健康で文化的な最低限度の生活 (第3話・2018/7/31) 感想

関西テレビ制作・フジテレビ系・『健康で文化的な最低限度の生活』(公式)
第3話『夢と金…家族崩壊の危機!絆を取り戻せ』の感想。
なお、原作の柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」(小学館)は未読。
えみる(吉岡里帆)は生活保護受給者・聡美(江口のりこ)の息子・欣也(吉村界人)のアルバイト代の件で、徴収の一部免除もあり得ると期待させた手前、京極(田中圭)に何とかならないかと食い下がるが、相手にされない。全額返済に納得がいかずギターをたたき壊した欣也が、ずっと家に帰っていないと知ったえみるは、京極から譲り受けたギターを手に家を訪ねるが、聡美は「音楽をやっている場合ではない」と言い放つ。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
原作:柏木ハルコ「健康で文化的な最低限度の生活」(小学館)
脚本:矢島弘一(過去作/毒島ゆり子のせきらら日記) 第1,2,3話
岸本鮎佳(過去作/演劇「艶∞ポリス」)
演出:本橋圭太(過去作/サイレーン 刑事×彼女×完全悪女) 第1,2話
小野浩司(過去作/リテイク 時をかける想い) 第3話
音楽:fox capture plan(過去作/ヤメゴク~ヤクザやめて頂きます~)
オープニング曲:安田レイ「Sunny」(SME Records)
主題歌:AAA「Tomorrow」(avex trax)
前回同様に良い所はたくさんあるが、良くない部分が増えた
前回までは、平日の夜9時に、生活保護をテーマにした連ドラを放送する意義や必要性があるとし、企画自体を褒めたし、元受給者の阿久沢(遠藤憲一)の使い方が良いのは今回も変わらない。ただ、企画の意義については、良くも悪くも話題性で第1話と第2話で相当数の視聴者に浸透したであろうから、今回の感想はその辺は引き算して書いてみる。
ケースワーカーと生活保護受給者家族の実態が、正確性に欠ける
そうすると、良くない事ばかりが浮かんで来る。
例えば、主人公のえみる(吉岡里帆)が生活保護受給者・聡美(江口のりこ)の息子・欣也(吉村界人)が行方不明になり探し歩くくだりがあったが、ゲームセンターなどお金のかかる場所ばかり探すのが気になった。主人公が既に昔のワル仲間と合流しているのを知っているなら話は別だが、そうは描かれていなかった。
また、主人公は寝る前の布団の中でもガチメイク。美粧関連で言えば、欣也の妹のリナ(瑞城さくら)の超ロングヘアだが、シャンプーやトリートメント代を節約するためにショートカットにするとか。もちろん、主人公が半田(井浦新)の隣りで聡美と欣也に説明する時に、感情的な話を一方的にするのも、流石に第3話でやられると共感し難い。
保護費も給料も、元は同じ国民の税金と言う "1つの財布"
そして何よりも折角、生活保護、特にケースワーカーの日常を描いているのに、ケースワーカーたちがのんびりし過ぎ。
今回の聡美と欣也のようなケースにあんなに時間と労力を掛けるなんてことは実際に聞いたことは無いし、実際に福祉事務所の窓口に行けば分かるが、終始電話が鳴りっ放しで、全員がせわしなく動いて、無言で立っている来訪者に気付くなんてことは殆どない。電話を掛けても一度でケースワーカーが出ることは殆どなく外出中だし。
結局、生活保護の無駄遣いも、使えないケースワーカーへの給料も、元は税金と言う同じ財布から出ているのだ。そのことが脚本家に理解されていないような気がする。
現実を知る人たちからケチが付くような内容では困る
テレビドラマだから、「主人公の成長物語」を組み込みたいのは理解する。そのために、主人公をドジでのろまで猪突猛進キャラに仕立てたいのも分かる。しかし、本作は「超」が付く程に現実社会の厳しさを描いているドラマだ。だとしたら、現実のリアルな部分と、虚構の作りものの部分のバランスをもっと考えるべき。
前回で欣也が持っていたエレキギターのメーカーが国産の安いが「Bacchus」で、今回で係長の京極(田中圭)が持って来たエレキが同じ国産だが時代感を醸し出した「Fernandez」のギターだとか、美術さんが頑張っているだけに、脚本家と演出家はもっとテーマを正確に描きつつ面白いドラマにする努力をして欲しい。
何度も書くが、本作の背骨の部分が描こうとしていることは間違っていない。世間に広く知って欲しいこと。そのためには、視聴率を上げるしかない。だから、現実を知る人たちからケチが付くような内容では困るのだ。
あとがき
主人公が、ドラマ上では主人公らしくなったのは認めます。それだけに彼女の言動の稚拙さは如何なものかなと。税金を納めるのが馬鹿馬鹿しく思えるような作品になりつつあるのは、本末転倒だと思います。至急、軌道修正した方が良いです。題材も良いし、原作が面白そうなのも画面から伝わって来るだけに、勿体ないです。
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