カーネーション:再放送 (第25,26回・2018/5/2) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第5週『私を見て』
『第25,26回』の感想。
※ 私は本作を初見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第25回】
黒田屋百貨店の火事で和服の女性が逃げ遅れたというニュースを聞いた糸子(尾野真千子)は、心斎橋の百貨店に走る。店員の着物姿を確認し、支配人の花村(國村隼)に制服を作らせてほしいと直談判する。自作のワンピースを見せる糸子だが花村は取り合わない。だが、制服はデザインが大切という花村の言葉から、糸子はセンスのよい八重子(田丸麻紀)に相談する。そして一晩で10枚ものスタイル画を仕上げ、翌朝再び花村を訪ねる。
【第26回】
支配人の花村(國村隼)に“ダメ出し”をされ、糸子(尾野真千子)は斬新なデパートの制服を考えようと悩む。しかし八重子(田丸麻紀)は、変わった服ではなく、「よい所に連れて行ってもらえそうな服」を考えるようアドバイスする。善作(小林薫)からは、現物を作って店に行くように言われ、糸子は2日徹夜して縫い上げる。作った制服は家族には好評で、善作は、持って行くより糸子が着て行ったほうが話が早くて面白いと言う。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第25回】物語をけん引する主人公と実行力のあるヒロイン像
一々確認する必要があるか分からないが、性分だから書いておく。第25回は本放送時では第5週目の月曜日で、『半分、青い。』にまだ追い付いていない。さて、本作のアバンタイトルだ。放送2か月目の初日でもある第25話の冒頭が、主人公のこんなナレーション↓で始まるから、本作も糸子も応援したくなるのだ。
糸子(N)「うちの頭には 火ぃがついたみたいになって」
自分は入ったこともない百貨店へ、和服の女性店員が逃げ遅れたと言うニュースを目に耳にしただけで即行動するのだから、物語をけん引する主人公としても、実行力のあるヒロインとしても、近作の朝ドラのヒロインには無い、堪らない魅力がある。それを、第5週の月曜日で、ある意味で完成させているのだからスゴイと言うしかない。
花村に食い下がる糸子の台詞が光った!
ホント、描写が丁寧だ。主題歌明けの心斎橋の百貨店の店員たちが着物に 割烹着 エプロンであることを、2人の女店員だけでなく数名の客を入れて、エレベーターから階段を上るシーンまで映像化した。でも、この数分間があるから、支配人の花村の若い女性を見下したような態度が際立つ。予告編で見せているから焦らす。それが成功した表現だ。
飛び込み営業みたいにやって来て実績もない若い女性に取り合わない花村は、おかしくない。理に適っている。だからこそ、花村に食い下がる糸子のこの台詞が光って来る。
糸子「一個 聞いていいですか?」
この台詞が、糸子の未来をまた1つ切り開くキーワードである「デザイン」を、花村から聞き出すことになる。そして、センスの良い八重子に即相談。糸子は泰蔵と出会い頭にぶつかり鼻血を出して、夜回りの拍子木の音、デザイン画を描くペンの音、百貨店の開店のチャイムの音を経て、翌朝へ。
なんと、テンポの良いこと。それと15分間の構成もいい
何が良いって、主題歌明けと同じシチュエーションで終盤の翌日のシーンを持って来たことが。何て言うのかな。類似した場面を重ねて、そこに違いを描くことで、繰り返しの面白さと話が進む楽しさが生まれる。これが翌日のくだりが、もしも次回だと前日分をアバンで繰り返すことになって効果が薄まる。
そう、繰り返しの面白さを最大限に活かし、更に今度は花村から「普通なんや」と言うキーワードを引き出、「見とれえ…」と尚も食い下がる糸子が描かれて終わった。月曜日としては、今週も見たくなる…そんな仕上がりになっていたと思う。
【第26回】アバンが無かった理由を考えてみた
だから…。だからって、上記の繰り返しの面白さが脚本家と演出家が意図的に行った証拠として、第26回にはアバンが無い。全て計算尽くなのだ。アバンでなく、主題歌明けの本編から今回分を繋げるから、花村に “ダメ出し” されて糸子の心情が伝わって来る。もちろん、前回を見ていない視聴者にも伝わるように作られてもいると思うが。
「バ~ン」と「おもろい」だけで…
このあとの展開は、細かく解説する必要もないだろう。私が気に入ったのは、似た者親子を表すような前作と糸子のこのやり取り↓だ。
善作「バ~ンと見せられた方が よっぽど おもろいで」
糸子「うん。ほんまやな。バ~ンとな」
「バ~ン」と「おもろい」だけで、父と娘の心が通じ合い、物語がどんどん進んで行く。
決して予定調和やご都合主義に全然見えない、3つの理由
進んで行くのだが、本作が秀作だと思わせるのは、その進んで行く過程が、とんとん拍子と紆余曲折が丁度良いバランスで描かれ、決して予定調和やご都合主義に全然見えないこと。そう見える理由を私が解説する必要なんて無いのだが、敢えて書くなら、理由は3つある。
1つは主人公はもとより、各登場人物の “心理描写が丁寧で辻褄が合っている” から、個々の言動も複数名が絡んだ言動も不自然さを感じ難く作られていること。2つ目は、とにかく主人公である “糸子の主体性で物語が進んでいる” から、群像劇的な面白さがあっても、決して群像劇でなく主人公の物語に見えること。
そして、3つ目はヒロインである “糸子の行動力と決断力と前向きな姿勢が常に前面に押し出しされて描かれている” から、話がどんどん進んでも、次から次へと応援したくなるエピソードの連続となって、ツッコミや重隅突きをするなんて気が起きないこと。
"弱気な糸子" や "滑稽な糸子" を見せるから応援したくなる
その上で、今回のラストみたいに “弱気な糸子” や “滑稽な糸子” を見せるから、また応援したくなる。そして、次回も見たくなる。これ、近作では意外と出来ていない朝ドラが多いと思う。
あとがき
今回の感想は演出面よりも、脚本の企画力や構成力の良さに絞り込んで書いてみました。やはり、初期設定がよ~く練られて創り込まれているのが素晴らしいです。思い付きで箇条書きになる(なった)ような作品と一味も二味も違いますね。
こうなると、今後もしも糸子が結婚したり家族が増えたりするでしょうし、年も取ると思います。だとすれば、そうなる時までの設定も、しっかりと練られているかが気になります、と言うかどうなるか楽しみです。本作なら何があろうと綺麗にまとめそうな気がしますけれどね。
最後に。前回の感想に 111回ものWeb拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。なんと、次回の放送は 5/7 の夕方までお預けだそうです。これまた残念ですねぇ。私は明日からの4連休は婚礼の仕事なので、そちらに集中します。休暇の皆さんは、楽しい休日をお過ごし下さい…
ご本人は気付かずに(だと思いますが、結果的に)ネタバレをコメントに書いている人が、多くて困っています。ホント、ネタバレは止めて下さい! 私以外にも、今回が初見で番組と感想を楽しみにしている読者さんがおられるので。引き続き、ご協力お願いいたします。 ※しばらくの間、テンプレです(謝)
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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』
13,14 15,16> 17,18
第4週『誇り』
19,20 21,22 23,24
第5週『私を見て』
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