変したスペシャルドラマだったと思います。特に、数々の俳優さんたちの名演技も見応えがありました。

敢えて苦言を呈するなら、並木道子氏の演出が、連ドラみたいに普通過ぎたこと。もっともっと重厚で隅々まで張り詰めた演出で魅せるべきだったと思います。原作未読の方は、原作は長編なので、ヒュージャックマン主演の映画を観るのをお勧めします。

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