カーネーション:再放送 (第81,82回・2018/7/3) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第15週『愛する力』の『第81,82回』の感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第81回】
戦争中ずっと休刊になっていた雑誌が復刊し、そのアメリカンモード特集に糸子(尾野真千子)らは胸を躍らせる。闇市で鮮やかな水玉模様の生地を見つけた糸子は、さっそくサエ(黒谷友香)のためにワンピースを縫いあげる。しかし静子(柳生みゆ)から、それを着て恋人の復員を出迎えたいと頼みこまれ、仰天する。水玉のワンピースが大評判になったころ、美しい花嫁姿の静子をそっと見送る、糸子とハル(正司照枝)の姿があった。

【第82回】
オハラ洋装店では、新たに経理担当者を雇い入れる。やってきた松田恵(六角精児)に、その名前から女性だと思っていた糸子(尾野真千子)らは驚く。恵に人脈を広げるように勧められ、糸子は泉州繊維商業組合の寄り合いに参加する。そこで組合長の三浦(近藤正臣)、組合員の北村(星田英利)、そして紳士服職人の周防(綾野剛)らと知り合う。北村に勧められ、初めての酒を豪快に飲んでみせた糸子は、酔いつぶれてしまう。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第81回】新たな登場人物の受け入れ準備態勢を整えてた

本放送時は、2012年1月10日(火)。時は、昭和21年(1946)3月で、前回の3か月後だ。休刊だった『婦人美粧』が復刊し、巻頭特集の「アメリカンモード」に胸を躍らせる糸子たちオハラ洋裁店で始まった第81回。

いよいよ、本放送時も正月気分が完全に抜け、本作も後半戦の本格始動のため、前半戦での登場人物たちを退場させて、新たな登場人物の受け入れ準備態勢を整えてた、と言う15分だった。

新旧キャラの鮮やかで丁寧な切り替え風景が続く

しかし、本作が後半戦も素晴らしいと思うのは、大人の事情としては確かに「新キャラの受け入れ準備」なのだが、そう言う気配を一切感じさせず、むしろ大人の事情を勘ぐってしまう自分の腹黒さが恥ずかしくなる程の、鮮やかで丁寧な切り替え風景と言った方が正しい位だ。

最初は、糸子の妹・静子の片付け方だが(こう表現をするのが私の腹黒さ…)、嫁入りで家を出て行くと言うのは別に新鮮でも何でもない。でも、そこに至る過程が良いのだ。

まず、糸子が、木之元栄作と訪れた闇市の雑貨屋で、“鮮やかな青色の水玉模様の生地” を見つけたところから物語は動き出す。そして、第77回で戦争が終わって “おしゃれ” をしたくて堪らなかった様子のサエにワンピースを縫い上げる。

台詞の違和感を意図的に創り出し、視聴者を惹き付ける

サエも戦争でいろいろな大切なものを失った女性。そんな女性に、和服には無い “真っ青の生地に白の水玉の生地” を着て貰って元気を取り戻して欲しいと願い、糸子がこう言う…

糸子(M)「うちは 記念すべき1着目に
     サエの服をこさえてやりたいと思てました。
     あんな戦争のあとでも
     これ着て 生まれ変わった気ぃになってくれるんやったら
     そんなに嬉しい事はありません。

まず、ここまで放送尺で約6分で、戦後が本格的に動き出し、それに伴って “おしゃれ” と “女性の意識” の変化を同時に丁寧に描いた。そしてまた、ここで脚本が良いなと思ったところ。それは糸子のモノローグの最後の部分「そんなに嬉しい事」の「そんなに」だ。普通「こんなに」と言わないだろうか。

「そんなに」だったら「そんなに嬉しくない」と繋がるのが一般的なのに、「そんなに…嬉しい」のだ。なんか、糸子の本当に嬉しい気持ちを、ちょっとした違和感で引っ掛かりを持たせている、そんな印象を受けた。

サエ用の "真っ青の生地に白の水玉のワンピース" が静子を動かす

見事な展開はここからだ。このサエのために縫い上げた “真っ青の生地に白の水玉のワンピース” が3歳年下の糸子の妹・静子を動かすのだ。

ワンピースを見た静子は既に30歳で、今日その水玉のワンピースを着て恋人の復員を出迎えたいと、突然に言い出す。普通なら、サエがワンピースを着て街を闊歩して、世間の注目を浴びると言う展開になりそうなのに、突然静子の話になる。

