カーネーション:再放送 (第44,45回・2018/6/4) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第8週『果報者』の 『第44,45回』の感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第44回】
糸子(尾野真千子)は、勝(駿河太郎)を前にしてもけげんに思うばかりだったが、勘助(尾上寛之)の話から、実は善作(小林薫)も乗り気の結婚話だと知り驚く。全くその気がない糸子だが、玉枝(濱田マリ)たちにも冷やかされる。結婚よりも商売で頭がいっぱいの糸子は、自らノコギリを持って店の改装を試みる。そこへ奈津(栗山千明)が訪ねてきた。奈津は糸子に、祝言は絶対に料亭吉田屋で挙げるようにとケンカ腰で迫る。

【第45回】
善作(小林薫)と清三郎(宝田明)が、珍しくそろって糸子(尾野真千子)を訪ねて来る。ハル(正司照枝)も加わって、“自らは仕立ての腕を持ち、小原家に婿に入る”と言う勝(駿河太郎)を褒め、糸子に結婚を迫る。戸惑う糸子に、八重子(田丸麻紀)は親に従って結婚してよかったと話す。あっという間に祝言の日が決まり、貞子(十朱幸代)が張り切って婚礼衣装を用意するなど、周囲は盛り上がる。糸子は騒ぎに嫌気がさしていた。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第44回】最初から善作が結婚話に乗り気で攻めて来る

第44回は、第8週「果報者」の火曜日。既に予告編でこの第8週で糸子が川本と結婚することは知らされている。更に前回(月曜日分)で、突然に叔父・松坂正一とあの川本がなぜか知り合いとして登場した。

だから、ここからの展開の一番の見所は、結婚も前回で書いたようなワンパターンで、まず糸子が何かをやって善作が反対して…を捻って来るのか、それとも最初から善作が結婚話に乗り気で攻めて来るのかだ。

ここは、糸子にとって “糸子のだんじり” とは一味二味も違う “人生の節目” だから後者で脚本家は攻めて来ると想像した。すると、案の定、前回の続きのアバンタイトルで始まらない。これは期待できるぞ!

正一、川本、善作の会話を盗み聞きしている気分満々

ホント、良く出来てるね(最近、こればっかりだが)。予告編で視聴者は、もう話の結末はほぼ分かってる。だから、今回を含めて今週で脚本家と演出家が視聴者に魅せるべきは、その過程、道程の面白さ。意外性や必然性、納得度も重要だ。そうそう、本作お得意の適度な “焦らし” も大切だ。

そこで、川本が言葉数少ない男と言う設定を活かして、正一の会話の “頷き係” に仕立てたのも面白いが、正一と川本の背後で聞き耳を立てるカフェ「太鼓」のウエイターで勘助の親友・平吉も “頷き係” に仕立てた。そんな平吉を入れ込んだカメラアングルが絶妙だから、私は心は完全に平吉に憑依。

そう、3人の会話を盗み聞きしている気分満々だ。この手の感情移入のさせ方が上手いのも、本作の優れている点だ。

"ちまき" をきっかけに回想になるのが良く出来てる

で、場面はに変わって 幼き頃に和菓子屋から団子を盗み食いした平吉と勘助が肩を組んで、大正時代の流行歌「ゴンドラの歌」の冒頭を大声で歌いながら、小原洋裁店にやって来る。

この歌は様々な映像作品に引用されており、私の大好きな巨匠・黒澤明の映画『生きる』でも余命幾ばくもない主人公が雪の降る公園でブランコに揺られながら歌うシーンが有名だ。さて、本作にはそんな暗いイメージは似合わない。

平吉・勘助「♪ いのち短し 恋する乙女 紅き唇 あせぬ間に…」

一通り歌い終わるまで、2人を無視してミシン作業をする糸子だが、2人が持って来た “ちまき” に反応して手を止める。そして、糸子が “ちまき” を食べ始めると、何も感づいていない糸子に勝ち誇った表情の平吉が、カフェ「太鼓」で起きた1週間前の出来事の回想へ進むと言う展開。実に流れが楽しい。

