映画「ヘレディタリー/継承(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし
【私の評価基準:映画用】
★★★★★ 傑作! これを待っていた。Blu-rayで永久保存確定。
★★★★☆ 秀作! 私が太鼓判を押せる作品。
★★★☆☆ まあまあ。お金を払って映画館で観ても悪くない。
★★☆☆☆ 好き嫌いの分岐点。無理して映画館で観る必要なし。
★☆☆☆☆ 他の時間とお金の有意義な使い方を模索すべし。
ディレクター目線のざっくりストーリー
祖母エレンが亡くなったグラハム家。娘のアニーは母親に対して愛憎混じりの感情を抱きつつも、夫・スティーブンと高校生の息子・ピーターと人付き合いの苦手な中学生の娘・チャーリーと共に淡々と葬儀を執り行う。
祖母が亡くなった喪失感を乗り越えようとするグラハム一家だが、不思議な光が部屋を走ったり、誰かの声がしたり、暗闇で誰かの気配がしたりと、奇妙な出来事が頻発する。そんな中で、祖母に溺愛されていたチャーリーは、祖母が遺した “何か” を感じているように、徐々に狂ったかのような異常な行動をするようになる。
そして、最悪な出来事が起こり、一家は修復不可能なまでに崩壊してしまう。そんな時、亡き祖母の遺品の中から「私を憎まないで」と書かれたメモを発見したアニーが、祖母が遺した “何か” を探し始める…
予測不能な、4人家族の壮絶な闘いの悲劇のドラマ!
主人公アニーの “ミニチュア模型アーティスト” と言う設定を活かした、ドールハウスから実際の家の映像に繋がる編集や、母アニー、父スティーブン、兄ピーターら3人と、妹チャーリーの意味深な描写によって、序盤は『エクソシスト』などに代表される少女に悪霊が憑りついて騒ぎを起こすホラー映画の様相だ。
しかし、映画が始まって30分を過ぎた辺りで起こる最悪な出来事をきっかけに、本作は単なるホラー映画の枠を超えた、予測不能な4人家族の家族間と自分との壮絶な闘いの悲劇のドラマになっていく…
映画の中の出来事であっても、見たくないことが描かれる!
本作が単なるホラー映画の枠を超えているのは、本作で描かれる恐怖が決して映画の中の出来事であっても見たくないことだからだ。本作は、怖い悪魔や恐ろしい魔術や残忍な殺人事件で怖がらせる手法を選んでいない。本作が選んだのは「自分が親から信じて貰えない」「親が自分を愛してくれない」と言う信じ難い辛い現実だ。
これまでのどんな映画を見ても、余程の子供虐待を描く作品以外では、ホラー映画だろうと何だろうと、基本的に「親は自分を愛してくれる」と「親は自分を信じてくれる」の2つは、ほぼ担保されて来た。そこだけはブレない聖域みたいなものだ。しかし、本作はその担保が無い。聖域に踏み込んでいる。だから、観ていて辛くてしょうがない。
あとがき
冒頭はオカルト映画で始まりますが、30分過ぎから壮絶な家族のドラマへ。そして、ラストシーンも美しい映像の中に複雑な解釈が盛り込まれており、鑑賞後は「斬新で面白いホラー映画を観た満足感」と「辛くて気色の悪い映画を観てしまった後悔」が、ズシーンと心に残る本作。
聖域に踏み込んだシリアスな家族ドラマを、ホラー映画の皮で覆うと言うアイデアはお見事。但し、全ての人にお勧め出来る作品ではありませんが、観て損の無い異色ホラー映画です。
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