カーネーション:再放送 (第54,55回・2018/6/11) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第9週『いつも想う』の『第54回』と、第10週『秘密』の『第55回』の感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第54回】
昭和16年7月。女性のオシャレを排除しようとする流れに、玉枝(濱田マリ)らの安岡髪結い店は苦しんでいた。糸子(尾野真千子)のオハラ洋装店は相変わらずの繁盛だが、勝(駿河太郎)の仕事は減っている。ある日、勘助(尾上寛之)が戦地から戻って来るとわかり、善作(小林薫)らも大喜び。糸子は張り切って歓迎会の準備を進めた。だが勘助は歓迎会に現れず、祭りにも来ないことを不審に思った糸子は、直接訪ねることにする。

【第55回】
昭和16年12月、太平洋戦争が始まる。糸子(尾野真千子)のもとに国防婦人会の澤田(三島ゆり子)たちがやって来て、モンペを強要する。嫌がっていた糸子だが、その動きやすさを気に入り、戦争中、モンペでもオシャレを忘れない女性がいると実感する。ある日、糸子は、戦地から戻って閉じこもっていた勘助(尾上寛之)が仕事に出ていると知り、サエ(黒谷友香)に会わせて元気づけようとするが、大きなショックを与えてしまう。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第54回】登場人物の日常で、戦中の生活を丁寧に描く

第54回は、第9週の土曜日。そして、劇中は。昭和16年(1911)。第51回が昭和15年の秋であり、玉枝たちの服装の季節感からすると、半年以上は経過した、どうやらことになるようだ。

とにかく、日常の描写だ。戦争中であることの描写、それを資料的映像や解説に頼らずに、1つ屋根の下に住む夫婦・糸子と勝の商売の繁盛の仕方や、奈津の料亭「吉田屋」の軍需景気、そして玉枝と八重子の「安岡髪結い店」のパーマネントの話など、登場人物らの日常を描くことで、戦時中の生活を丁寧に描いたのには、とても好感が持てた。

廃人状態の勘助の心情を、巧みな映像で魅せた!

そして、そこへ届いた勘助の帰還の便り。そして、家に帰って入るのに、冒頭で「再来週のだんじり」と言っていた祭りにも来なかった勘助のくだりへ。

前回も書いたが、特別な人たちの特別なお話でなく描いているのが良い。10分過ぎ、糸子が髪結い店にやって来た。驚きと共にため息をつく玉枝と八重子の1カットの表情だけで、“勘助に何かが起こってる” ことが分かる。

糸子は少し緊張した面持ちで、勘助の部屋の扉を開けると、そこには壁に寄り掛かっている勘助が座っていた。カメラアングルと上から下からと巧みに切り替えて、電球が点いていないことを見せたり、帽子を被ったままの勘助の力ない表情を見せたり…

また窓からの外光(且つ逆光)を上手に活かした不安定な構図と、露出オーバー気味な紗が掛ったような映像効果で、戦地での体験によって廃人状態になった “まるで霞のようにもわもわとしたようはハッキリしない心情” を映像で魅せた。

糸子と八重子の気持ちがしっかりと込められた台詞…

そして、八重子が改めて、勘助の現状を糸子に説明にやって来る。今回がいつもと違う雰囲気を漂わせているのは、土曜日の13分を過ぎても、これと言った印象的な「語り」を使っていないからだ。普通なら糸子が勘助に対して想像したことを入れそうなのに。

そんな終盤での糸子と八重子のやり取りが良かった。2人の気持ちを曖昧な台詞で済ませずに、しっかりと気持ちを台詞に乗せて喋らせたから…

糸 子「もう 戻ってけえへんの? その 心ちゅうんは」
八重子「戻って来る… って信じたいと思てるよ。
    うちも お母さんも 泰蔵さんも…
    やっと 自分のうちでゆっくり眠れて…
    お母さんの作ったごはん食べてるうちに…
    元の勘助ちゃんに…」
糸 子「戻るわ! 絶対 戻るわ! こんなん 大げさに考えたら あかん!
    あの へたれが 戦争なんかに行かされてしもうたさかい
    ちょっと ぼ~っと なってしもたんや!
    すぐ戻る。すぐ戻るわ 八重子さん!」

ラストの1行。これがモノローグのお手本だ!

そして、今回の最後の最後、超がつく程に印象的な糸子のモノローグで15分間が締め括られた…

糸子(M)「大きい声で言いながら
     誰よりも うちが そう思いたかったんです」

これ、モノローグのお手本と言って良いと思う。その直前で感情を爆発させた台詞を言わせて、その直後のモノローグでなぜ大声で言ったのかを視聴者に告げる。モノローグはこうでなきゃ。抽象的な台詞や曖昧な映像の補完の役目で使う脚本家が多いが、本作は違う。きちんと台詞とモノローグの使い分けが出来ている。

その上、それが「語り」として、物語を次の展開へけん引する役目を果たすことも、ちゃんと理解されているから、最後の1行にこのモノローグが書けるのだ。1週間の締め括りとしても、15分間としてもお見事と言わざるを得ない。

【第55回】最初の糸子のモノローグに驚いた!