怪訝な表情の糸子から、腰を低くして作り笑顔の善作への切り替えを回想シーンでやることで、善作の “狙い” が何なのかに、とても興味関心が湧くようになっているのだ。これが回想でなく時間軸通りだったら、そうは行かない。逆だから「何なのよ~」って気分になるのだ。

"糸子の空想" だから、直前の正一と僅かに違う芸の細かさ

更に、この回想シーンの構成が巧みに計算されているのは、単なる回想シーンとしてインサート(挿入)したのでなく、平吉から聞いた糸子のモノローグで描かれる。要は “糸子の空想シーン” として描かれていることだ。だから、田中隆三さんの演技が、序盤でのカフェ「太鼓」での正一とはちょっと違う。

序盤での正一はどちらかと言えば平吉目線で描かれたから、少々奥歯にものの挟まった怪しげなおじさんだった。しかし、この回想での正一は真面目で正直者。ぐーたらな善作とは真逆なおじさまに見えるよう演じ分けられていた。

私の思い過ごしかも知れないが、平吉も序盤の方が悪人面に見えたから、意図して微妙な変化を付けたのだろう。だから、この糸子の台詞が際立つのだ。

糸子(M)「何や そら。うちの知らんとこで
     何で そんな勝手に話が進んでんよ。
     うちは まだ 結婚なんか さらさらする気ないのに」

有言&即実行の主人公。だから展開が予定調和でなく面白い

さて、今回は糸子が知らぬところで起こっていることが、自分の想像と違うことに困惑する糸子が丁寧に描かれる放送回だと思って見ていた。例えば、糸子が宣伝のために置かせてもらったチラシの現状を見に安岡髪結い店へ行くと、そこでは既に糸子の結婚話が盛り上がっており、チラシも減っていない。予想外の出来事だ。

だから、この糸子のモノローグが映える。注目すべきは、先のモノローグと同様に「何」と言う言葉から始まること…

糸子(M)「何で 他の店 あんだけ繁盛させられたのに
     自分の店になったら 途端に あかんねん。
     『稼がな!』って欲かくからやろか。
     そやけど 稼がん訳にはいかへんしなあ。
     そうか そら よう見たらまだまだや。
     こんな中途半端な店構えで客は来えへんわ」

こう心で言いながら、身体では心斎橋の洋裁屋を想像して “エア改装” を始めた。糸子の妄想はどんどん膨らむ。普通の朝ドラの主人公なら、これで「次回へ続く」となりそうだが、糸子は違う。その直後に店の格子窓をのこぎりで切り始めちゃう。面白いヒロインだよね。

な~んて思っていたら、今度は自分を小馬鹿にする奈津にのこりぎを振り上げちゃうんだから。有言実行、即実行の主人公。だから展開が予定調和になり難くて面白いのだ。だから、駒子のこの台詞が嘘に聞こえない。いや、視聴者たちの代弁になっているから楽しいのだ。

駒子「なあ ずっと気になってんやけど」
糸子「は?」
駒子「糸ちゃんと若女将は 仲ええんけ? それか 悪いんけ?」
糸子「さあ」

ミシンの音と劇伴と回想シーンが、軽快なリズムでシンクロ

そして、場面変わって、小原洋裁店にあった格子窓には、大きなガラスが入ってショーウインドーになった。中央には洋服がディスプレイされ、向かって右側には手書きのチラシ、向かって左側には川本に開店祝いで貰った赤いカーネーションも飾られた。

