カーネーション:再放送 (第101,102回・2018/8/28) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第18週『ライバル』の『第101,102回』の感想。
※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第101回】
優子(新山千春)は、いきいきと洋裁専門学校に通い、糸子(尾野真千子)も親身になってやる。直子(川崎亜沙美)は妬ましく見つめている。直子と聡子(村崎真彩)がひきに行った、だんじり祭の夜、集まった人々の前で、優子はスタイル画が認められて東京の学校を勧められていることを告げ、糸子に頭を下げる。糸子も今度は認める。優子が出発する朝、直子がいきなり飛びかかり大ゲンカに。原因は優子が手にしていたバッグだった。
【第102回】
昭和32年。聡子(村崎真彩)がテニスの部活から戻ると優子(新山千春)が帰ってきていた。原口(塚本晋也)という教師の話ばかりする優子に糸子(尾野真千子)はうるさがるが、千代(麻生祐未)は気を回して心配する。優子は直子(川崎亜沙美)に、店は自分が継ぐから画家を目指せと言う。いらつく直子。糸子は三浦(近藤正臣)から周防の近況を聞き、思いをはせる。一方で組合には同業の女性が増え、心強く感じる。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第101回】
「善作と糸子」を「糸子と優子」に重ねて描いたのは良い
本放送時は、2012年2月2日(木)で、第18週『ライバル』の4回目。時は、昭和30年(1955)の9月。前々回の感想で、今週は “以前の「善作 VS 糸子」を今度は「糸子 VS 優子」でやるの?” と言うようなことを書いた。
重ねたのは間違ってはいないが、問題が3つある
そして、今回はそれを更に進めて、「善作と糸子」を「糸子と優子」でやった。「やった」と言うよりも「重ねた」が正確な表現だろう。しかも、「糸子と優子」を「糸子と三姉妹(優子 + 直子 + 聡子)」に仕立てて「重ねた」のだ。そう、ドラマとしては間違っていない。しかし、問題が3つある。
[問題1] 個々のエピソードの尺が短過ぎる
1つ目の問題は、1つ1つのエピソードの尺が余りにも短いこと。今回も前半でチョコレートを媒介にした優子と直子のお話と、後半のだんじりの夜の優子の東京行きのお話の2本立て。因みに前回では、美大の受験を諦めた優子が、洋裁専門学校へ行く事になった経緯が、ほぼ省略された。
それを受けての今回なのに、何か大切な描写が端折られて、箇条書きになっているように見えてしまっている。やはり “内容の濃さと放送尺が釣り合っていない” と思う。
[問題2] 「糸子と三姉妹の母子物語」の描写が少な過ぎる
2つ目の問題は、これは最近いつも書いているが、「糸子と三姉妹の母子物語」の描写が全体的に少な過ぎることが原因だ。それは、「重ねた」つもりが、「重なっているように見え辛い」こと。脳内補完をすれば重ねられる。更に、好意的に脳内補完すれば、尚のこと重ねられる。
しかし、本作の最初の2か月は、脳内補完など全く必要のない位に、「善作と糸子の父子物語」は丁寧にしっかりと描かれていたのだ。だから、それと比較してしまうのは当然だ。だって、1つの物語の “同じ時間軸上での出来事” なのだから。
[問題3] 「不倫」で物語が分断された
3つ目の問題は、「糸子と周防の不倫関係」を約1か月も描いたことによる、物語の分断だ。朝ドラのヒロインの不倫を描くなとは思わない。糸子の実際のモデルのことを考えれば、描かない方が不自然だ。しかし、「1つ目の問題」にも関係してくるが、あそこまでの尺を割く必要があったのかってこと。
今は、再放送で連日2回分見ているが、これを本放送時の感覚で考えてみると、年末から周防が登場し、ほぼ1か月の間は「糸子と周防の不倫関係」がメインでは無いが描かれたのだ。そして、1月末に “突然6年の時間経過” で子役がいなくなり、「娘たちの進路を考える糸子のお話」になっている。
そして、放送は残り2か月を切った。通常の朝ドラの半年間の構成を例にすれば、最後の1か月は壮大なエピローグになるのだから、実質的な勝負はこれからの1か月、4週間と言うことになる。で、今回、優子が東京へ旅立った。この調子で直子と聡子に1週間ずつ割いたら、糸子の何を描けるのかと考えてしまうのだ。
"姉妹喧嘩からの…直子の涙のくだり" は、感動的だが…
さて、かなり厳しい感想になったが、最後のお母ちゃんの買ってくれた大切なバッグでの姉妹喧嘩からの…直子の涙のくだりなんて、そこだけ切り取れば、かなり感動的な場面であることは認める。でも、本作は飽くまでも「連続テレビ小説」だから連続していないと。エピソードの箇条書きでは困るのだ。
【第102回】
時間経過後の "状況説明" は "ドラマ" でない!
