まんぷく (第25回・10/29) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第5週『信じるんです!』の
『第25回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
長く続いた戦争がようやく終わり、疎開していた福ちゃん、萬平さん、鈴さんは大阪に帰ってきました。戦後の深刻な食料不足の中で、闇市で高いお金を払って食料を買わなければなりません。福ちゃんたちは、持っていた着物を売ってお金を作ろうとします。そんなある日、福ちゃんと萬平さんはラーメンの屋台に長い行列ができているのを目にし…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
前回では…
前回の感想(仕事で投稿時刻が遅くなってすみませんでした)で、テンプレート化した「戦争表現」に対して、本作は違ったアプローチをして見せた…と書いた。そして、前回で地で敵国と戦えない萬平の情けなさ、怒り、苛立ち、苦しみ、そして、やるせなさ、福子の力強さと萬平への底知れぬ愛、福子と萬平と鈴の家族愛を見事に描いた。
お天道様の方を向いたひまわりの花を下から見上げたカット
さて、その週明け。一体どんな本作らしい「戦争表現」で楽しませてくれるのかきたいをした。前回でのショッキングな爆撃機からの襲撃シーンを振り返ったため、今週も戦争が続くのかと思いきや、お天道様の方を向いたひまわりの花を下から見上げたカットで、登場人物たちと視聴者を同時に “天を仰ぐ” イメージにさせて、あっさり気味に終戦の日へ。
N「皆 それぞれの思いを胸に終戦を迎えたのです」
このナレーションで5人の表情がクローズアップされた。その最後が福子のアップ。少し大人になったような、何とも言えぬ複雑な表情の福子が印象的なアバンタイトルだった。やはり、福子の本音が気になる本作だ。そして、今週の演出も先週同様に安達もじり氏。今週も印象に残る情景やインサートカットで楽しませてくれそうだ。
克子の子どもらの成長を、1人1つの短い台詞で描いた
主題歌明けは、まず福子の次姉・克子と4人の子どもらが疎開先から大阪へ戻って来るシーン。1人1つの短い台詞だが、それぞれの子どもたちが戦争と疎開を通して、ちょっぴり成長した姿が描かれた。あとは、焼け跡の中をとぼとぼと歩く5人家族の背中で、克子たちの終戦を描いた。やはり台詞より映像で見せることが大切だ。
子どもが、爆風対策で窓ガラスの紙テープを剥がす手のアップ
そして克子の家。克子と忠彦の長女・タカが爆風対策で窓ガラスに貼った紙テープを剥がすカットから始まった。「終戦表現」も様々なものが存在するが、子どもが紙テープを剥がす手のアップからと言うのは私にとっては意外に新鮮だった。更に、窓の外の強い日差しと暗い室内のコントラストが、命の明暗を分けたと言う雰囲気を醸し出したのも悪くない。
福子が風呂を沸かすために、家の外で薪をくべるシーンが秀逸
よく、こんなシーンを思い付くなと感じたのが、克子の家に居候させて貰うことになった福子が、風呂を沸かすために家の外で薪をくべるシーンだ。まず、脚本的には、「火」を気兼ねなく使える日常を描くことで終戦を何気に示した。
演出的には画面を大胆に縦に真っ二つに割って、下手(画面左)に夕日が当たって白く見える家の壁を配置し、上手(画面右)には日差しの影になった暗い場所を作って、その中で目立つように白のブラウスを着て、「火」の色と呼応するような橙色のもんぺを履いた福子を下手向きに配置。
この下手向きでうなだれている(下向き)だけで福子が不安を抱えていることが分かり、縦半分に分けられた構図で福子の心情がとても不安定であることを表している。そんな構図のシーンに、戦前の明るく元気だった頃の親しい人たちの回想を混在させることで、必要以上に回顧的にも悲観的にもならない、福子の漠然とした不安を見事に描いたと思う。
そして、このシーンのラストカットは、画面を縦に真っ二つに割るのは同じだが、下手の壁はほんの僅かで、上手からまるで覆い被さるような草木で、下手で下向きの福子をまるで圧し潰すかのような構図で締め括った。火が一段と燃えている様子と合わせて、いろいろなことを考え巡る内に、不安が大きくなってしまったと言うことだ。ここのシーン構成は評価したい。
闇市らしい賑わいの描写に、重点が置かれていた
さて、流石に闇市の場面はテンプレ化した演出になるかと思いきや、意外とゴチャゴチャした感じを前面に出さずに、1つの路地(通路)に場面を固定して、そこでの米軍兵への恐怖感や闇市のうさん臭さを描きつつ、闇市らしい賑わいの描写に重点が置かれていたように思う。そのお陰で本作らしさも確保されて良かった。
丁寧に優しく “生き抜く力” を描いた15分間だった
そして、終盤、福子と萬平が屋台でラーメンを食べるシーンも良かった。具の入っていない麺とスープだけの1杯のラーメンを2人で分け合って食べる。福子の前に置かれたラーメンを福子が萬平に勧めて、それを美味そうに食べる萬平。それを嬉しそうに見てから自分も食べる福子。代わりばんこに食べ合う夫婦…
福子「幸せになる一番手っとり早い方法は
おいしいもんを食べることかも」
戦争が終わっても変わらぬ夫婦愛を描いて終わるかと思いきや、最後の最後で恵と善之介の夫婦と再会するサプライズが。終戦を描く第1日目としては、盛り込み過ぎずに丁寧に優しく “生き抜く力” を描いた15分間だった。
あとがき
この位の戦後の描写が良いですね。暗過ぎず、辛過ぎず。そのさじ加減が丁度良いと思います。さて、バラバラになった人たちが次々と帰って来ると良いですね。次回に期待します。
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