カーネーション:再放送 (第56,57回・2018/6/13) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第10週『秘密』の
『第56,57回』の感想。
※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第56回】
八重子(田丸麻紀)が、糸子(尾野真千子)と玉枝の間をとりなすが、糸子は追い返してしまう。内心落ち込んでいた糸子だが、昌子(玄覺悠子)のしったで目が覚め、家族のため仕事に専念すると誓う。昭和17年、衣料品売買には切符が必要となり、善作(小林薫)が来て整理を手伝うようになる。2人の娘に手を焼きつつも仕事に励む糸子は3人目を妊娠中。一方、勝(駿河太郎)は、夜釣りと称して出歩くことが増えていた。
【第57回】
勝(駿河太郎)に初めて歌舞伎に誘われ、驚きつつも一緒に出かけた糸子(尾野真千子)。最初はおっくうだったが、戦時下でもオシャレをした女性を街中で見かけて刺激を感じる。歌舞伎座で美しい女に声をかけられた。女は糸子に、勝がひいきにしている料亭の者だと挨拶する。心斎橋百貨店で思いがけずショールを買ってもらい、うれしくなった糸子。家に帰ってから、これからはオシャレもし、夫や子どもたちを大切にしようと思う。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第56回】「1週間区切り」を意識させない構成が…
再放送は、1日空くと余計に1週間の区切りが分かり難くなる。と言う訳で、第56回は第10週の火曜日である。しかし、意外と本作は「1週間」と言う単位に囚われて脚本が構成されていない節がある。そのお陰で、1日2回分続けて土曜と日曜なんて放送の時もあったが、お願いいたします。違和感なく見ることが出来た。
本放送の時には、これをどう感じたのか分からないが、この再放送で見る限りでは、「1週間区切り」でないのが見辛かったのか、それとも連作短編みたいな楽しみがあったのか。いずれにしても、興味深い構成ではある。
いつもの主題歌の歌詞が、いつもと違って感じた…
さて、偶然にも1日空いたお蔭で、この第56回の僅か14秒間のアバンタイトルの強烈さ際立った。もう、この先に何が起こっても不思議でないし、そう視聴者に思わせる脚本家と演出家の意図が滲み出たアバンだ。
だから、いつもの主題歌の冒頭の歌詞が、いつもとは違った意味を持って、こちらの心深くに響いて来た。糸子のことでもあり、玉枝のことでもあり、勘助のことでもあるような…
♪小さく丸めた躯は今
かなしみ隠し震えて
命を表しているのね♪
たったの5分で、緩急が凄すぎる!
主題歌明け…これまた、すごいな。雷雨の中の次のシーンが、玉枝との仲を取りなしに来た八重子を糸子が追い返しちゃうんだから。普通なら、しょんぼりしたヒロインを夫が励ます辺りが既定路線だろうに、本作のヒロインはこう言っちゃった。
糸 子「うちは お宅らの身内と ちゃうさかい」
八重子「えっ?」
糸 子「辛抱する筋合いないわ」
その後も、まるで八重子に石を投げつけるように、玉枝に言われたことへの反論、いや主張を一方的に続けて、八重子を放ったらかしにして店に入ってしまう。が、ここからが本作らしい緩急の付け方だ。
八重子から見えない、角を曲がった瞬間に糸子の表情が変化する。息を深くついて、今にも全身が震えだしそうな糸子になった。2階の自分の部屋に上がった糸子は、部屋で遊んでいた次女の直子を後ろから強く抱きしめて、こう言った。
糸子(M)「アホか 八重子さんに当たって どないすんねん」
まるで、今の糸子がいつもの母親と違うことを察したように、糸子の手から離れた直子が大声で泣き出す。まるで、母親の代わりに泣いているかのように。ここまで、たったの5分。緩急が凄すぎる…
一体、糸子は、どこまで強く生きようとするんだ!?
1階で客の対応に追われていた昌子が動き出すと、物語も一気に動き出す。店は忙しいのに、ゴロゴロしている糸子に仕事をさせようと部屋から引きずり出そうとすると、勢い余って階段から落ちてしまう。階段から落ちると男女が入れ替わる映画があったが、本作の糸子は「おおきに。目覚めたわ」と騒動の前の糸子に戻ってしまう。
糸子(M)「うちには家族がおる。7人の縫い子を抱えてる。
どんだけ憎まれようが 負ける訳には いけへんねん」
その調子のまま、糸子は安岡家に行き、野菜や魚が入った籠をそっと玄関に置いて走り去った。まるで、捨て台詞のように、こんな言葉を残して…
糸子(M)「さいなら。もう二度と 来えへんよって」
「スゴイな」と言う言葉しか出ない。一体、どこまで糸子と言う人間は強いんだ? いや、どこまで強く生きようとするんだ? でも、そんな糸子だから応援したくなる。
想定外の展開で、本作らしさ、糸子らしさを堪能…
場面も時も変わって、昭和17年(1942)9月。前回が、昭和16年12月だから丁度9か月が経過したことになる。そして、仕事も順調、父の善作との仲も順調、そして夫婦の仲も順調ってことで、さりげなく第3子を妊娠中であることも描かれた。この、前回と今回の序盤の5分間が、まるで無かったような展開には驚かされた。
そして、更に驚かされたのは、放送時間が残り1分を切った時点で、昭和17年11月まで更に時間経過されたことだ。と言うことは、糸子は、あの「さいなら」から、約丸1年の間、玉枝はもちろん、八重子とも勘助とも会わなかったことになる。いやぁ、この15分間は想定外の展開で、本作らしさ、糸子らしさを堪能した。
【第57回】アバンの勝の台詞にフラグが隠されているとは!