劇中は、昭和16年(1911)の12月8日。予告編で、今週が本作の最初の大きな山場になりそうなことは分かっていたが、まさか、月曜日のヒロインの最初の言葉が、このモノローグになるとは驚いた。

糸子(M)「終わるどころか また始めりよった」

前回で描かれた、廃人状態になった勘助にめげそうになった自分を、八重子を、励まそう、勇気づけよう、負けたくないと言うような、糸子らしい “図太さ” を、今回はアバンタイトルから、米英軍と戦闘状態に入ったと言う臨時ニュースに対しても、呆れながら朝食を食べ続ける糸子の姿で描いた。その間、僅か40秒。続きが見たくなる上出来なアバンだ。

戦時中の話でも、ちょっとしたユーモアが入るとホッとする

そして、主題歌明け。前回の感想で書いた “きちんと台詞とモノローグの使い分けが出来ている” が、また具現化された。

1日も早くまともな商売をしたくてウズウズしている気持ちを、まず糸子のモノローグで語らせて、そのあとに幼少期の回想を挟んで、4人の大日本国防婦人会が店にやって来たところで、慌てて口を押さえて「今 口に出して 言うたっけ? 頭ん中で 思ただけやっけ?」で括った。こんな表現は、ドラマだから出来ること。

特に、字幕オンで見ていると、とっても楽しい。戦時中の話でも、ちょっとしたユーモアが入るとホッとする。それが、朝ドラと言うものだと思う。

街の女性たちは、糸子の "おしゃれ魂" に元気を貰う…

そして、モンペを強制するおばちゃんたちへの不満をぶちまけたと思ったら、縫子の昌子が作ったモンペを履いて楽しそうにステップを踏む糸子が描かれた。更にモンペが気にって店でも作って売る始末へ。オシャレ第一で「モンペはイヤだ」と言っていた糸子が商売になると気付くと、即実行なのも糸子らしいし、この糸子の台詞も糸子ならではだ。

糸子「『戦争やから』言うて いじけてたら あかんな。
   戦争中は 戦争中の おしゃれ魂 見せちゃらんとな」

戦時中で、苦労ばかりの女性たちを描くのでなく、敢えてそこは特定の女性の登場人物だけに役割を絞って、街中の一般女性たちは、糸子の “おしゃれ魂” に元気をもらっていると描く。この辺の描き訳も見事だ。

残り5分からの展開と構成には、度肝を抜かれた!

残り5分を切ろうかと言う当たりからの展開と構成には、度肝を抜かれた。勘助が何とか前日から和菓子屋に勤め始めたと聞いて、糸子が勘助を喫茶店に誘い出す場面で、さらりとこんなモノローグを入れて、軽く牽制…。だが、こんなことを前振りされたら、「一体、何を急ぎ過ぎたのか?」と誰もが気になるに決まってる。

糸子(M)「ちょっと 先を 急ぎ過ぎたんやと思います」

すると、糸子には悪気はなく、ただ気を回して踊り子のサエとの再会を仕込んでいたと言う訳だ。サエと再会した勘助が河原の草むらの中で泣き崩れた。その晩、勘助は家の二階から飛び降りようとした…。大雨の中、糸子の家に勘助の母・玉枝が鬼の形相でやって来て、思いの丈を糸子にぶちまける。

玉枝「世の中ちゅうのはな
   みんなが あんたみたいに 強い訳 ちゃうんや。
   あんたみたいに 勝ってばっかしおる訳 ちゃうんや。
   みんな もっと弱いんや。もっと負けてんや。
   うまい事いかんと 悲しいて
   自分が みじめなんも 分かってる。
   そやけど 生きていかな いかんさかい
   どないかこないか やってんねん。
   あんたに そんな気持ち 分かるか?
   商売も うまい事いって 家族も みんな元気で 結構なこっちゃな!
   あんたにはな… なあんも 分からへんわ!
   どないか働きに出れるようになったのに…
   ここまで うちらが どんだけ神経すり減らしてきたか
   あんたには 想像もつけへんやろ!?
   今の勘助に あんたのずぶとさは毒や!
   頼むさかい もう うちには 近づかんといて」

夜、大きな雷鳴が響く大雨の中を背中を丸めた玉枝が帰っていく…。どちゃぶりの雨の中を遠ざかって行く玉枝の後ろ姿を唖然として見るだけの糸子だった…

あとがき

今朝の『半分、青い。』が脚本家先生に言わせると「神回」だったそうですが、こちらの第55回の方が明らかに「神回」の名に相応しいですよ。序盤で、モンペを履かないと言う図太い糸子を改めて描いて、それもユーモアを含めた表現で描いておいて、中盤で「ちょっと 先を 急ぎ過ぎた」とのモノローグを挟んで、そこから怒涛のドラマチック展開。月曜日でこれをやるんですから、これこそ「神回」ですよ。

特に、終盤の玉枝の台詞も、とても感情がストレートに表現されていて気持ちが良いし、濱田マリさんの渾身の演技も素晴らしかった。でも、その上を行った玉枝の気持ちを真正面で受け止めた糸子を無言で演じた尾野真千子さんの芝居に惹き込まれました。どうやら、今週と来週が凄いことになりそうですね。これから、苦難や絶望から這い上がるであろう糸子から目が離せなくなりました。

最後に。前回の感想に 127回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。土曜日分と月曜日分を一度に見ると、朝ドラ特有の面白さを体験できますね。

ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人がいます。「この後あの役を誰が演じる」と言うのも困ります。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※しばらくテンプレです(謝)

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,1617,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43 44,45 46,47 48
第9週『いつも想う』
 49 50,51 52,53

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