ミシンの音と劇伴と回想シーンが、軽快なリズムでシンクロして、これから物語も軽快に進みそうな余韻を残して第44回が終了。ホント、良く出来てる。

【第45回】「落ち着きなさい」と言ってくれてる主題歌

久し振りのアバンタイトルは、当然に前回を振り返ることなく前進あるのみ。自動車に乗って小原洋裁店にやってきた祖父の松坂清三郎から始まった。いいぞ、このテンポ感が。そんな、はやる気持ちをまるで「落ち着きなさい」と言ってくれているような椎名林檎さんの主題歌がまたいい。

店で精一杯の糸子と、結婚を進める大人たちの対比が面白い

主題歌明けは、清三郎と一緒に善作がやって来た場面から。

糸子(M)「珍しいにも 程があります。
     この仲の悪い2人が一緒に うちに来るやて
     一体 どういうこっちゃ? 何が起こったんや?」

糸子は、一向にな~んにも気にしていない様子だが、善作のこの一言で全容が明らかになって行く…

善作「21 ええ歳や。この春から お前も 商売始めた。
   ええ時期や。ここらで いっちょ 身ぃ固め」

ここからの展開が絶妙だ。強引に結婚話を進めようとする善作。糸子は自分は相手が誰でも結婚する気はこれっぽっちもないと主張するが、善作のこの一言が笑わせる。

善作「お前に のうても 向こうには ごっつう あんねん」

もう滅茶苦茶である(もちろん、良い意味で)。強引な善作の論理展開を補強するように清三郎と祖母・ハルも加勢して、他に好きな人でもいるのかと問い質すと、善作、清三郎、ハルの3人が声を揃えてこう言った。

善作・清三郎・ハル「ほな ええやないか!」

強烈なキャラ3人が束になって掛って来たのだから、流石の糸子もたじろぐばかり。特に、糸子の「洋裁屋で成功する」と言う夢を “人質” にして、川本の洋裁の腕を絡めて一気に畳み掛ける見事な論法に、更にたじたじの糸子。

店に客が来て、3人の責めから一時的に退避できた糸子だが、店の奥の茶の間で、まだまだ続く “大人らの悪巧み” に見えちゃう結婚話。店の事で頭がいっぱいの糸子と、川本との結婚を進めようとする大人たちの対比が、実に面白い。

結婚に一人だけ置いてきぼりな糸子を応援したくなる

そして、勘助の義姉・八重子が親の勧め通りにとんとん拍子に泰蔵と結婚して髪結いの仕事も続けられて良かったこと、神戸の祖母・松坂貞子が孫の結婚でテンションが高くなったこと、そして町の人たちが糸子の祝言の話で浮足立ってることで、不思議と予定調和に感じない。むしろ、まだ一人だけ置いてきぼりな糸子を応援したくなる。

で、このまま祝言の日まで結婚する糸子を応援するのかと思いきや、流石の本作。ラストで、しっかりと洋裁店の仕事のネタを放り込んで来た。今回もお見事!

あとがき

第44回での「祝言だけはうちで挙げや」と言った奈津の、「おめでとう」と直接言わない間接的な言い回しが、捻くれた善作と似ていると言うのも面白いですね。また、いつぞやは、よぼよぼのおじいちゃんとおばあちゃんだった祖父母の清三郎と貞子が、糸子の結婚話で一気に元気を取り戻して、イキイキしているのが楽しかったです。

恋バナ(結婚話)も描きながら、仕事の部分もちゃーんと描くのが本作の良いところ。さて、花嫁になる糸子は、久しぶりに見た必死な顔の人の注文を捌けるのかも楽しみです。

最後に。前回の感想に 167回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。朝ドラのヒロインの結婚に至る過程が面白いと感じたのは初めてかも知れません。新鮮な感動ですね。

ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人が、多くて困っています。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※前回までのテンプレのつもりですが、またしばらくテンプレです(謝)

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,1617,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26 27,28 29,30
第6週『乙女の真心』
31,32 33,34 35,36
第7週『移りゆく日々』
37,38 39,40 41 42
第8週『果報者』
43

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