まんぷく (第40回・11/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第7週『私がなんとかします!』の
『第40回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
「たちばな塩業」で働くみんなのマドンナ・タカちゃん。ところが、突然「もう手伝えない」と泣きながら電話をかけてきてみんなが騒然。実はタカちゃんのお父さん・忠彦さんが倒れたのです。心配した福ちゃんが駆けつけますが…。一方、再び塩の出荷を迎えた萬平さん。今度こそ塩の品質が最上級と認められ、満額で売れるのでしょうか!?
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「一難去ってまた一難」を常に視聴者に見せるのは大事
ごっつい手が、沢庵漬けを分厚く切るのアップから始まった第40回。前回で描かれた、15歳から10年間、寿司屋で修行していた経験を買われて、鈴の料理係の手伝いをすることになった秋津のくだりをアバンタイトルで繰り返さずに…
敢えてそこはバッサリとカットしてごっついのアップから始めるのはドラマの展開を早める目的と、今回も一騒動あることを予感させている。前者のように “繰り返し” たら “続き” だから。
そして、そのことを裏付けるように、ところが、タカが突然「もう手伝えないかも…」と泣きながら電話を掛けて来る。こりゃぁ、一大事だ。何せ、タカは「たちばな塩業」で働く「塩軍団」全員の “マドンナ・タカちゃん” なんだから。
僅か1分強のアバンタイトルだが、正に一難去ってまた一難だ。こうして、物語が少しずつでも前進していることを視聴者に提示し続けることは、とても良いこと。だって、最終的な発明品は分かっちゃっている訳だから、「それ以外もあるよ」と示すのは本当に大事だ。
今回も「塩軍団」の個性を描こうと言う意図が見えた
主題歌明けは、想像と期待通りに我らのマドンナの一大事に戦々恐々の「塩軍団」たちで始まった、字幕表示で見ると台詞に名前が表示されるから、私はだいぶ前から「塩軍団」の個々の名前を覚えつつあったが、基本的に本作上では最初の自己紹介意外にテロップで彼らの名前を表記することも無い。
それに、普通ならやりそうな、着ている物に名前を書いたり名札を付けたりもしない。先日書いたようにドラマのながらで自然に視聴者へ個々の名前と個性を覚えて貰おうと言う仕掛け(お楽しみ)のようだ。
とは言え、純朴な堀君、最年少でケンカの仲裁役の小松原君、ベレー帽を被りちょっとオシャレな増田君、そしてずっと鈴の手下になるのか恐怖に怯える仲間思いの赤津君と、このシーンだけでもしっかりと個性が描かれた。それも楽しく面白く。
そして、前回に描いた通りに、15人全員が違った立ち方と座り方でそれぞれの事をやりながら、4人の会話に参戦。1人1人を見せようと言う演出意図が良く分かったシーンだ。だって、休憩中としても海辺に一列に並んで会話しても良い訳で、敢えて庭で正面を作らずに撮影したのは、そんな意図があったからだと思う。
戦争を匂わせる描写を入れるのは、とても良いこと
香田家に着いた福子。このシーンでの克子はとても疑心暗鬼な人間で、忠彦はゴッホのような社会性の乏しく狭い好奇心の人間に描かれた。
以前の二人は能天気で明るく浮世離れしたような夫婦だったから、話を進めるための若干のキャラ改定なのか、それとも絵は売れるようにはなったものの、戦争で描けなかった絵に対して狂信的になってしまった忠彦が、妻や子を変えてしまったのか? 私は後者として受け取った。
どんな家庭も一人の変化で家族全体が変わってしまうことは良くあること。タカに対して「画家の娘としての覚悟」と強要した忠彦の思い。すっかり変わってしまった忠彦へのタカの気持ち。アトリエで、克子とタカのきもちを察して、忠彦に忠告をする福子だが、私の目にも明らかに外野から軽率で通り一辺倒な愛のない言葉だ。
だから忠彦は、そんな表面的な福子の優しさに対して、絵を描くことに没頭する自分と塩製造に没頭する萬平を引き合いに出して、「オレは責めて萬平は見逃すのか?」と責められた。何も答えられずにただタカを抱きしめるだけの福子。奥の部屋からこのやり取りを見ていた克子も泣いている。
本作で、ここまで戦争の傷跡をしっかりと描いた場面があったろうか。先日も書いたが、本作は戦後の何もない時代から発明と起業をした夫婦の物語だ。だから、時折、「塩軍団」の会話の中など含めて、このような戦争を匂わせる描写を入れるのは、とても良いことだと思う。
まだ世良に取引きを一任し続ける萬平たちの訳を描くべき!
さて、どうして塩の初出荷の際に騙された世良に、今度こそ自慢の最高の塩の取引をまた依頼したのだろう? 親友だから? 一緒にラーメンを食べたから?
何かこの先の展開に関係するからだろうが、流石に今の萬平の設定を、そして福子の設定を、更に鈴の設定も考慮すれば、「世良さんは止めましょう」となるのが今の「たちばな塩業」の正しきスタンスで無いのかな? 今回は冒頭から、そこが気になってしまった。
世良に取引きを一任する理由を早めに描かないと、終盤での神部から言われた昇給の件に対する萬平の回答も無責任に見えてしまう。少なくとも萬平はそう言う人間でない設定だけに、やはり解せない。まあ、専売局に売らずに闇市で密売しているのを福子が見つけて解決するのだろうが
やはり世良に一任する不自然さを残しておくのは得策でないと思う。萬平と福子が「お人好し」や「世間知らず」のレッテルを貼られる前にやるべきと思う。
あとがき
塩の売買を萬平たちが一度騙された世良に依頼し続ける根拠が提示されていないのが、不思議でなりません。そこさえ済んでいれば、今回の15分間もすんなり心に入って来たのに…。
もしかしたら、ここへ来て主要な登場人物の少なさが仇になっている可能性がありますね。前作や前々作も異様な位に大量な登場人物がいて、話がごちゃごちゃしました。その点、本作は人数が少ない(「塩軍団」は別にして)から、世良を活用するしかない。
いや、別に萬平たち自身で専売局に行くだけで済むので、やはり不自然。ここ、何とかして欲しいです。でないと、恐らく週末に描かれるであろう、福子の活躍がぼやけてしまうので…
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