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カーネーション:再放送 (第27,28回・2018/5/7) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第5週『私を見て』 『第27,28回』の感想。


 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第27回】
制服の試作品を着てきた糸子(尾野真千子)に花村(國村隼)は驚くが、店内に糸子を立たせ、採用を決める。ただし正月セールに間に合うよう、一週間に20着を仕上げるという厳しい条件だった。家族は喜んで糸子を手伝うが、借りようとした桝谷パッチ店のミシンが、年末は使えないことが分かる。糸子は神戸の松坂家に行ってミシンをかけることにして、祖母の貞子(十朱幸代)たちは喜ぶが、それを聞いた善作(小林薫)は激怒し…。

【第28回】
千代(麻生祐未)たちに説得されて松坂家に向かい、ミシンを使い始めた糸子(尾野真千子)だが、善作(小林薫)の怒りが千代や妹たちに向くことを思うと心が晴れない。案の定、静子(柳生みゆ)から電話がかかって来るが、なんと善作がミシンを買って来たという知らせだった。飛ぶように糸子は帰る。勘助(尾上寛之)までもが手伝い、正月であることも忘れて一同は制服作りに励む。善作が、ついに糸子の洋服作りを認めたのだった。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第27回】"アバン無し" のテンポの良さが実に心地良い!

第27回は、第5週の水曜日だ。しかし、再放送的には4/26以来だから、実に中10日振りだ。少しは内容を忘れているかと思いきや、恐るべきことにアバンタイトルも無いのに、一瞬でこれまでの26回分すべての内容が鮮明に頭に浮かんできた。そんなことに驚いている内に、画面の中では花村が糸子の制服の試作品を採用をした。

普通なら、生地を買い付ける位まではアバンで客寄せするような展開が最近の朝ドラのほぼお約束みたいになっているが、やはり本作は無意味な客寄せや引き延ばしをしない。

月曜日(第25回)で花村にダメ出しされ、火曜日(第26回)で父・善作の「バ~ン」と「おもろい」と言うアイデアで花村に勝負をしに出掛け、今回で1つの突破口を開けてしまうのだから、テンポの良さが実に心地良い。

「予定調和」や「ご都合主義」に全く見せない脚本と演出

さて、半ば勢いで正月セールに間に合わせるために1週間で20着の制服を仕上げることを了承した糸子。もちろん、家族の手を借りるのは大前提のはずだ。だから、祖父のハツや母の千代が手伝うのは当然なのだが、ここで善作まで結構な乗り気で手伝いを始めるのが実に王道のホームドラマらしい展開。

もちろん、ノリノリの善作がこのあとどんなことをきっかけに、いつものように雷オヤジに変貌するのかも織り込み済みで楽しくてしょうがない。実は、こう言う “いつもの” ってやつは成功か失敗の紙一重である場合が多い。“いつもの↑” と思われれば、お約束事で楽しく思えるし、“いつもの↓” と思われれば、ただの繰り返しに思われる。

しかし、これまで本作は常に視聴者(私)に対して「お約束事」を裏切らずに来た。それは決して「予定調和」や「ご都合主義」に全く見せない脚本と演出の技術力があるからだ。だから、糸子がパッチ屋にミシンを借りに行くくだりが、面白くてしょうがない。きっと、パッチ屋で何かがあるに違いないと、私の期待は最大限に膨らむからだ。

"ちょっとしたシーン" の挿入の仕方が絶妙!

時間は、ちょうど8分。15分の半分だ。そこできっちりと今回の「起承転結」の「転」が訪れた。ナント、いや期待通りに桝谷パッチ店のミシンが、年末は使えないことが分かる。これまた普通の朝ドラなら、すぐに次の代替え案を探すくだりに進みそうだが、本作はわざわざ “あの山口” に茶を持たせて糸子に手渡すシーンを入れた。

この糸子と山口の僅かなやりとりだけで、糸子の枡谷パッチ店勤務時代が走馬灯のように思い出される。ちょっとした1シーンだが、あると無いとでは大違い。ここに「茶」を挿入したことで、本作が決してとんとん拍子でないことと、糸子がいろいろな人に支えられていることが描かれた。脚本と演出に緻密な計算が施されている証拠だ。

第27回の構成が見事である、2つの理由

一方、場面は糸子が神戸の松坂家に行ってミシンを借りる算段へ進む。糸子大好きな祖父の清三郎は大喜びで快諾。こう言うのがホームドラマ。妻の実家の世話になることに、これまでノリノリで制服づくりを手伝っていた善作が偉くご立腹。そうそう、こう言うのが『カーネーション』なのだ。一難去ってまた一難。本当に構成がお見事だ。

見事な構成だと思う理由2つある。1つは、このあと1分半の展開。善作に叱られて途方もない表情の糸子で15分間を終わらせずに、ここでも、ちょっとした2つのシーンを付け加えた。1つは、神戸に行けと応援するハツ、妹の静子と清子、そして千代。後方支援をされて嬉しい反面、父親の自分への怒りが母や妹たちに向かうのが心配な糸子の、4人の女性たちの姿だ。

もう1つは、列車に飛び乗って神戸に向かう力強い意志を持った糸子だ。これらによって、更に糸子が多くの人たちの支えで “糸子のだんじり” を手にする過程が描かれていくことが容易に想像できる。列車の進行方向とは逆の方向をぼ~っと見る糸子のアップが、小原家に残して来た思いを秀逸に描写した。素晴らしい…

【第28回】"アバン無し" の構成で2回分で1話を目指した!

