まんぷく (第8回・10/9) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『まんぷく』(公式)
第2週『…会いません、今は』の
『第8回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
福ちゃんと萬平さんの初めてのデートです。幸せな時間を過ごして家に帰った福ちゃんを待っていたのは、萬平さんの存在に感づいた鈴さんでした。会社を経営しているという萬平さんとの交際に大反対の鈴さん。「あなたは大きな会社の勤め人と結婚するの!」と福ちゃんの言うことは聞こうともしません。そんな時、咲姉ちゃんが倒れたと知らせが入り…
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
アバンでは、二人が結ばれることを常に匂わせる
7回分のアバンタイトルを褒めて来たが、今回は少し違った感想を。今回の約30秒のアバンは、前回での再告白の場面だけ。これの意図するものは何か? 本作が恋バナでなく、「夫婦二人三脚による発明秘話」であることは、既に承知のはず。従って、福子と萬平がくっつくかどうかに尺を割く必要などないのだ。
前回でも描かれたように、戦争と言う時代を理由に福子と萬平が結婚すると言う、最初の行き着くべき場所に最短で行くべきなのだ。しかし、出会って次の日に祝言では流石に早計だ。だからこうして、2週目に入ってもあれこれ紹介を入れる。でも、それで良いのだ。大切なのは二人が結ばれることを常に匂わせておくこと。
そうしないと、福子と萬平のエピソードが、どこまで並行に描かれ続かれるのか不安になるから。「不安を与えない=安心感」は朝ドラにはとても大切で、「先が読める=つまらない」ではないのだ。そんな脚本家、いやアバンについては演出家の意図を感じた。
福子の自己紹介を「今井家の家族紹介」「結婚観」に
主題歌明けは、早速「初デート」の場面。そして、早々から自己紹介。その上、福子自ら「楽天家」とまで言ってしまった(笑) 本来なら、あれこれのエピソードから視聴者に「福子は楽天家」と感じ取らせるべきなのに、自分で言っちゃった。
しかし、3年前の咲の結婚式の回想を挿入しながら、福子の自己紹介を、萬平の台詞も使って「今井家の家族紹介」に仕立てて来た。更に、病床に臥せる咲や(克子の)香田夫婦のインサートカットを上手く使って、福子の「結婚観」を視聴者と萬平に提示もした。
既に何度も聞いている話だが、テンポが良くて趣向が凝らされているから、ちっともくどさがない。これがスゴイね。
萬平は自らの苦労を苦労と思わない強靭な精神力の持ち主
続いては、萬平の自己紹介の番。ラーメン屋デートに場面が切り替わって、前回では「んっ この梅干し しょっぱい」と言う僅か3秒足らずのたった1つの台詞で、福子のキャラを想像させて膨らませたのに似た場面があった。それは、萬平が不遇な生い立ちを話し始めたために、福子が「こんな踏み込んだ話を初デートで聞いて良いの?」みたいになった時…
萬平「食べて下さい。そんな深刻な話じゃないから」
こんなことを福子に言う。これって、この前段での福子の台詞「フフフ。楽天家やから 私」に通じやしないだろうか。福子は自称楽天家で、一方の萬平は自らの苦労を苦労と思わない強靭な精神力の持ち主だと言う、上手な対比に聞こえないだろうか。
本作が「夫婦二人三脚による発明秘話」あることを…
更に萬平に関しては、独立心と事業意欲が旺盛で、研究開発は得意だが営業が苦手と言うのも改めて描かれた。そして、萬平自ら、自分の将来像まで語ってしまった。
萬平「とにかく僕は 世の中の役に立つ仕事がしたい。
みんなが喜んでくれるような仕事を」
萬平は「世の中の役に立ちたい」ではなく「役に立つ仕事、みんなが喜んでくれる仕事」と、仕事を通して社会貢献したいと言う意志が強いことが分かる。この辺もストレートに本人に言わせることで、本作が「夫婦二人三脚による発明秘話」であることを暗に匂わせた。こうやって、ストレートに描くのは良いことだと思う。
もしも、あの赤い葉が「アカナンテン」だったら…
萬平の会社からの夕景の帰り道。画面手前の上手(右側)の日陰にアカナンテンの葉が大きく画面中央にせり出したカットがあった。日差しと影のコントラストが強くて冬らしい演出だ。そしてあの赤い葉がアカナンテンだったら、「難を転ずる」と言う語呂合わせから、魔よけの木として信じられている縁起樹。面白い演出だ。当たっていたらの話だが…
福子の「さようなら」も萬平の笑顔も朝ドラにも相応しい
そして、デートの最後は、暫く萬平側の真面目な話が続いていたから、最後はちゃんと萬平の「福子評」で楽しく括られた。福子の「さようなら」も、萬平の笑顔も初デートの締め括りに相応しい、そして朝ドラにも相応しい、明るく楽しい展開になった。
あとがき
冒頭から10分間で、楽しい初デートを描いて、残りの5分間でシリアスな展開へ。奇デートの途中に妙な “胸騒ぎ” をさせるような場面を入れずに、きちんと前後に切り分けて描いたのが良かったです。やろうと思えば、幾らでも倒れた咲を利用して、ドラマチックに描けたのに。それをやらないことも安心感に繋がったと思います。
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