本来なら違和感のある強引な展開に見えるはずだが、序盤で十分に “真っ青の生地に白の水玉の生地” への女性たちの驚きや、その記事で縫い上げたワンピースが持つ “女性の心を動かす秘めたパワー” が描かれているから、唐突さが薄れ…

むしろ “真っ青の生地に白の水玉のワンピース” を介在することによって、糸子とサエと静子の3人の女性の生き様が、1着の洋服で繋がった印象になるから、物語が途切れた印象が全くない。

更にこのくだりで、静子が恋人の存在を糸子に隠していた理由は、姉の糸子が夫を亡くしているのに、自分が幸せになるなんて…のように気を遣ったことを打ち明ける。そんな優しい静子に男前の糸子が言う台詞がいい。

糸子「あんたな。姉ちゃんを 何やと思てんや」

ここも、普通なら「姉ちゃんを 誰やと思てんや」と言いそうなのに「何や」と言う。そのことによって、大袈裟に言えば糸子は「姉」を超越した存在、例えば「おしゃれの伝道師」とか「天下の小原糸子」とか、そんな糸子の自信が見える台詞になっている。

この辺の違和感の使い方は、先の「そんなに」に通じる手法だ。続けて登場するのだから、脚本家が意図的にやっているのも間違いないと思う。ここがまずお見事。

ビックリする程のトントン拍子だが、全くご都合主義に見えない

そして、静子は “真っ青の生地に白の水玉のワンピース” を着て、店の前で恋人が来るのを待つ。やがて、恋人らしき男性が現れると、静子は駆け寄って男性に抱きつく。店内から、その様子を見ていたサエが驚く。

サ  エ「ご… ごっついな この頃の子ぉは」
糸  子「ほんま 人が見てるちゅうのに」
糸子(M)「これも 新しい時代が着たっちゅう事やろか」

当然、「水玉のワンピース」も予約殺到で大流行。ここまでビックリする程のトントン拍子だが、全くご都合主義に見えないのが本作の良いところ。なぜなら、糸子とサエと静子のそれぞれの心情が、ちゃんと連携して物語を構成しているからだ。

"糸子と勝の祝言" と組合せれば、連ドラの醍醐味を堪能

そして、時は、昭和21年(1946)5月。静子は、糸子が着られなかった白無垢を着て、布団に寝たままの祖母・ハルに挨拶をする。

静子「おばあちゃん。行ってきます」
ハル「きれえな花嫁さんや」
静子「今日まで お世話になりました」
ハル「達者で 幸せになるんやで」
静子「また すぐ帰ってくるよって」
ハル「アホか。帰ってきて どないすんや。達者でな」

静子は商店街の人たちの拍手と祝福の声を浴びながら、式へと向かう。静子は、2階の窓から見送っている糸子とハルの姿を振り返って見た。大声で名残惜しそうに静子に声を掛ける糸子。糸子の祝言の日を思い出す糸子の母・千代。

糸子「はよ行き。向こうさん 待たせたら
   また おばあちゃん 怒んで」
千代「せやなあ 糸子ん時は おばあちゃん 怖かったなあ」

この辺のやりとりは、放送自体はだいぶ前になるが、丁寧に且つ面白おかしく描かれた “糸子と勝の祝言” を見ていた視聴者なら、連ドラの醍醐味を十分に味わえる描写になっていた。

静子の後ろ姿でも、見送る糸子の笑顔でも終わらずに

そして、嫁入りの静子の後ろ姿でも、静子を見送る糸子の笑顔でも、その2つの何れでも終わらずに、この糸子のモノローグ↓で15分は締め括られる…

糸子(M)「静子を見送って ひとつき後の6月11日。
     おばあちゃんは 静かに息を引き取りました」

もはや、「常連キャラの退場劇」とは言えない程の感動的なホームドラマの1ページだった。女性の生き抜く強さも描かれ、新しい時代の幕開けも描かれ、小原家の1つの時代がまた終わりまた始まる “輪廻” も描かれた。糸子の母としての顔も描かれて、申し分のない静子とハルの退場。ホント、穴がない。

録画の仕方によって、ラスト数秒が録画されない事がある

話は反れるが、今回の1日に2回連続で放送されている再放送を録画すると、レコーダーによっては録画方式によって、例えば今回の最後の糸子のモノローグが録画されないことが分かった。要は、「16:20~16:35」と「16:35~16:50」と予約録画すると、「16:35」の数秒間が欠落してしまうのだ。それを防止するには「16:20~16:50」と録画設定を見直すなどの工夫が必要だ。