前回の終盤部分をアバンタイトルの形で挿入せずに、主題歌明けに組み込んだのは、恐らく展開を速く感じさせる作戦だろう。私は再放送故に連続で見ているが、通常放送だとしたら、“いつもの↓” と感じさせてしまうからに違いない。だって、あまりにも前回の展開が良かったから、ここは敢えて、2回分で1話みたいな構成を目指したと思う。

色や光の使い方で、登場人物の心情を丁寧に的確に表現

さて、糸子が松坂家のミシンで縫うシーンが実に美しかった。幻想的な劇伴、豪華なクリスマスツリーに織物のカーテンに絨毯に、やんわりと部屋を明るく灯すシャンデリア。画面に映り込む松坂家のファブリックはベースの色がキャメルベージュのアンバー系で統一された、全体的に落ち着いてしっとりしたイメージ。

その中に、白と赤の着物を着た糸子、輝く黒いミシン、ここにある唯一の色である制服の生地の紺色、これら3つが絶妙のバランスで存在感を放つ。更に、キラリと輝く糸子の汗と、クリスマスツリーの飾り付けが、せわしない年の瀬の中でキラキラと輝いて、まるで互いを呼応し合ってるよう。

ミシンの単調な機械音とそれに合わせて動く糸子の背中を見て、思わず近づく祖父の清三郎の孫を思う心。こう言う風に祖父が孫娘を気遣う心が、『半分、青い。』でも、せめて本作の半分でも描かれれば…うん、贅沢は敵である。

ホームドラマの王道だから、見ていて安心できる!

「一体、何回褒めるんだ!」と言う声が聞こえてきそうだが、本当なのだからしょうがない。美味しい夕食を口いっぱいに頬張りながらも、心は雷オヤジに虐待されてやしないかと母や妹たちを心配する糸子。そこへ妹の静子から電話。お父ちゃんがどうかしたのかと思いきや、場面は小原家の回想シーンへ。

松坂家とは真逆の純和風の狭い部屋で、事実を知った善吉が文字通りに雷オヤジで登場。ハツが糸子を松坂家に行かせたのは自分だと言い張る。ハツ祖母ちゃんがカッコいい。静子も強くなった。ホッとする女たち。でもって、店の売り物の反物を売って、前作がミシンを買って来ちゃう! それも、大満足の笑顔で。家族もみ~んな笑顔、笑顔。

その様子が、電話を通じて糸子に見えたに違いない。いや、絶対に見えていた。だから、糸子は明日一番の列車で帰ると言う。糸子の嬉しそうな表情と、明日には帰るのを知った清三郎の涙も、翌日の朝食のお通夜みたいな悲しさも、糸子の伯父・正一とのやりとりも、ぜ~んぶ正にホームドラマの王道だ。だから、見ていて安心できる。

父親と娘を繋ぐ "見えない糸" が手繰り寄せた1台のミシン!

列車中であれこれ想像を廻らす糸子は描かずに、松坂家の玄関先に直結したのは、小原家のミシンの前に立つ糸子のシーン。この方が、断然に糸子の “逸る気持ち” が描ける。そして、そうか! この善作が買って来たミシンが、『カーネーション』のメイン・ビジュアルに用いられているミシンだったんだ!

枡谷パッチ店にあるミシンとミシン上部の糸巻きの位置が違うから、あのミシンはいつ登場するのかと思っていたのだ。頑固な父親と頑固な娘を繋ぐ “見えない糸が手繰り寄せた1台のミシン” と言う訳か。まるで、ファンタジーじゃないか。

20着完成までの過程を、紆余曲折含めて感動的に描いた!

場面は、昭和8年の1月1日。朝から、ラジオから流れる「春の海」と軽快なミシンの音。家族総出で糸子が取って来た初仕事を手伝う姿。勘助が持って来てくれたおせちで味わうつかの間の正月気分。そして時間はあっという間に納品前日の夕方になり、勘助も糸くず取りのお手伝いと、テンポよく時間経過。

ぐったりと疲れて横になるハツたち家族の姿が実に愛おしく描かれて、心斎橋百貨店の制服20着が完成。淀み無い流れなのに、決して物足りなさはなく、むしろ丁寧に完成までの過程を紆余曲折含めて感動的に描いたと言える15分だった。

"みんなの苦労" のお蔭で "糸子のだんじり" が実現する…

百貨店の階段を上って行く糸子のラストシーンでの、このナレーション↓が、私の心にグッと来た。

糸子(N)「20着 無事に 納めさせてもらえるやろか。
     みんなの苦労は報われるやろか」

やはり糸子の夢には “みんなの苦労” が無ければ達成できないのだ。いや、きっとこの先も “みんなの苦労” のお蔭で “糸子のだんじり” が実現するのだろう。その過程を見てみたい。そう思った第27回と第28回だった。

あとがき

これで明日の放送は、金曜日と土曜日の週末分ですよね。糸子に自分が作った制服を着た女店員たちを見せて喜ばせてあげたいし、今回で意外にも糸子の良き理解者に描かれた妹の静子が糸子姉ちゃんの仕事を手伝うと言い出すなんて展開だと、“みんなの苦労” がまた1つ解釈も現実も広がって、面白くなりそうですが…

最後に。前回の感想にナント 143回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。大型連休で本作を見られないじれったさが数字に表れたとしても、共感して下さる方が多くて嬉しいです。でも、『夕ドラ』が楽しければ楽しい分だけ、『朝ドラ』への落胆が…ここまでにしておきます。明日も楽しみです。

ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人が、多くて困っています。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※しばらくの間、テンプレです(謝)

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,1617,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
25,26

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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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