まんぷく (第27回・10/31) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第5週『信じるんです!』の
『第27回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
福ちゃんが見た闇市での出来事をきっかけに、萬平さんはハンコ作りをすることを思いつきました。食料の配給などを受け取るため身元を証明するものが必要でしたが、空襲で焼け出されてハンコのない人が多かったのです。準備を始め、鈴さん、克子姉ちゃん、タカちゃんら子どもたちもみんなで協力してハンコ作りを始めた福ちゃんたちでしたが…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
展開の早さが、見ていて気持ちが良い
へえ~。前回の終盤でハンコ作りを思い付いたから、今回は試行錯誤してハンコ作りを商売に乗せるまでを描くのかと勝手に想像していたら、なんと今回のアバンタイトルでは既に商売として成立し、繁盛しているところから始まった。この展開の早さは本当に見ていて気持ちが良い。そして、その気持ち良さがオープニング映像とも重なって来た。
今回が「夫婦二人三脚のスタート地点」だ!
で、主題歌明けで、ハンコ屋が実はそう簡単な商売で無いネタバラシが面白おかしく描かれた。愚痴をこぼしながら手伝い、子供たちは楽しそうに手伝い、いつの間にか1週間の時間経過で、家族の団結力をいとも簡単に描いちゃった。そして、順調にお金儲けが出来て、安心した表情で風呂に入る萬平と火を焚く福子の会話に注目だ。
福子は、ハンコ作りを思い付いた萬平を褒め称えるが、萬平は福子にこう答える。
萬平「お前のお蔭だ 福子。お前がいてくれたから思いついたんだ」
これを大層嬉しそうに聞く福子。しかし、この萬平の台詞はこの先の本作に於いて、とても重要な台詞になるはずだ。これまでも、萬平は数々の発明や、電気ショック漁などの新アイデアを生み出して来た。だが、それらの全ての発明は、萬平自らの興味関心がスタート地点だった。
そもそも起業家で発明家である萬平なのだから、萬平が闇市をふらふらと歩いていたら、もしかして「ハンコ屋」を思い付いた可能性もある。また、萬平は、福子が最初に「ハンコを必要としている人がたくさんがいる」と言う話を聞いて、「ハンコを作って売ろう」と考えたのだから、きっかけこそ福子だが、(物語的に)ほぼ萬平の手柄でも良いのだ。
しかし、この脚本家は手柄を福子にあげた。「福子がいたから思い付いた」と。前回で、世良の叱咤激励で発明家の再起を暗示させ、その晩の何気ない福子の闇市事情を聞いて思い付いたことを、「夫婦二人三脚のスタート地点」として位置付けて描いたのだ。
いや、もしかすると、福子と萬平、鈴、克子と4人の子どもたちだから、八人九脚か!? いずれにしても、明るく前向きなホームドラマの始まりだ。今回で丁度放送開始から1か月。その短時間でここまで幅広い年齢の登場人物を個性的に描いて、きちんとホームドラマに仕立てて来たのは朝ドラ『カーネーション』の中盤までを彷彿させる完成度の高さだ。
登場人物の心情描写で察するのが、ドラマの楽しみ
さて、「戦争の悲惨さの描写が生ぬるい」との感想が世間にはあるようだが、当blogは全くそうは思わない。例えば、夫が湯につかり、妻が火をおこす…そんな労働のあとの束の間の安らぎを描いた直後に、満月と猫の鳴き声のインサートカットから、夫の忠彦がまだ帰還せずに悲しむ克子、慰める福子が描かれた。
戦地に夫を送り出せなかった妹が、夫を戦地に送り出した姉を元気づける。それを克子の長女・タカが目を赤くして背中を向けて黙って聞いている。これだけで、戦争の悲惨さや恐怖は十分に伝わって来る。何も、隣の家に骨箱が届いたり、ケガした兵隊を歩かせたりするような直接的な表現をしなくても、心情で察するのがドラマの楽しみだと思う。
鈴が、アトリエで寝てしまうくだりも面白かった
さて、鈴が自分が夫婦と一緒にいるから子づくりが出来ないことを察知して、忠彦のアトリエで寝ちまうくだりも面白かった。克子のことは「そっとしておけ」と言うのに、福子の子づくりは「そっとしておけない」と言う鈴の矛盾。この辺も少々くどいが、ホームドラマとして無いのも不自然。特に当時の時代を考えれば…
つらい時代をどう生きたのかに重点を置いたホームドラマ
そして、突然の福子と敏子の再会と、敏子からのハナの近況報告。この辺もハンコ屋の設定がしっかりと活かされていて面白い。その夜、昼間の出来事を大きな独り言で喋る福子。で、いつぞやもあった、辛い時や苦しい時を楽しい時間にする福子のアイデアのくだりも終盤で描かれた。
N「こんな つらい時代ではあったけど
福ちゃんたちは もしかしたら とても幸せだったのかもしれません。
仕事もあって お金もたまってきて
ケンカもするけど 充実した毎日でした。
心配なのは 忠彦さんが帰ってこないことだけ」
ラストのこのナレーションを忠実に映像化した15分間。つらい時代を描くのではなく、つらい時代をどう生きたのかに重点を置いたホームドラマとして、とても良く出来ていたと思います。
あとがき
どうやら、次回から新キャラが登場しそうですね。戦地へ赴いている登場人物の分だけ人数が減っている中で、新キャラ登場までの “繋ぎ” としては、本当に良く出来ていますね。
事前の公開情報では、萬平を生涯に渡って支えるキャラの投入だそうで、これまた悪人でないようで、いい人たちの元気に生きる姿を毎朝見られるのは幸せですね。今回で忍び込んで来た人がそれかどうかは分かりませんが…
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