まんぷく (第32回・11/6) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第6週『お塩を作るんですか!?』の
『第32回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
萬平さんが思いついたのは鉄板を使った塩作り。早速、神部さんと塩の産地・赤穂へ勉強に向かいます。一方、福ちゃんと鈴さんは生活費を工面するため、近所に持参した着物と食べ物の交換をお願いして回ります。でも萬平さんは福ちゃんたちの苦労に気づかず、塩の試作に夢中。熱した鉄板で、塩分を濃くした海水で作る初めての塩の味は!?
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
登場人物らの "戦後を強く生き抜くエネルギー" が感じ難い…
何て言ったらよいのだろう。アバンタイトルで描かれた、赤穂に塩製造の勉強に向かっている萬平からは感じるのに、主題歌明けのご近所挨拶を兼ねた鈴の着物と食べ物の交換を内助の功からは、あまり感じないものがある。それは、本作の戦前、戦中、戦後間もなくの頃にはあった登場人物たちの “戦後を強く生き抜くエネルギー” だ。
前回の感想でも触れた、未だ幼稚な福子の口調も原因の1つであり、福子が萬平の発明家としての才能に絶大な信頼を置いているとは言え、働き口探しなり金策に奔走しない姿も原因の1つだろう。
ハンコ屋まで出来て、泉大津から出来ないのが解せない…
発明をするのは夫で、それを支える妻を描くドラマなのだから、今の描写を全面否定するつもりはないし、ある意味で「新章」が始まったばかりだから、状況や環境説明過多になるのも止むを得ない。
でも、そんな中でも、例えば前回でのラーメンを食べる場面で「薄味」に気付く前に、具の入ったラーメンにありつける幸せを明瞭に口にする場面を入れるなどの工夫で、登場人物たちの “戦後を強く生き抜くエネルギー” を描くことは出来ると思うし、それをハンコ屋まで出来て、海辺の町・泉大津から出来ない方が解せないのだ。
何故、ハナの台詞へ福子の応援団にあった思いやりを込めない?
解せないと言えば、もう1つ。ハナの夫が鈴の着物を300円で買ってくれたくだり。売り文句が上手になった鈴から、何件も渡り歩き饒舌になったと推測は出来る。香田家時代は着物を売るのを拒んでいた鈴が、生活のために身を切る。今更感はあるが、時代や状況を考えれば当然だ。ハナの夫とハナに礼を言う福子も、ここまでは何ら問題もない。
ただ、解せないのはこのあとのハナだ。
福子「ありがとう ハナちゃん」
ハナ「ええの ええの 福ちゃんは親友やもん」
まあ、確かにハナは現状裕福だから上から目線で「親友やもん」を強調するのも間違いない。しかし、これまでの本作ならば、大切な着物を手放す鈴の気持ちを察して、親友だからでなく、「素敵な着物をありがとうございます。大切にさせてもらいます」程度は謙遜していたのが “福子の応援団” でなかっただろうか。
福子のためには強引に意地を通すことはあっても、節操はきちんとしてた人たちだったような気がする。戦争で何もかも変わってしまった…と、受け入れろと言うことだと、少々残念だ。
終盤での福子と萬平にも "思いやり" が欲しかった…
終盤で、生活のためと言え、鈴の大切な留袖を差し出してと願う福子や、鈴の留袖が500円で売れたことを福子が萬平に報告するくだりでも「良かったな」の一言で終了。確かに、福子も生活に必死なのは分かるし、萬平が塩製造に熱中しているのは分かるが、本作らしい “思いやり” が欲しかった…
もちろん、福子が内助の功で金策をしてくれているから、萬平が塩製造に集中出来ると言う夫婦二人三脚の構図が根っこにあるのは分かる。だからこそ、親しき中にも礼儀あり…で、思いやりの台詞が欲しかったと言うことだ。
今回も、福子と鈴の会話のシーンへの評価が分かれそう…
福子と鈴の会話のシーンも、評価が分かれそうだ。本音を言い合う母と娘の微笑ましいやり取りに見える人と、現状認識の甘い世間知らずな母と娘の馬鹿馬鹿しいやり取りに見える人だ。私には、どちらの要素も盛り込まれていると見えている。でも、脚本家と演出家はどう言うつもりで描いているのかは分かり難い。
大女優のオーバーアクションのコミカルさが、微笑ましいレベルを超えてる
ただ、福子は鈴へ香田家に残るように説得した経緯がある。苦労覚悟で福子たちに付いて来た鈴である。従って、本音を言い合う微笑ましい母親と娘の会話と捉えるべきだろう。そして、演出はそう見えるように明瞭に描くべきだ。特に鈴を演じる松坂慶子さんにはもっとしっかりと演技指導すべき。
あの演技が大女優である彼女の魅力であることは、近年では民放の連ドラ『スミカスミレ 45歳若返った女』でも証明済みだ。しかし、安藤サクラさんとの掛け合いでは、オーバーアクションに於けるコミカルさが出過ぎて、微笑ましいレベルを超えてしまっている。これは改善出来る部分だから、早急に対応すべきと思う。
塩製造の試行錯誤の過程を分かり易く描いたのは多いに評価
塩の製造過程について、意外なほどに詳細な説明が、いや萬平と神部の言動を使って解説が行われたのは良かった。
だって、本作は発明家の物語。だから、何となく試行錯誤して「ハイ、出来ました」では面白みがない。かと言って、試行錯誤ばかりではつまらない。視聴者を飽きさせない工夫として、視聴者にも試行錯誤の過程を分かり易く表現したのは多いに評価したい。
もちろん、終戦直後にあんなに都合よく塩製造のための物資が揃うかと言う疑問は湧くが、これはあくまでもフィクションだから、そこには目をつぶって、萬平の発明を楽しみたい。
あとがき
時代や状況を考えれば、お金は幾らあっても良い訳です。ただ、香田家に居候していた頃に比べて、新・今井家にお金の重要性が描かれていません。食糧品はハナから無料提供されている可能性もありますし、福子たちが何かを買っている場面もほぼありません。捻くれて考えれば、ハナから金をせびっているようにも見えてしまいます。
まあ、実情は、「塩づくり」だけだと福子と鈴の出番が無いから、「金づくり」で…と言う大人の事情があるのでしょうが、だったら、せめて、思いやりのある会話劇として挿入して、ハンコ屋以前の楽しく微笑ましい『まんぷく』に戻して欲しいです。まだまだ巻返すには十分時間はありますから。
やはり、最初の1か月が素晴らしかっただけに、ちょこっと愚痴が出ちゃいます…
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