まんぷく (第79回・2019/1/5) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式サイト)
第14週『理事長!?』の
『第79回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
巷(ちまた)での萬平さん人気が高まる中、見知らぬ紳士が萬平さんに会いに来ます。話を聞くと、萬平さんに新しく作る信用組合(金融機関)の理事長になってほしいと依頼。戸惑う萬平さんや福ちゃんを前に、紳士は信用組合の理事長は信用が第一。誰もが納得する人でなくてはならないと訴えます。全くゆかりのない分野への打診に家族の意見もバラバラで…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
ついに「視聴者の代弁者」の鈴が「脚本家の手先」に降格!
序盤での、福子が萬平の成功を妄信するように、今度は鈴が「萬平の理事長就任」を切望しまくったくだりが、本当に見ていてつまらなかった。以前も書いた通り、萬平が釈放されるまでの鈴は「視聴者の代弁者」だった。萬平や福子たちが強引にドラマを都合良く進めるのに、程好いブレーキを掛ける役だった。
しかし、今回の鈴は真逆。「脚本家の手先」に成り下がった。なぜなら、いくら「武士の娘」と言う肩書に拘る登場人物であっても、何の根拠も示されずに(恐らく「安定した収入源」としての信用組合の理事長職を懇願しているだけなのだが)、「理事長職」を推すのは不自然過ぎるからだ。
鈴は「怪しい仕事はやってはいけません」と言うべきだった
萬平が理事長を受ければ、誰がどう考えても、素人経営の信用組合が破産すると言う、もうこれまで “嫌って位に” 見せられた「逮捕劇からの破産劇」を見せられるのが分かるから。やはり、ここの鈴はこれまでのように「怪しい仕事をやってはいけません。まともな仕事で福子や子どもを養いなさい」とするべきだったと思う。
脚本家も、これが土曜日の放送だから焦って、こうしたと思う。しかし、そんな1週間の割り当てに拘ったところで、楽しく無ければ意味が無い。既に半年の半分が過ぎた状態で、まだくだらない1週間フォーマットに拘り縛られているようでは、先が思いやられる…
なぜ前回の新聞記者と活動家は無視で、大鳥は家の中へ?
あと、今回の大鳥(団時朗)が萬平を理事長に担ぎ上げる際に言った言葉の数々に全く説得力が無かったのも気になる。前回を見た人なら分かるが、前回で2組の「萬平アゲ要員(新聞記者と社会活動家)」が登場した。「国を訴えた英雄」と萬平をアゲたのだが、今回の大鳥が理事長に推薦した理由も全く同じ。
だとすると、2つのおかしなことが思い付く。1つは、なぜ前回での2組は、玄関先で追い返したのか? もう1つは、なぜ大鳥は家に入れて話を聞いたのか? 答えは分かっている。脚本家がご都合主義で安易に話を進めるためだ。こう言うのも、ドラマをつまらなくする要因だ。
真一に「世の中の役に立つ」と言わせたのは大失敗!
せめて、大鳥が依頼する理由には、先の2組とは違う理由を用意すべきだった。それをやらないから、これまたどう見ても「大島に利用される」ようにしか見えない。また、のちに萬平が金融関係に詳しい真一に相談する場面まで挿入したことで、萬平自身が鈴の言葉を真に受けて「肩書に目がくらんだ」と見えてしまう。
特に失敗したのは、真一に「やる気次第で世の中の役に立つことや」と言わせたこと。これで、萬平自身が目先の肩書に目がくらんでいる自分にマスキングして(誤魔化して)理事長職を正々堂々と受けられると考える口実を作ってしまった。
どうせ引責した萬平の困窮からの出発劇をやるんでしょ?
しかしだ。これまでの展開と “史実” を考慮すれば、先述の通りに素人経営の信用組合が破産して、理事長責任に発展し無一文になり “また” 困窮からの出発劇になるのは見え見えなのだ。
多くの視聴者が史実を知っているから、これで良いと言う考えなら、プロの脚本家として惨めな位に稚拙な行為。そうでないなら、単なる手抜きかアイデア枯渇。いずれにしても、先が思いやられる…
死人が生きている人の人生を決める展開に、飽き飽き…
そして9分過ぎに “手抜きかアイデア枯渇” を証明するかのように、「咲姉の幽霊」が登場した。死人が生きている人の人生を決めると言うだけで、嫌気がさしているのに、それを何度もやられると、脚本家に「だったら殺すな!」とぶちまけたくなる。
死人に導かれないと先に進めないヒロインに魅力は無い!
直前のシーンで萬平が真一に相談したように、咲が生きていれば福子は先に相談しに行くだけで、普通のホームドラマになったはず。なのに、咲の退場が無くても十分に楽しかった最初の1か月で意味無く咲を退場させたしっぺ返しが、あとあと来るのだ。亡くなった人や先祖は大切だ。先祖があるから今の自分が存在する。それは間違いない。
しかし、ホラー映画でも無ければ、生きている人たちが関わり合って人生を選択し歩んで行くべきでは? そして、そう言うのが朝ドラなのでは? 亡くなった祖父母や親たちの遺志を汲んで生きて行くヒロインは見たいが、死人に導かれないと先に進めないヒロインに魅力は無い。この脚本家、本気で半年間の構成を立ててから執筆し始めたのか疑問である…
あとがき
ここへ来て、脚本家の迷走っぷりが半端ないような気がします。面白キャラのはずの鈴が完全に空回りしていますし、克子も鈴の味方になって、話の展開も「萬平は世の中のために働きたい」と言う部分がグンと薄まって、金儲けの話に移行しつつあります。
そして何より、福子の態度が一定でない。態度や考えがコロコロ変わっている上に、万人に好かれるような笑顔も魅せなくなりました。脚本は、どうしようもないとしても、安藤サクラさんの表情への演技指導は出来るはず。ネットの評判でも「ヒロインの目が怖い」みたいな意見も見掛けます。そこだけでも修正したら良いと思います。
来週は、理事長職と発明家の二足の草鞋を履いた萬平と、タカと神部の新婚生活と、新キャラ登場に、萬平の浮気疑惑ですかね。インスタントラーメンまで必死に繋いでいく…そんな感じでしょうか。もう少し、福子を愛嬌のあるキャラにしたらどうでしょう? このままでは、萬平物語の添え物程度でしかありませんから。
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【これまでの感想】
第1週『結婚はまだまだ先!』
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第2週『…会いません、今は』
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第3週『そんなん絶対ウソ!』
13 14 15 16 17 18
第4週『私がみつけます!』
19 20 21 22 23 24
第5週『信じるんです!』
25 26 27 28 29 30
第6週『お塩を作るんですか!?』
31 32 33 34 35 36
第7週『私がなんとかします!』
37 38 39 40 41 42
第8週『新しい冒険!?』
43 44 45 46 47 48
第9週『違うわ、萬平さん』
49 50 51 52 53 54
第10週『私は武士の娘の娘!』
55 56 57 58 59 60
第11週『まんぺい印のダネイホン!』
61 62 63 64 65 66
第12週『絶対何とかなるから!』
67 68 69 70 71 72
第13週『生きてさえいれば』
73 74 75 76 77
第14週『理事長!?』
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