【第82回】新たな登場人物らの加入劇

時は、昭和21年(1946)7月。仏壇の遺影の数が1つずつ増えて行くのが、寂しい。さて、前回の感想で「前半戦での登場人物たちを退場させて、新たな登場人物の受け入れ準備態勢を整えてた」と書いた。そして、その準備態勢を活かしまくった今回の新たな登場人物たちの加入劇。

よ~く考えられた脚本だなと感心するのは、普通なら “新たな登場人物が騒動を起こし” て「誰だ! 誰だ?」と人物説明になるのに、本作では騒動を起こすのは主人公の糸子のほうだから、脚本家の「普通」をやらない「創意工夫」には恐れ入る。口先だけの「斬新な朝ドラ」とは比較にならない。

定番だから面白い "おっちょこちょいネタ"

でもって、本編。まず、松田恵(六角精児)の登場シーンだが、何のことはない「まつだ めぐみ」と言う名前から女性だと勘違いしていたと言う定番な “おっちょこちょいネタ” なのだが、そこに現れたのが六角精児さんだから、楽しくなる。

2回目の "おっちょこちょいネタ" には、創意工夫がある

そして、今度は、いつもの糸子よろしく、新しい所にはちょっと敵意を抱きつつ相手の懐の中に飛び込んで…からの “おっちょこちょいネタ” なのだが、2回目は少し凝って作り込まれていた。糸子は泉州繊維商業組合の寄り合いに参加する。そこで、酒癖の悪い組合員の北村達雄(ほっしゃん。)に絡まれる。

達雄「紅一点!」
糸子「は?」
達雄「初めて 女の商売人が交じるっちゅうさかい
   楽しみにしちゃあったのに
   あっかい花が来る 思ちゃあったら ただの里芋じょ!」
糸子「はあ?」

そりゃあ、「里芋」と言われただけでも、相当はらわたが煮えくり返ったはずなのに、「ひょっとしたら 酒 飲んだ事ないんちゃうんけ?」とまで言われたら、黙って引き下がるハズがない。期待通りに売られた喧嘩を買って、飲めるか分からぬ酒を勢いで飲み始めるが、今度は「うまい」と言って、グイグイと飲み始めちゃう。

そして、当然の如く酔っ払う糸子。そして、この日初めて会った長崎からやって来た周防龍一(綾野剛)に大迷惑をかけてしまう。

最後の尾野真千子さんの "顔芸" の名演技が素晴らしかった

翌朝、怒る縫い子の昌子と、笑う糸子と言うオチで終了。

糸子(M)「もう あの人に 金輪際 会う事がありませんように…」

ラストのこのモノローグを言う糸子を演じた、尾野真千子さんの顔芸と言っても良い名演技も素晴らしかった。

どんなに個性的な脇役が来ても、糸子は霞まないのがスゴイ

とにかく飽きない。これだけ一気に個性的な俳優陣とそれらが演じる個性的な新キャラが登場したのに、糸子の存在が全く霞(かす)むことがない。むしろ、周りが個性的であればある程、糸子の個性が際立って映る。

その理由は、誰よりも糸子自身が個性的だから。言い換えれば、主人公が強いってことだ。主人公が誰よりも強いから、主人公が動いて創り出される物語も強くなる。多少のことではビクつかない。しっかりと、糸子の人生が描かれ続けている。今回もお見事だった。

あとがき

六角精児さん、近藤正臣さん、ほっしゃん。さん、そして綾野剛さんも出演されていたんですね。前回で2人退場して、今回で一気に4人も投入。それも結構な癖のある個性的な登場人物たちだけに、騒動を巻き起こして…と考えそうなのに、それをやらなかった脚本の渡辺あやさんは、スゴイです。

まあ、逆説的に考えると、あまりにも個性が強過ぎるから騒動は糸子に任せて、15分を上手にまとめた訳でもありますが。いずれにしても、こう連続して飽きさせないのはお見事でした。

最後に。前回の感想に 139回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。『カーネーション』の放送の2年前に「渡辺あや×尾野真千子」のコンビで放送されたNHK 広島発ドラマ「火の魚」の劇場版をDVDで見ました。感想も書きました。まだ未見の方には、是非ともご覧になるのをお勧めします。

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,1617,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
 49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55 56,57 58,59 60
第11週『切なる願い』
61 62,63 64,65 66
第12週『薄れゆく希望』
67 68,69 70 71,72
第13週『生きる』
73,74 75
第14週『明るい未来』
76 77,78 79
第15週『愛する力』
80

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