カーネーション:再放送 (第5,6回・2018/4/13) 感想

連続テレビ小説「カーネーション」

NHK総合・連続テレビ小説『カーネーション』公式
第1週『あこがれ』 『第5,6回』の感想。


 私は本作を未見なので、ネタバレのコメント等は無視します。
 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
 また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。


【第5回】
善作(小林薫)に殴られて以来、糸子(二宮星)は、女に生まれたことに意気消沈していた。だんじり小屋に行き、泰蔵(須賀貴匡)にだんじりの屋根にこっそり乗せてもらうが、気は晴れない。そんな折、神戸の祖母・貞子(十朱幸代)から糸子に小包が届く。中身は小さなドレスだった。大喜びの糸子だったが、ドレスは糸子には小さすぎた。しかし、だんじりと違って、いつか手に入るかもしれない、と糸子の心は晴れてくるのだった。

【第6回】
糸子(二宮星)は近所のおばちゃんに神戸から届いたドレスを見せ、そこでアッパッパという洋服なら手軽に作れると聞く。さっそく祖母・ハル(正司照枝)にサラシをもらい、夜中にようやく一着のアッパッパを縫い上げる。大得意の糸子に善作(小林薫)も感心する。以来、糸子は裁縫に夢中になり、神戸の祖父・清三郎(宝田明)たちに縫った物を送りつける。――3年後の昭和2年。糸子(尾野真千子)は14歳の女学生になっていた。
---上記のあらすじは[NHK番組表]より引用---

【第5回】糸子の表情で構成されたアバンがいい!

通常放送なら金曜日のアバンタイトルと言うことになる訳で、今週のまとめと言う意味合いとして捉えると、完全に男尊女卑の風習が残っている時代を描いていることと、その権化的、象徴的な存在としての主人公の父・善作の存在と、それに蔑まれて生きながら、まだ自分が何者であるかを分からない糸子が描かれていた。

特に編集的に見ると、前回にも書いたが、一言も口答えせず、教師や父親の絶大な力に慄くようでもあり、歯を食いしばるような思いでもあり、すぐにでも泣きたいようにも見える糸子の1週間の中での印象的な数カットの表情で構成されていたのが、とても良い。なぜか? 本作が糸子の人生のドラマだから。当然と言えば当然なのである。

台詞を切り詰めるだけ切り詰めて、演技だけで描く…

前回までと今回で明らかに違うのは、前回までが第1週に有り勝ちで且つあって当然の状況設定説明に重きが置かれていたのが、この第5回から「自分が男か? 女か?」と言う自分が選ぶことの出来ない “性差” によって、生まれた後の生き方や考え方、更には存在価値までもが決めつけられてしまうことが淡々と描かれ始めたことだろう。

今は「LGBT」などの性の多様性を認める風潮になりつつある(不十分ではある)が、本作の時代は「男尊女卑」が大腕を振って街を闊歩していた時代だ。そんな時代、そんな設定の中で4分過ぎに、これまで言葉を発するのを暫く拒んでいた糸子が、泰造に恐る恐る「だんじり 乗りたいんや」と自己主張する。少し潤んだ瞳で弱弱しく…

糸子の物語が再び動き出す予感…

ストリングスで始まる静かな劇伴が入って、糸子の物語が再び動き出す予感だ。当時のだんじりが完全女人禁制だったか定かでないが、本作の描写、泰造の言動を見る限り、普通でないことは明らか。もちろん、糸子もそれを知っていて頼んだに違いない。後ろを振り向かずただただ上に登る糸子。下からじっと糸子を見守る泰造。台詞は無い…

そして、天井に頭が付きそうな程の櫓のてっぺんから糸子が見た景色も心情の描かれないまま、糸子は「降りる」とだけ言って、櫓を降りる。優しい笑顔の泰造の「気ぃ済んだか?」に、首を小刻みに左右に振るだけで去って行く糸子。台詞を切り詰めるだけ切り詰めて、演技だけで描く。これがテレビドラマ。子役だって出来なきゃダメななんだ。

コミカルなシーンの使い方も上手い!

憧れのだんじりのてっぺんに登っても達成感や満足感を得られなかった糸子を描いた後は、舞台を奈津の吉田家に移して、男に生まれなかったと言う理由だけで “我慢を強いられる女たち” が描かれた。この事実をしょうがないと受け入れている女と泣く女、これらを如何にも馬鹿馬鹿しいことと言わんばかりの男らを描いて…

最後に「修身で習うたとこや」とあっけらかんに言ってのける奈津でこのシーンが締め括られた。実に面白い。夫婦喧嘩は犬も食わぬと言うが、本作では夫婦喧嘩は奈津も食わぬらしい。重たい空気のシーンが続いたから、こんなコミカルなシーンを中盤に挟むのは良いアイデアだ。次のシーンへの期待感にも繋がり易いし…

糸子がかわいい…

さて、今度はどんな場面かと期待したら、小林薫さんらしいコミカルな芝居で、実は娘の糸子を心配する父ちゃんが描かれ、続いて不貞腐れる糸子。だんじりのてっぺんに登っても、家に帰って家族を見ても、要するにらちが明かないことを悟る糸子。両手で顔をこすって、まるで自身の目を覚まさせるような糸子がかわいい…

糸子(M)「嫌や! しょうもなさすぎる。
     嫌や 嫌や! 女なんか ほんまに嫌や!」

"お下がりの連鎖" に入れない糸子なんて実に滑稽だ!

