カーネーション:再放送 (第9,10回・2018/4/17) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第2週『運命を開く』
『第9,10回』の感想。
※ 私は本作を未見なので、ネタバレのコメント等は無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第9回】
糸子(尾野真千子)は前にも増して女学校が退屈になり、パッチ屋に通いつめてミシンに触れ、店の手伝いをしている。一方、善作(小林薫)は呉服店の行く末を気遣う地元の資産家・神宮司(石田太郎)から、娘の嫁入り衣装の注文を受ける。糸子は、パッチ屋の主人・桝谷(トミーズ雅)から店で働かないかと誘われて舞い上がり、女学校をやめて働きたいと思い始める。そんな折、千代(麻生祐未)の兄・正一(田中隆三)がやって来る。
【第10回】
正一(田中隆三)は、めい・糸子(尾野真千子)がパッチ屋を手伝っていることを知り、善作(小林薫)と千代(麻生祐未)を問い詰める。正一が帰った後、糸子は女学校をやめてパッチ屋で働きたいと打ち明けるが、善作はどなりつけ、殴る蹴るの大暴れ。数日後、善作は神宮司(石田太郎)の娘の衣装を買い付けに行くが、ツケがきかず買えずにいた。糸子は働きたいと懇願し続けるが、仕事が行き詰まっている善作は聞く耳を持たず…。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第9回】最初の2分を見ただけで…
今回の感想は、全編を演出や脚本のの拘りについて、私なりに推測してみた。的を射てない考察もあると思うが、その点は個人の感想ってことで…
まず本当に7、脚本と演出がピタリと合ってる。例えば、序盤の女学校の音楽の授業の最後の台詞が、大あくびをする糸子を叱る「小原さん」の呼び掛けで、時間も場所も全く違う高級料亭「吉田屋」での最初の台詞が「吉田屋」の主人で奈津の父・克一の「小原さんとこですか?」だもんなぁ。
今回が初見でもテロップを読まなくても、父親とヒロインって分かるし、最初の2分を見ただけで、糸子は男みたいな性格で、父親は実は小心者なのが分かるんだから。
高級料亭「吉田屋」の照明の工夫について考える
それに、この「吉田屋」の照明が良いね。善作がいる時の廊下にカメラがある時の室内の明るさと、室内にカメラがある時の明るさに強弱が付けてある。廊下にカメラがある時は善作の表情の変化を見易くするために、障子を明るくして善作をちょっと薄明かりの下に置くことで、微妙な表情の変化がしっとりと映る。
逆にカメラが室内に入ると、照明は天井のライトがやんわりと畳を照らす感じで、登場人物らの顔にやや強めに影を作って、こちらは登場人物それぞれの腹の内を視聴者が覗き見るような面白味を出してる。
扇風機とカメラの動き、色や照明の強弱を考える
更に良いのは扇風機とカメラの動きのバランス。扇風機が映り込みカットでは、左右に首を振る扇風機が画面に入り過ぎないように、微妙に上下左右に動いて調整。これが絶妙なタイミングで動くから、さもカメラがフィック(固定)されているように見えて、そのため俳優の演技に視聴者が集中出来るって訳…だと勝手に想像してみた。
その上、座敷のシーンって全体的に茶色やベージュ色のイメージだから、芸者の化粧や襦袢の白に、帯揚げの赤が良いアクセントになってる。また、善作の左にある木製脇息(肘掛)の布団部分に強めに照明を当てて、まるで明るいものに善作が挟まれているように映すことで、善作の複雑な心境を狭苦しい印象で魅せてる…と思う。
カメラワークも丁寧で、見ていて飽きない
糸子の長妹・静子が糸子を呼び止めて路地に引き込むくだりもそう。路地裏の狭さを表現するために、井戸や木々をナメ(画面手前に映り込ませ)て、更に糸子の手前と奥の葉っぱを別々に揺らして、遠近感まで表現しちゃうんだから。
パッチ店の箪笥の上にある "武将の人形" に注目してみる
