まんぷく (第13回・10/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第2週『…会いません、今は』の
『第13回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
福ちゃんの目の前で、萬平さんが憲兵隊に連れ去られてしまいました。共同経営者の加地谷さんによると、軍から支給された物資を横流ししたという疑いをかけられたとのこと。ショックを受けた福ちゃんは、親友の敏ちゃんとハナちゃんに相談しますが、二人もどうにもできなくて…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
第3週も、アバンからこの "濃厚さ" とは恐れ入った
本作は、比較的多く俯瞰の構図(カメラを上から下に向けて撮影する)を使うのだが、今回のアバンタイトルで憲兵隊と萬平とのいざこざの場面では、数カットが使われ、通常のハンディカメラのカットと俯瞰のカットの巧みな編集で、ただ「連れて行かれました…」的なシーンに終わらせなかったのはお見事。第3週もアバンからこの濃厚さか…
一人取り残された福子のカットを入れた演出家の英断
萬平が憲兵隊に連れて行かれて、一人取り残された福子が、商店街の奥に小さく映り、手前を風が吹き荒れ、まるで西部劇のヒーローが街を出て行ってしまったような殺風景な雰囲気でアバンは終了。わざわざこの1カットを入れた演出家の英断が素晴らしいと思ったら、何と第3週もこれまでに引き続き渡邊良雄氏だ。そりゃあ、完成度は持続するはずだ。
「横流し」と「精霊流し」
主題歌明けは、今井家。咲姉の死を悲しみ続ける母・鈴と、萬平のことで気が動転している福子で、理由は違えど同じように現状に戸惑っている母と娘を描く場面でも、「横流し」と「精霊流し」を間違えても、何となく母と娘だから、トンチンカンながら話のやり取りが出来てしまう辺りの脚本も本当に練られていて感心してしまう。
福子と萬平が "対" であることが印象付けられたカット
「大阪憲兵隊東大阪分遺隊」の憲兵分遣所内で萬平が取調べを受けるシーンのカットも良かった。前述の西部劇のような道の奥に小さな姿に映るこちらを向いた福子のカットに呼応(対になる)するように、画面手前に大きく映る背中姿の萬平。まずこれで、福子と萬平が “対” であることが印象付けられる。
そして、そのカメラは「事態の深刻さ」を表現するために、後ろ手に結わかれた萬平の手のアップからグイっと上を向き。憲兵を下から捉えて強さを強調。映像をよく見ると分かるのだが、萬平の座っている位置は壁のすぐ前。そう、萬平を背後から撮るには工夫が必要なのだ。しかし、それを施したことで、追い込まれた萬平が描かれた。
笑いが描かれるからこそ、悲痛が際立つ
で、場面はホテルのロッカールーム。幸吉と牧善之介の両方から求婚されて困惑している恵と福子が「困ってる」繋がりで、トンチンカンながら話のやり取りが成立しちゃう(まっ、結果は仲違いになったが)のが本当に良く出来ている。さっきの鈴との会話劇があったからこその笑い。
そして、その後もホテルの料理人の幸吉と歯医者の牧善之助のくだりで、コミカルなエピソードが挿入された。福子の仲良し三人娘の敏子とハナが福子に会いに来た時の、福子の涙。あれも、笑いが描かれるからこそ、悲痛が際立つのだ。
悲痛がきちんと視聴者に伝わっているから、共感出来る
そして、悲痛がきちんと視聴者に伝わっているから、敏子とハナが福子からの初耳で驚いた際に、二人に共感出来るのだ。もちろん、福子の涙にも感情移入出来るし、これまで萬平がどんな人間か? が、きちんと描かれいるから、福子と一緒に萬平の無実を信じることが出来る訳だ。こう言うのが、実に練られた脚本と言うことだ。
あとがき
本当に、脚本段階で相当きっちりと計算して積み上げているのが良く分かります。その上で凄いなと思うのは、1週間単位での物語の区切りの良さ。流石に脚本では「1話15分×6本」を想定して書いていても、演出で濃淡は出来てしまうはず。それを乗り越えて、きちんと週単位で話が構成されているのも見事だなと思います。
|
|
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
世界の食文化を変えた安藤百福 (洋泉社MOOK)
連続テレビ小説 まんぷく Part1 (NHKドラマ・ガイド)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11970/