時は、昭和32年(1957)の秋。前回の終盤で、東京に旅立った優子が帰って来た。しかも、2年も時間経過して。東京に嫁に行った訳では無いから、帰って来るのをどうこう言うつもりは無いが、流石に、ここで2年も時間経過するとは予想外だ。それでも、本作らしい良い部分は確かに存在する。
単純に時間経過をさせずに、当時の大阪の服飾業界事情を描きながら、糸子の変化を並行して描いていたところなんて部分は褒めたいところ。しかし、ハッキリ言う。残念ながら、今回の15分間の多くは、優子が上京した前回から、今回であっと言う間に2年間も時間経過させたための “状況説明” であり、それは “ドラマ” とは言い難い…
年表の箇条書き状態を、田中健二氏の演出が上手く助けた
前回の感想で書いたように、今週が優子で、次が直子で、その次が聡子と順に描いていくなら、この手法、そう「適度に時間経過」させるしかないのだ。それは、遺憾ながら「年表のような箇条書き状態」と同じであると言わざるを得ない。
ただ、褒めたいこともある。脚本の構成そのものが、エピソードを単純に時間軸に沿って箇条書きになっているのを、演出家による演出がナレーション(これは、脚本家も絡んでいるが)と音楽で、必死に盛り上げようとしており、笑いあり涙ありの演出は成功している。
今週の演出担当が田中健二氏で良かった。※『半分、青い。』では同じ演出家とは思えない演出を見せているが…
あとがき
次回は、土曜日放送分ですね。ですから、恐らく今週のエピソードに決着をつけるはずです。その中心人物は順番で行けば、直子に違いありません。そうなると、益々「誰が主人公なの?」と言う状況になるような気がします。う~ん、流石に1週間で9年の時間経過は、やり過ぎだったように思います。
特に、この再放送で見ていると、頭が追い付きません。きっと、私の理解力が失速しているのであって、本作が失速しているのでないことを祈ります…
最後に。前回のかなり手厳しい内容の感想に 34回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。34人の内訳は分かりませんが、この再放送が初見の人が拙速な展開に戸惑いを隠せないのか、それとも一度観終えた人がこの辺から失速するのを知っていて拍手をくれたのか。
いずれにしても、三姉妹が各自の進路を決める前には、もうひと盛り上がりあるような気がしますし、そうなるのを期待しています。
残念ながら、まだ、本人は気付かずに “ネタバレ” を書いて「教えてあげるよ」と言わんばかりの人がいます。本当に “ネタバレ” は止めて下さい! 私以外にも、この再放送が初見で、番組と私の感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※暫く、テンプレです(謝)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11789/
【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16> 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55 56,57 58,59 60
第11週『切なる願い』
61 62,63 64,65 66
第12週『薄れゆく希望』
67 68,69 70 71,72
第13週『生きる』
73,74 75
第14週『明るい未来』
76 77,78 79
第15週『愛する力』
80 81,82 83,84 85
第16週『揺れる心』
86 87,88 89,90 91
第17週『隠しきれない恋』
92 93,94 95,96 97
第18週『ライバル』
98 99,100
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