まんぷく (第14回・10/16) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第2週『…会いません、今は』の
『第14回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
軍から支給された物資を横流ししたという罪で逮捕された萬平さんを救おうと、福ちゃんは悩み続けます。心配したホテルの先輩の恵さんは、歯医者の牧さんとホテルの厨房係の野呂さんに頼んで、福ちゃんの様子を探ってもらうことに。すると、福ちゃんは親友の敏ちゃんとハナちゃんと一緒に憲兵隊の庁舎に乗り込んでいくではありませんか!
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
不思議で楽しい母と娘の会話劇が "見所" になれば…
咲が亡くなって、萬平が憲兵隊に捕まってから、鈴は咲を、福子は萬平を思い心配し過ぎて、互いの会話の内容が本当は噛み合っていないのに、視聴者には何となく繋がって聞こえるような不思議で楽しい会話劇が度々挿入されるようになった。これ、もしかすると一種の本作らしさになって、今後も続くと面白いと思う。
なぜなら、どうしても鈴の立ち位置が本作中で微妙な感じがするから、こうした不思議で楽しい母と娘の会話劇が見所になれば、鈴の存在価値が上がると思うから。
バラバラだった福子の知り合い達が "福子の応援団" になった
そして、物語は「引き攣った笑顔の福子」と、その元凶である「横領罪の鵺衣を着せられて逮捕された萬平」を基軸にして展開していくのだが、ここからがいつもの本作と変わって来る。これまでなら、咲が亡くなったシリアスな場面でもコミカルな要素を巧みに入れて、ホンワカしたムードを醸し出してメリハリをつけた。
しかし、この度の逮捕劇ではコミカル要素をバッサリと捨てて、ただただシリアスな描写に努めた感じだ。そのお陰で(もちろん脚本家の計算によるものだが)、これまでバラバラに存在していた福子の女学校時代と職場関係者たちが、“福子の応援団” として一度に集結して、福子の悩みを何とかしてあげようと言う優しさが強調された。
実は、このバラバラに存在していたのが少し気になっていたのだ。折角の登場人物だから、早い段階で “福子の応援団” として立場が確立すれば、今後起こるであろう様々な試練を乗り越える際に、家族だけの小さな物語に終わらせずに済む可能性が大きくなるから。それを第3週の火曜日に持って来たのは、早くて良いタイミングだと思う。
「福ちゃんの知らない萬平さんの顔でした」のナレの必要性
憲兵たちにハンストで無実の抗議をする萬平が、同室の稲村大悟(六平直政)に「やってもないことを認めるくらいなら 僕は死んでも構いません」と毅然とした態度を取り、横を向いた苦汁を舐める思いの萬平の横顔に、こんなナレーションが被る…
N「それは 福ちゃんの知らない萬平さんの顔でした」
もちろん、現在の福子と萬平の関係性からすれば、“福ちゃんの知らない萬平” が居て当然だ。当然のことなら、わざわざナレーションで補足する必要などないではないか! と言いたいところだが、ここに入れるべき理由があると思う。それは、福子の知らない萬平を視聴者の “あなたは知っている” ことをきちんと気付かせるためだ。
本作は登場人物たちへの感情移入や共感がし易い朝ドラであることは、これまでも書いて来た。これは、とても良いことだ。
「福子の知らない萬平」を視聴者は知っていると言うこと
しかし、ドラマの楽しみ方として、作品の世界にどっぷりと浸かうのと真逆に、客観的、俯瞰的な目線で作品全体を見下ろすみたいな楽しみ方もあると思う。この方が、「これから先どうなるのか?」が気になり易い。だって、主人公が知り得ない情報を “あなた” は知っているのだから。
そう考えると、雨降る中で夜になっても帰宅しない福子を心配する鈴の気持ちにも寄り添えるし、ずぶ濡れの泥だらけで帰宅した福子の辛さと悲しみ、福子の応援団たちの温かな気遣いに触れた(見た)時、視聴者にだけ「福子の知らない萬平」の映像が自然と頭に浮かんで来る…と言う仕掛けだ。
だから、当然、萬平がこの後どうなるのかも気になるし、福子の応援団が今後の展開でどんな役割を持つのかも気になる。この誤認逮捕劇、簡単に終わらせないのは、きっと「インスタントラーメン」以外の今後の展開にも興味を抱かせようと、必死に物語を練って練って作り込んでいるってことだと思う。
あとがき
単純に「大切な人を助けたい」と言う気持ちと「簡単に助けられない」と言う気持ちの両方を描くのは、多分そんなに難しいことでは無いと思います。ただ、そこに家族でなく「福子の応援団」を登場させて描くのは、意外と難しいと思います。下手をすれば、ただのお涙頂戴になりますから。でも、今回は友情を添えて描いた。なかなかのものです…
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