まんぷく (第24回・10/27) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第4週『私がみつけます!』の
『第24回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
福ちゃんの懸命の看病と鈴さんのお百度参りのかいがあってか、目を覚ました萬平さん。病気の峠は越えました。それから数日後、萬平さんは入隊するものの、適性検査で落とされてその日の内に戻されてしまいます。情けなさと悔しさで落ち込む萬平さんを、福ちゃんは散歩に連れ出します。そこへ突然、米軍の戦闘機がやってきて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
とても神秘的な朝が始まる雰囲気で始まった
お百度参りをする母に感謝する福子に対して、「あなたのためよ」と答えた鈴が何とも愛しい母親像に映って始まった第4周の最終日。朝まで萬平の手を握ったまま眠ってしまった福子。静かに目を覚ます萬平。この直前の緑の葉に雨粒が落ちる田舎の朝の情景カットと相まって、とても神秘的な朝が始まる雰囲気だ。
もしも、このインサートカットが軒下から雨粒がボタボタと落ちる画だと単純に「朝が始まりました」とのお知らせだけで終わってしまったと思う。しかし、この演出家は奥行きのある構図の奥に「離れ」を入れたことで、「あのボヤけてよく見えない離れで、何か起こりそう」と見えるのだ。
三途の川のエピソードが秀逸過ぎる!
「昔の女の人」のお百度参りの甲斐もあって、萬平が病の峠を越えた。そして、幻想的なカットにした理由が判明するのが、「三途の川」のエピソードだ。
萬平の話によれば、夢の中で鈴が三途の川の向こう岸で「来るな」と言ったらしい。生きている者が三途の川の向こう岸にいるのはおかしいこと。だが、死後の鈴の姿を夢とは言え見てしまったことで、我が身の回復を素直に喜べない萬平のピュアな優しさも、美しくて良いじゃないか。
萬平の情けなさ、怒り、苛立ち、苦しみ、そして、やるせなさ
その反面で、自分の体調のせいとは言っても、生来の虚弱体質などでもなく、あくまでも濡れ衣を着せられた上での憲兵隊からの拷問の結果なのだが…。それでも戦地で敵国と戦えない萬平の情けなさ、怒り、苛立ち、苦しみ、そして、やるせなさが、痛いほどに伝わって来る。
萬平を励ます福子の台詞を深読みしてみる
そんな萬平を励ます、このあとの福子の台詞がダブルミーニングになっていると考えるのは、考え過ぎだろうか?
福子「戦争に行かなくとも
お国の役に立てることは きっとあります!」
福子「私は 萬平さんに 生きていてほしい」
この直後の鈴の台詞を含めて、福子と鈴の本音を直球で描いて、福子の力強さと萬平への底知れぬ愛、そして、3人の家族愛を見事に描いた。
と、同時に、今の視聴者たちの気持ちも代弁してやいないだろうか? 朝ドラの男の登場人物なら、戦地で苦しく辛い思いをして帰国する必要などないこと。戦時中も夫と一緒にいて、限られた中での幸せを感じる夫婦生活をするヒロインがいても良いことを。
きっとこんなさり気無い仕掛けも、本作と、その登場人物たちに共感したり応援したりしたくなる要因ではないだろうか。
テンプレ化した戦争を、違ったアプローチで魅せた
多くのドラマが、特に朝ドラが、戦争は愛する人を失わせる恐ろしい悪魔のような描き方をする傾向が強い。間違いとは言わないが、そんなテンプレート化した表現に対して、本作は違ったアプローチをして見せた。
そのような一面は描きながらも…
●赤紙に応えられない夫
●戦地に赴けない夫を励ましつつも、
本音ではこのままここで生きていて欲しいと願う妻
●そんな若い夫婦を小言を言いながらも見守る母
この3人の親子の複雑な心理を描くことに重心を置いた。これも、本作の斬新さの1つだと思う。ただ、喜怒哀楽を描くのでなく、その裏にある複雑な心の動きを丁寧に綴って行こうと言う作り手の意図が見える。そこが、素晴らしい。
あとがき
本作の開始早々に咲姉を退場させてその後は幽霊や夢の中や幻視のように幾度も再登場させたり、先日には “ブラック咲姉” として登場させたりと、死後の世界を斬新な角度から描く朝ドラだとは思っていましたが、三途の川にまだ生きている鈴を登場させて、家族愛を描くなんて面白過ぎます。
そして、台詞だけで済ませた演出家の采配も見事です。あそこで、再現映像なんかインサートしたら、ふざけ過ぎだった前作の二の舞になりますから。とにかく、今週前半の演出には不安が募りましたが、今のところは演出家が交替しても作品の質は担保されそうなので、一安心です。
なお、今週末は超多忙に付き、誤字脱字等の修正は週明けになります。
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