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カーネーション:再放送 (第13,14回・2018/4/20) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第3週『熱い思い』 『第13,14回』の感想。


 私は本作を未見なので、ネタバレ等のコメントは無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第13回】
糸子(尾野真千子)は女学校をやめることを善作(小林薫)に許され、パッチ屋で働くことになった。千代(麻生祐未)に付き添われ、意気揚々と初出勤した糸子だが、優しかった職人たちが皆、どこか冷たい。理由を尋ねると兄弟子は「これまでは客だったからチヤホヤしたが、一番下っ端になったからには相応の仕事をしろ」とお茶くみや掃除などの雑用を押しつけてきた。糸子はミシンには触ることもできず、仕事の厳しさを思い知る。

【第14回】
家族の前では明るくふるまう糸子(尾野真千子)だが、千代(麻生祐未)らはパッチ屋の仕事のつらさを察していた。そんな折、奈津(栗山千明)がパッチ屋にやって来る。憧れの泰蔵(須賀貴匡)の結婚のウワサを聞き、確かめたくて糸子に会いに来たのだ。店からの帰り道、結婚をやめるように言えと詰めよる奈津に、糸子は閉口する。ある朝、糸子は風邪をひいて熱を出す。無理して出勤したものの「いないほうがマシ」と帰らされ…。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

第3週の月曜日で "だんじり" で糸子を表現するのはお見事!

比較しちゃいけないのは重々承知なのだが、僅か8時間前の出来事だから、ついつい『半分』と比較してしまうのは、ご了承願いたい。もう暫くすると諦めると思うから。で、第13回のアバンタイトルも凄いな。

第3週目の月曜日でもう「だんじり」が、糸子の人生に於ける夢や希望そのものでもあり、そこへ到達するための原動力でもあることが、僅か40秒足らずのアバンで魅せちゃうんだから。『半分』なんて、第3週目が終わろうとしているのに、まだ何をしようとしているのかさえも描かれていないのだから。

もちろん、単純に比較は出来ない。人生の目標や夢が、いつ決まるのか、そもそも決まるものなのか、人ぞれぞれだから。でも、これは連ドラ、朝ドラだ。フィクションだ。エンターテインメントだ。観る人がいて存在するメディアなのだ。だから、観る人を如何に楽しませるか、満足させるかはとっても大事なこと。

その意味で、まだ第3週目なのに、きちんと『カーネーション』と言うメインタイトルとは別の「だんじり」と言うアイテムで、主人公自身を表現しているのはお見事だ。

最初の1か月でどこまで主人公を掘り下げて描くかが大事!

さて、本編。それにしても、本作の主人公・糸子、学校でのお別れの挨拶1つ取っても、潔いと言うか男前と言うか。それでいて、肝心の髪結いの玉枝が自分を祝ってくれる料理名は「なんちゃら」としか覚えていないのだから、実に愉快で豪快なキャラ。

今回の序盤で描かれた勘助との食事シーンでは、糸子のおてんば娘みたい愛らしさと好奇心の強さが、勘助の弱虫っぷりと母親譲りの調子の良さが楽しく対比されており、きちんと登場人物の特徴を描こうと必死なのが伝わってくる。だから、見れば見る程に登場人物に感情移入出来たり、共感出来たりするのだ。

やはり、1人の人物、特に朝ドラの場合は、最初の1か月間でどこまで主人公を掘り下げて描き、視聴者が共感できるキャラクターに仕上げるかが大事。きっと、読者の皆さんの頭に浮かんでいる “好きな朝ドラヒロイン” は、みんな最初から好きだったのではないだろうか。あとから、段々好きなるなんて滅多に無いと思う。

それはテレビも映画もリアル社会も一緒。要は、第一印象が大事なのだ。だから、朝ドラは最初の1か月が勝負…だと思う。

橋を手前から奥に歩く茶色のスーツ姿の男性に注目…

演出がなかなか良いなと思ったのが、パッチ屋への初出勤、おっと初勉強の朝、母の千代と橋を渡る場面。画面下手(左側)の手前から茶色のスーツ姿の男性が画面の奥に向かって歩いて行くカットだ。

画面の奥を行き交う男性や女性たちは和服姿なのに。これ、橋の奥(要は糸子の家のある地域)はまだ和服が多いけど、橋の手前(要は、パッチ屋のある地域)は洋装が多いって感じに見えないか。

いや、そう捉えると、糸子にとってパッチ屋が「とても遠い存在=夢の場所」に見えて来ないだろうか。「未知の世界」と言っても良い。「微笑ましい会話しかない世界」がずっと描かれる。だから、この糸子のモノローグが際立つ。

糸子(M)「やっとや。やっと ここで 働けるんや」

そう、「やっと」辿り着いた糸子にとっての “桃源郷” みたいな場所であることを強調して来たのだ。なぜ、こんな演出で強調したのかの答えが、千代が帰った後からすぐに描かれると言う巧みな仕掛けだ。「夢の場所」であり「微笑ましい会話しかない世界」から「上下関係の厳しい職人の世界」に急転直下。

