カーネーション:再放送 (第60,61回・2018/6/15) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第10週『秘密』の『第60回』と、第11週『切なる願い』の『第61回』感想。

 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第60回】
善作(小林薫)は勝(駿河太郎)の連隊を訪ねたが、会うことはできなかった。糸子(尾野真千子)は歳暮として野菜を近所に配ることにし、その中にそっと安岡家を加える。勝が日本を離れたと知って間もなく、澤田(三島ゆり子)らが訪ねて来て、勝のミシンを資源として供出するように糸子に迫る。死んで国の役に立てという言葉に糸子は激怒し、その夜は隣にいない勝を愛しく思う。しかし、階下では善作に大変なことが起きていた。

【第61回】
善作(小林薫)が火鉢に油の瓶を落としたことから火事になり、糸子(尾野真千子)は身重の体も忘れて必死に善作を助け、病院へ運び込む。一命を取りとめたものの、善作は絶対安静を命じられて小原家へ戻って来る。千代(麻生祐未)や妹たちに頼ることもできず、休む間もなく後片づけを始める糸子だが、陣痛が来て、その夜、三女を産む。無事誕生を知って、隣の部屋で寝ていた善作もハル(正司照枝)も安どの涙を流すのだった。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第60回】初見の視聴者にも分かるように描かれている

第60回は、第10週の土曜日。劇中は、昭和17年12月末。本放送時は、2011年12月10日。劇中も放送時も年末である。こんな感想の書き出しで始まりたい程に、テレビの中の年末の世話しない雰囲気が心地良く伝わって来た序盤の、節目の第60回。

相変わらず、オハラ洋装店の景気が良いらしく、ただ戦争と言う時代であるために、商品代金の代わりに野菜などを持って来る客が多くて、それら野菜をお歳暮としてご近所に配る糸子。こんなことが、この第60回が初見の視聴者にも分かるように描かれているのが、本作の良いところだ。

木之元電気店の節子が「糸ちゃん」と言ったのが良い

で、糸子自身は、野菜をもって木之元電気店へ行く。そこでの糸子と栄作の妻・節子とのやり取りが良かった。子供?の頃の糸子は、無口で不愛想で冷たい態度の節子を怖がっていたが、節子が糸子のことを「糸ちゃん」と呼んでいたことで、節子が少々人見知りをする性格であったことが分かった。

短いシーンだが、最初の頃から度々登場する人物だけに、久し振りに描かれると、連ドラとしての楽しさが味わえる。

安岡家を案じる糸子の優しさも描かれた

木之元電気店から帰宅した糸子が、接客をしている。そう言えば、糸子がミシンを踏まずに接客をし、ミシンの音が背景に流れているのは、意外に新鮮だ。そして、妹たちや従業員たちの変化も微妙に描かれて、さりげなく時間の流れが描写される。そんな中で、安岡家に歳暮を届けに行った縫い子・りんが帰って来る。

りんは、背の高い女性(八重子)に歳暮を渡したと伝え、おばさんは見たが、男性はいなかったと話す。それを聞いた糸子にこんなモノローグが被さる。それも、年を跨いでと言うのが、なかなか良い。モノローグと映像がピッタリとシンクロしており、違和感が無いからだ。

糸子(M)「よかった、ちょっと安心やな。
     受け取ってさえくれたんやったら
     この正月には 雑煮が食べられてるやろ。
     お煮しめも きんとんも こさえられるだけ
     野菜かて 入れといた」

この年跨ぎの展開が良かったのは2つ。1つは、小原家が無事に正月を迎えられたことが描かれたこと。もう1つは、糸子が安岡家のことを気に掛けていることが描かれたこと。こう言う糸子の優しさの描写も、とっても大切だ。男勝りで、イケイケどんどんな性格以外を描くことで、糸子と言う人間の幅が描ける。そして、それが魅力に繋がるから。

本作のヒロインは、自分の正直な気持ちを良く喋るのが魅力

木之元のおっちゃんが、明るい表情で店にやって来る。が、「昨日な 勝君 大陸へ渡ったて」と低いトーンで話した。年末年始で忙しく、恐らく前々回と前回で描かれた夫・勝の浮気疑惑のことなど忘れていたに違いない。そんな糸子のモノローグ…

糸子(M)「一日中 ほんなんが 頭の中が グルグル グルグル…
     出征してしもて 悲しさやら心配やら ない事はないけど
     他で グルグルし過ぎて
     そこまで気ぃが いけへんちゅうんは ええんか悪いんか…」

とにかく “ええんか悪いんか” 本作のヒロインは自分の正直な気持ちを良く喋る。台詞で喋って、モノローグでも喋る。だから、主人公が今をどう感じて、何を考えているのか視聴者全員がお見通し。

これが “ええんか悪いんか” は、普通のドラマなら微妙なのだが、本作の糸子に於いては、最初からずっと踏襲されているから、それが完全に魅力になっている。

主人公が「語り」を務めているせいもあって、主人公の台詞がとても多いが、『半分、青い。』のヒロインのように、何かを喋る度に視聴者を不快にさせたり、今度は何を考えているんだ? と不安にさせたりするより、ずっと良い。

いや、ドラマとは登場人物、特に主人公の人間性を描くものだから、本作のやり方が正解なのは言わずもがななのだが、朝ドラ好きとしては、ついつい愚痴も言いたくなる。

糸子の台詞と語りを工夫して組み立てる脚本だから飽きない

大日本婦人会の女性4人が、店にやって来た。勝が使っていたミシンを供出しろと言う。特に、婦人会のリーダー格の澤田(三島ゆり子)から、キッツイ言葉が糸子へ浴びせられる。