バッチ店の室内の装飾も良く計算されている。例えば、枡谷パッチ店の幸吉が糸子を読んで話をするシーン。この場面も基本的に茶色やベージュ色のイメージだ。白もある。そこで幸吉の真後ろにある箪笥の上に小さな武将らしき人形が飾ってある。あの人形の足元の青色が良い。
だって、“青の補色は橙” だから、全体のトーンを引き締めるのに大いに役立っているのだから。良く見て欲しい。2ショットの引きの画の時は、常に人形が映り込んでいて、人形が画面から消えた瞬間に、幸吉ナメの驚きの糸子のアップになるから。因みに人形が映り込むのは幸吉が映るカットだけ。
糸子のアップには映り込まないようになってる。因みに、髪結いの安岡家の居間に掛かるピンクと言うか赤紫色の暖簾は、女性らしさを表すアイテムに違いない。そう、全てが演出による計算なのだ。そしてこれは、視聴者には意識させずに、画面が単調にならない工夫なのだ。
【第10回】良く考えれば、まだ2週目の木曜日か…
第10回のアバンタイトルも丁寧だ。良く考えれば、まだ10回なのだ。2週目の木曜日ってことは、普通ならぼちぼち最初の大きな騒動が起きてもおかしくない頃。いや、流石に2週目の週末で大きく物語を動かすはずだ。でないと、これまで巻いて来た種が目を出すのが遅過ぎるから。
と思ったら、ちゃんとアバンがこれまでのプチ総集編風に編集されていた。あれだけ見ても、何となくこれまでの全容が見えてくる。アバンがある時とない時の仕切り分けがきちんと出来ている訳だ。
あれ位の衝撃が無いと "人生は動かない" と言うことだ!
糸子が女学校をやめてパッチ屋で働きたいと打ち明けた時の、善作が糸子をどなりつけたり、殴る蹴るの大暴れするシーンの迫力に驚いてしまった。まさか、こんな迫真の演技合戦で、大騒動の幕開けを描くとは思わなかった。
いくら時代とは言え、朝ドラでここまでの強烈なシーンを OKテイクにするには、さぞ英断が必要だったろう。しかし、これ位の衝撃が無いと人生は動かない。そう言うことを描いているのだと思う。
ラスト2分の緩急の付け方も、お見事!
緊張続きの13分間が過ぎようとした時、ちゃ~んと緩和剤を用意してあるのもニクい脚本だ。トミーズ雅さんのコミカルな演技でクスリとさせるなんて、見事な構成だ。そして、幸吉と妻のさよの言動で、糸子が数日パッチ店に言っていないことも描いた。良く出来てるなぁ…
あとがき
今回の感想は、全体的に演出や脚本の工夫について、私なりの考えを書いてみました。この濃厚な内容で、まだ2週間の半ばと言うのですから、恐るべき朝ドラですね。
前回の感想に 76回もの Web拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。いやぁ、見応えありますね。『半分、青い。』も頑張って欲しいです。
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
カーネーション オリジナル・サウンドトラック
カーネーション オリジナル・サウンドトラック2
「朝ドラ」一人勝ちの法則 (光文社新書)
朝ドラには働く女子の本音が詰まってる (ちくま新書)
みんなの朝ドラ (講談社現代新書)
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11252/
【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
7,8
- 関連記事
-
- 花のち晴れ~花男 Next Season~ (第1話・2018/4/17) 感想 (2018/04/18)
- シグナル 長期未解決事件捜査班 (第2話・2018/4/17) 感想 (2018/04/18)
- カーネーション:再放送 (第9,10回・2018/4/17) 感想 (2018/04/17)
- 半分、青い。 (第14回・4/17) 感想 (2018/04/17)
- ヘッドハンター (第1話/初回15分拡大・2018/4/16) 感想 (2018/04/17)