カーネーション:再放送 (第7,8回・2018/4/16) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』(公式)
第2週『運命を開く』
『第7,8回』の感想。
※ 私は本作を未見なので、ネタバレのコメント等は無視します。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
【第7回】
小原糸子(尾野真千子)は、女学校から走って帰っては夢中で裁縫をする日々を送っていた。父・善作(小林薫)は呉服屋の客を増やすことをねらい謡の教室を始めたが、商売には結びつかない。ある日、糸子は、呉服の集金の途中にあるパッチ屋の店先でミシンを見かける。布が勢いよく縫われていく様子に糸子の目がくぎづけになる。糸子は“このミシンこそ、自分が乗れるだんじりだ”と思い、目指す物をつかんだ気持ちで有頂天になる。
【第8回】
糸子(尾野真千子)は、パッチ屋の店先でミシンを見つめる毎日を過ごし、家ではアッパッパを作って妹たちに着せていた。しかし、父・善作(小林薫)は「呉服屋の娘がけしからん」と洋服作りを許さない。ある日、糸子は店の主人・桝谷(トミーズ雅)に声をかけられ、ミシンに触らせてもらう。ミシンで布が縫えたことに感動した糸子は、パッチ屋の手伝いを始める。糸子は働くことが楽しくてしかたがなく、家事も率先してやり始める。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---
【第7回】約50秒間のアバンを見ても『半分』より優位だ!
約50秒のアバンタイトルだが、感心する程に良く出来ている。いや、現在放送中の『半分、青い。』が2週目のラストで子役から永野芽郁さんに交代したのと、本作が子役から尾野真千子さんへ後退したのが、偶然同じ日だから比較してしまったのだが。当然、本作は1週間分のダイジェストだからタイトに編集可能と言う違いはあるにせよ…
本作の子役時代で必要な部分が、きちんと50秒間に詰まっていたから褒めるのだ。『半分、青い。』はこの時点でやっと “鈴愛に絞り込んで描く宣言” なのに、本作は既に糸子が中心になっている。もはや、この時点で本作の優位性が見えたと言う訳だ。
"雨" にした脚本と、演出の "光" の使い方がピッタリ合ってる!
さて、本編。尾野真千子さんの登場、視聴者にとっては「ついに」と言う場面を “雨降り” にした脚本家に恐れ入った。普通、晴れだ。ヒロインの登場だから。朝ドラだから。明るく楽しくしたいから。でも、本作は雨。教室の外も雨。だから、教室に女学生がたむろっていても違和感がない。
ただそれだけなのだが、こう言う設定の最適化が大事なのだ。だって、教室の時計が「10時50分」を指す時は雨が上がり、柔らかな日差しが差し込み、小鳥のさえずりも聞こえる。何も言わずとも、演出で時間経過も見せられているし、きれいな和服も強い日差し出ないから淡い色合いがきれいに映し出されてもいる。
『半分、青い。』の教室とは違うアプローチで光を制御した田中健二氏の演出も脚本に合ってる。
教室と帰宅後の家の "光" の使い方が絶妙
光と言えば、下校後のアッパッパが画面に登場すると、日差しが急に強くなる。これも良いなと思う。だって、アッパッパは糸子が裁縫に目覚めたきっかけであり、その後の運命を変えるであろうアイテムだから、文字通りここではしっかりと “光を当てておくべき” だからだ。
しかし、光は直接アッパッパに当てず、糸子の背中に当てている…。それと糸子のアップが、糸子を中心に描こうと言う脚本と演出の意図が一致し、映像化もされている。その後も、この傾向は続く。
糸子のモノローグが多過ぎるのを、悪くないと思う理由
若干、糸子のモノローグが多過ぎるような気もするが、第2週目と考えればまだまだ状況説明の時期。その意味ではまだ出番の少ない風吹ジュンさんの「語り」より糸子の声で話を進め、糸子の印象付けに効果を期待していると捉えるべきだろう。
"釘付け" と言う心境をこんなに美しくファンタジーに描くか!
いやぁ、やられた! 何に? 枡谷パッチ店でミシンが登場する場面の演出に。まず、店の扉に書いてある「枡谷パッチ店」の文字が左から書かれていることで時代を視聴者に再認識させつつ、その真横に縦書きの看板で認知性を上げ、カメラが店内に入ると予想以上の暗さで違和感を覚えさせて、ミシンが空間と一緒に糸子の未来を輝かせた。
私が映像の仕事をしたいと思った中学生の頃、もはや記憶に無いが、あのミシンの映像処理のような印象で “釘付け” になったように思う。
口をあんぐりと開けた糸子の表情と橋を渡る足元、ミシンの動きと職人の手のアップ、機械の音とだんじりの音のモンタージュで、糸子の “釘付け” になった様子を、こんなに美しくファンタジックに描いた朝ドラがあったのか!
※「モンタージュ」が分からない方は、下記のURLを参照して下さい。
この場で説明すると、どんどん感想が長くなるのであしからず…
http://viibar.com/viimaga/purpose/others/movie-knowhow.html
【第8回】糸子と大将の出会いも自然な流れ…
恐らく、今後の糸子の師匠であり運命を動かす重要人物であろう枡谷パッチ店の店主(大将)桝谷幸吉(トミーズ雅)との出会いが、約10分かけて描かれた。実に丁寧だ。ちゃんと父や実家の商売と時代とのギャップを描きつつ、自然な流れで糸子と幸吉を出会わせた。こんなやり取りもいいじゃないか。
幸吉「嬢ちゃん 名前 何ちゅうのや?」
糸子「小原糸子や」
幸吉「いとこ… 縫う糸か?」
糸子「そや」
時間経過と一緒に、糸子の成長も描いた!
幸吉に店内へ入れて貰った時の糸子の笑顔も素晴らしいが、ミシンナメ(ミシンを画面の一部手前に入れ込んで撮影すること)をして、糸子とミシンの2度目の運命の出会いを印象付けた。職人の手元に入る光も自然だ。時間経過も説明臭さが無く、糸子と職人らとの関係性の変化だけで見せた。と同時に、糸子の成長も描いた。お見事!
あとがき
話が進むと共に、糸子もちゃんと成長していますね。それも結構いいペースで。ありますよね? 話は進んでるけどヒロインは変わらないとか、ヒロインはあれこれ手を出す割に話は進まないと言う朝ドラ、いや連ドラがたくさん。それとは違いますね。物語と主人公の進み具合が車の両輪のように合っています。だから面白いんです、きっと。
前回の感想に 94回もの Web拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。投稿が翌日になってしまいました。まっ、今後もこんな感じになると思いますが、良かったら投稿を待ってて下さい。離脱宣言するまでは書き続けますので…
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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4 5,6
第2週『運命を開く』
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