澤田「いやしくも 日本の妻 夫を 戦地に送り出したら
   潔く 遺骨になって 帰ってくるのを願うべきやないんですか!?
   死んで お国の役に立ってこそ
   旦那さんの値打ちちゅうもんです!」

当然、「何?」と反論し始める糸子だが、善作と昌子が慌てて糸子の口を塞いで、何とかその場を収めた。その晩、糸子は悔しくて寝付けない。父の善作も目が覚めて眠れないと言う。この辺が、似た者親子をよ~く表している。寝付けない糸子が勝のことを思い出す…

糸子(M)「大きい ぬくい背中 笑たり しゃべったりする顔 心
     それが 全部 骨になってこその値打ちや ちゃうんか。
     こんだけのもん 石炭みたいに ボンボン燃やして
     日本は 一体 何が欲しいちゅうねん」
糸     子「戦争て 何やねん?」
糸子(M)「ああ あかん。考えた あかん。はあ~ 寝よ 寝よ!
     どうせ 浮気してた旦那や。浮気やで 浮気…」

このシーン、序盤では糸子が1人で寝ており(眠ってはいない)、やがて勝が横に寝ていた頃の映像が重なり、最後はカメラがずーっと上に引いて行くと、家族みんなが二列の川の字で寝ているアングルで落ち着く。女、妻としての思いに、母や姉と言う心情もさり気なく重ねた感傷的でグッとくる描写だ。

そして、序盤では年跨ぎのモノローグ、終盤では台詞をモノローグで挟んでと、大量の糸子の台詞と語りを工夫して組み立てているのが分かる。だから、飽きないのだ。

月曜日が気になってしょうがない…

そして、夜中、善作が懐炉を戸棚箪笥から取り出そうとするが、引き出しが中で引っ掛かって箪笥がガタガタと揺れたと思ったら、懐炉用のオイル瓶が火鉢の中に落ちる。爆発音と悲鳴で糸子は飛び起きる。月曜日が気になってしょうがない…

【第61回】「1週間縛り」の概念が無いからこその面白さ

週明けの月曜日だ。度々書いているが、本作には「1週間縛り」と言う概念が無い。普通なら火事の後始末は土曜日に組み込んだ方がすっきりしたと思うが、視聴率を考えたら月曜も頷ける。ただ、基本的にこの脚本家に「1週間縛り」は無いから、こうして再放送として連続してみると、実に面白い(火事ネタで不謹慎かも知れないが)

最後の「心細いわ」だけが、台詞になっている巧さ

上で書いた通り、火事の後始末は淡々と進んで、その間に糸子の陣痛が始まり、産婆も駆け付け準備が整う。ここまで、約10分。糸子が糸子は痛みをこらえながら階段を昇るシーンで、今回で最初のモノローグが入る。

糸子(M)「何でもかんでも
     自分一人の力でやってきたつもりでいちゃあったけど
     どんだけ 周りに 助けてもうちゃったかっちゅう事が
     こないなってみて 初めて分かりました。
     お父ちゃん 勝さん おばあちゃん うちなあ…」
糸     子「心細いわ…。うん う~ん!」

最後の「心細いわ」だけが、オンの台詞になっていることで、本当に糸子が心細いことが強調された。

モノローグを2つだけにして、俳優の演技にドラマを託し切った

そして、今回、2度目のモノローグ。無事に第3子の女の子が産まれた喜びの台詞だ。

糸子(M)「こんな夜に産まれて来た
     ほんだけで あんた 一生分の手柄やで
     ちゅう気がしました」

うん。本当にこの第61回も素晴らしい。何が素晴らしいって、前回で大量に投入された糸子の感情を示すための、特にモノローグをたった2つだけに絞り込んで、俳優の演技にドラマを託し切ったことだ。そのお陰で、俳優さんたちの演技を堪能することが出来た。

特に良かったのは、退院して来て横になっているだけで顔でしか演技が出来ない善作を演じる小林薫さんと、第3子を産んだばかりの糸子を演じる尾野真千子さんのやり取り。台詞は糸子側からの一方的だが、目と目で伝わる父親と娘の関係を、微妙な眼差しの芝居で見事に魅せた。

出来れば、3日に1度は、この位にモノローグを控えたドラマにして欲しい。

あとがき

善作のボヤ騒ぎは、第3子誕生秘話だったと言う訳ですね。なかなか、感動的な父と娘の物語に仕上がっていたと思います。それに、ちゃ~んと小原家の家族の物語も一緒に描かれており、更に「妊婦が 火事 見たら おなかの子に あざが できる」と言う迷信を組み込んで、悲痛なドラマの中に、ユーモアを添えて、緊張を緩和させたのもお見事でした。

最後に。仕事の都合で投稿が翌日になってしまった前回の感想に 102回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。今日の土曜日と月曜日の組合せは、焦らされずに良かったです。本放送の時は、さぞ日曜日が長かったと感じたんじゃないでしょうか。さて『切なる願い』と題された第11週で描かれる “切なる願い” とは、善作の治療なのか、はたまた誰かがまた出征するのか、目が離せません。

ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人がいます。「この後あの役を誰が演じる」と言うのも困ります。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※今週末まで、テンプレです(謝)

6月18日(月)の再放送は「国会中継」でお休みです。次回の放送は、6月19日(火)です。

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,1617,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
 49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55 56,57 58,59

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