もう、アバンタイトルから飛ばしてる。前々回から前回と怒涛の展開に驚かされたが、今回の最初の台詞が糸子の「歌舞伎?」だから、これまた驚いてしまった。勝が夫婦で歌舞伎に行こうと言い出した訳だが、まさかこの時の勝の台詞にフラグが隠されているとは思わなかった。と言う意味でも、今回も巧みなアバンであると言わざるを得ない。
この勝の台詞が今回のキーワードだ!
お出かけ用の着物に着替えて出かけようとする糸子に、祖母・ハルが「紅ぐらい ささんかいな」と注意した。それから、約10分間、次の勝の台詞が登場するまで、糸子と勝の夫婦の “非日常的な日常” がテンポ良く描かれる。
歌舞伎を観終えて、心斎橋の百貨店に寄ったついでに、勝が糸子にショールを買ってやると言い出して、糸子が嬉しそうにショールを身にあてがっている時に言う、この勝の台詞が今回のキーワードだ。
勝「何や こないしてみたら お前も 女やな」
糸子が "1人の女性" として家族を "宝" と言う気持ち…
久し振りに、いや結婚以来では初めて、糸子が “1人の女” として描かれた。仕事のこと、育児のこと、ご近所付き合いなどなど、あれやこれやと頑張っている、時に男勝りな糸子も、夫の勝にとっては “1人の女性” なのだ。そして、帰宅して床に入った糸子が寝ている勝の背中に向かって言うモノローグが、巧みに出来ている。
糸子(M)「戦争中でも 月は出る。虫かて 鳴く。
優子 直子… お腹の子。それから………… 勝さん。
うちは まだまだ こんなに宝を持ってるんやな。
立ち止まって ふと気付いてしもたら
その事が ありがたいやら 怖いやら。
無くしたな。おらんようにならんといてほしい」
今回は徹底的に糸子を "女" と "妻" として描き切った!
翌朝、紅をさす糸子。とにかく、今回は徹底的に糸子を “1人の女性” として、また “勝の妻” として描き、女性として、妻としての 幸せを “宝” と言う言葉で表現しながら描く、描く。
そんな “糸子の日常” を描き続けながら、今回も残り1分を切った頃、時は、昭和17年(1942)12月1日に時間経過。いや、時間経過と言うより時代の流れと言った方が良いかも知れない。ついに、勝に赤紙が来てしまう…
今週は毎回サプライズ的な構成が使われているから…
この15分、序盤で勝に「わしかて いつ 赤紙 来るやしれへんやど?」の台詞を言わせて、中盤でがっつりと “日常” を描き、最後の最後でフラグを回収。構成が巧みなのは言うまでもないが。
第56回の感想の冒頭で書いた「1週間区切り」をあまり意識していない構成と言う部分で考えると、他の放送回でも糸子を “1人の女性” として、また “勝の妻” として描いても良かったかも? って思う。
でも、ドラマチックと言う意味では、今回みたいに突発的に描くのも悪くない。いずれにしても、今週は毎回サプライズ的な構成が使われているから、次回も出征の他に何かあるかも。楽しみである。
あとがき
すっかり、安岡髪結い店の面々や奈津が登場しなくなりましたね。その分、小原家の物語が充実して描かれています。まるで『サザエさん』や『ちびまる子ちゃん』みたいに。正に、ホームドラマですね。次回も楽しみです。
最後に。前回の感想に 184回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。第56回と第57回の組合せも、面白かったですね。糸子の心情が丁寧に描かれており、満足です。本作の “半分” で良いから、今放送中の朝ドラも応援できるヒロインを描いて欲しいです。
ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人がいます。「この後あの役を誰が演じる」と言うのも困ります。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※今週末まで、テンプレです(謝)
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
カーネーション オリジナル・サウンドトラック
カーネーション オリジナル・サウンドトラック2
「朝ドラ」一人勝ちの法則 (光文社新書)
朝ドラには働く女子の本音が詰まってる (ちくま新書)
みんなの朝ドラ (講談社現代新書)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11482/
【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16> 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
49 50,51 52,53 54
第10週『秘密』
55
- 関連記事
-
- 半分、青い。 (第64回・6/14) 感想 (2018/06/14)
- 正義のセ (第10話/最終回・2018/6/13) 感想 (2018/06/14)
- カーネーション:再放送 (第56,57回・2018/6/13) 感想 (2018/06/13)
- 半分、青い。 (第63回・6/13) 感想 (2018/06/13)
- 花のち晴れ~花男 Next Season~ (第9話・2018/6/12) 感想 (2018/06/13)