結局、あのたった1人のスーツの後ろ姿の男性がいたから、このギャップがより効果的に描かれた…と言うのが、私の解釈。あのスーツの男性がいなかったら、ここまでの落差を楽しめなかったと思うのだ。

『熱い思い』の月曜が、糸子が崩れる所から始まる…

終盤で、枡谷パッチ店の職人で、店では糸子より2年先輩の山口と糸子のやり取りもそうだが、今回のパッチ屋と糸子の会話が、とても慎重且つ丁寧にち密に計算されていると感じたのは、全てのやり取りが「男尊女卑」や「女性蔑視」には映らず、あくまでも「上下関係の厳しい職人の世界」として描かれたことだ。

第3週のサブタイトルは『熱い思い』だが、まず月曜日で糸子のそれがもろくも崩れ去るところから始まるなんて、実にドラマチック。週立ての構成も良さそうだ。

【第14回】「これまでの10年間」のお茶目な演出…

ミシンが触れるまでの「修行の10年間」の長さを、自分自身の「これまでの10年間」と映像で比較するのが面白かった。

こう言う利用方法を考えての幼少期(子役期)の撮影だろうが、パッチ屋では茶碗1杯のご飯も満足に食べられなかったのに、10年前の自分はどんぶりに顔と手を突っ込んで、うどんをむりゃぶりついていたなんて、本当に良く出来てた。こう言うお茶目な演出は好きだ。

奈津が職人らにチヤホヤされるのをすぐに回収したのはお見事!

そうか。千代や祖母のハルは、パッチ屋の仕事の辛さを知っていたのか。そりゃあ、そうだわな。あの時代だから。

で、脚本と演出が巧みだと思わせたのが、厳しい下働きの描写の中で、まず出入り口のガラス戸の外と内側には “考えられないような隔たり” があることを回想シーンを交えて描いておいて、奈津がガラス戸の外に現れる場面だ。奈津があの橋を渡るシーンも、パッチ屋の前に来るまでの経路の映像もなく、いきなりガラスの外に現れた。

ここで面白いのが、一番下っ端の糸子が簡単に戸を開けて、奈津を店内に入れられること。普通なら下っ端は躊躇しそうな場面だが、ここは男前の糸子が奈津をさっと招き入れる。で、女子会トークになるかと思いきや、いつぞや糸子が職人たちにチヤホヤされたくだりを奈津がされる。それをちょっと苦々しく思う糸子。

しかし、このくだりは、なぜかプツッと一旦途切れる。おやっ? と思ったら、奈津がパッチ屋の前で糸子の上がるのを待ってて、神社で女子会トークって段取りだった。そして、先程のチヤホヤのくだりをきっちりと回収。忘れた頃に回収する『半分』より、こっちが好みだ。

"いっちゃん下っ端" の日々の描き方も、焦らし方も秀逸!

回収すると言えば、パッチ屋での「いっちゃん下っ端」が、どんな毎日を過ごしているのか知りたかったのだが、糸子が風で体調を崩しているにも拘らず、一生懸命に仕事をこなす動作で描くとは思わなかった。確かに、この方が修行の厳しさが描ける。そして、糸子が帰った後の先輩職人の田中と岡村の会話も意味深だ。

田中「そらそや。『いてへん方がはかどる』やら
   『うつされたら 迷惑』やら」
全部 ほんまの事やないけ」
岡村「わし そんなつもりで言うたんちゃうけどな」
田中「ほんまの事は言うたらあかん。ほんまの事は」

土手で悔し泣きをする糸子に同情してしまった。修業時代の下っ端は本当に辛いから。これ、すぐに第15回を見たくなる。そう言う焦らし方も本当に良く出来ている。今回も天晴だ!

あとがき

2回分で1つの話を構成するような感じで進んでますから、次回は、辛い雑用業務の中に喜びや学びを感じて、糸子が前向きになると良いな。そして、先輩職人が帰った夜だけでなら、ミシンを触る許可を幸吉がくれると良いな。おっと、ご自身ではネタバレのつもりでなくても、ネタバレになっている場合があるので、くれぐれも厳禁でお願いします(謝)

前回の感想に、何と100の大台を超えて 104回もの Web拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。2回/1日なので、感想を書くのはたいへんですが、見ていて面白いので苦にはなりません。私と同じ本作を初見の皆さん、こんな面白い朝ドラがあったんですね。取り敢えず、初月の1か月は大丈夫かな…

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8 9,10 11,12
第3週『熱い思い』

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コメント

ここも、また

>愉快で豪快
…を通り越したアホなんですけどね。
中退にあたり潔く見えるのは女学生同士の会話や、やり尽した裁縫関係以外の学科に興味が無い、要はツマラナイから。善作は学校の外の勉強が本物の勉強だから学校の勉強はテキトーでいい等と一言もいっとりませんが。二人のやり取り、

「ワシがどない思いして通わせちゃってる思てんのや!」
「分かっとる、分かっとるさかい頼んます」

さあ、本当に分っているでしょうか(笑。
こういう検証に対する解答を後から、ちゃんと出してくれる作品。
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Author : みっきー

★管理人:みっきー

★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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