そして。あらら、前回の感想のあとがきで書いたのが当たっちゃった。糸子の母方の祖母・貞子から「ピンク色の子供用のドレム」が届いた。ここの魅せ方もいいな。最初は真っ赤できれいな箱に驚いて、箱に入れる中身を楽しそうに想像してから、ゆっくり魔法の箱を開けるように…。

有頂天真っ只中の糸子がドレスを着て…と順当に進むかと思いきや、真っ先にドレスに手を通したのは糸子の長妹・静子ってオチ。母と妹たちの “お下がりの連鎖” に入れない糸子なんて実に滑稽だ。「だんじりと一緒や。手に入りそうで入らへん」なんてのも面白い。こりゃ、土曜日が楽しみなるはずだ。

【第6回】このアバンの演技と劇伴の組合せは好きだぞ

展開が速い。前回のラストをアバンで引っ張らずに、世の中が「洋装」に傾倒しつつあることを続けて描いて来たから。更に見事なのは、呉服屋と履物屋の男主人2人が愚痴ってる場面に、浪速のブルース調のアコギの劇伴で飾るなんて、こう言うの好きだ。

「語り」や「説明台詞」に頼らない

そして、「アッパッパ」の話へ。私の子供の頃にも母が着ていたのを思い出した。履物屋のシーンでは、主人に対してちょっと強気に出る女房も描かれ、確実に時代が変わりつつあることをさりげなく描いてる。決して「語り」や「説明台詞」に頼らず、登場人物の言動で描いてる。何度も書くが、これがテレビドラマなのだ。

手持ちカメラの臨場感が活かされた!

そして、話は全くとんとん拍子なんて感じさせない自然な流れで、「ドレム」から「洋装」へ、そして「裁縫」に進んでく。祖母に生地の違いを教わった糸子がこんなことを言う。

糸子(M)「うちは 初めて きれの事を おもろいと思いました」

その直後に生地を裁断する父と娘の画がカットバック。娘のハサミの「サックサック」と言う独特な音が階下に伝わってる雰囲気。二階ではどんどん裁縫が進んで行く。オーケストラアレンジの荘厳で壮大な劇伴が場面を盛り上げる。窓辺の奴さん凧の逆光も美しい。時の経つのも忘れて没頭する糸子を手持ちカメラが追い掛ける。臨場感が凄すぎるぞ。

子役から切り替わる際の劇伴の編集がお見事!

そして、やっと夜になって「アッパッパ」が完成。なるほど、父親は商いは仕込まなくても、裁縫で仕事を手伝わせようとする訳か。裁縫の才能があることも、貞子への贈り物でフィードバック。モダンカンカン調のリズミカルな劇伴が楽しさを盛り上げる。上手いもんだ。飽きさせない工夫が全編に行き渡ってる…

演出も凝ってるぞ。幼少期の糸子のアップに流れていた例のリズミカルな劇伴はフェードアウトでなく終わるのだが、その終わる部分がほんの僅かだけ、成長した糸子のシーンにずり下がっていた。こう言う音の編集は私も良くやるのだが、場面の転換に合わせて音を止めるのでなく、次にシーンに僅かだが引っ張ることで、時間経過を的確に表現できるのだ。

テロップも語りも入らず自然に時間(時代)だけを先に進めるにはとても効果的。実際に見ても、音が止まってから「昭和2年(1927)」のテロップが出たから、演出家が意図的にやったのは間違いないだろう。カット頭が足元から入るのもいいね。ホント、自然に尾野真千子さんに切り替わった。で、えっ! 栗山千明さん出てたんだ! 第1週目はお見事と言うしかない。

あとがき

第1週と第2週の予告編を見ただけでも、本作が「脚本×演出×俳優の三位一体」で構成されそうな予感はしますね。少なくとも『半分、青い』の第1週とは完成度が比べ物になりませんな。全体的に緩急の入れ方が絶妙ですね。物語や演出、演技も、きっちり描く部分と省略すべき部分が的確だからそう見えるのだと思います。今のところ、夕ドラが優勢です。

前回の感想に 84回もの Web拍手と数々のコメントを頂き、ありがとうございます。再放送の感想の方が、現在放送中の朝ドラより反響があるとは!

最後に、数日前から、『朝ドラ』と『夕ドラ』の感想記事が同時進行になっており、特に『夕ドラ』は1日に2回分なので感想を投稿するのが結構たいへんです。
更に、コメントもたくさん頂戴するのですが、返信が追いつきません。なにせ、1つ1つコピペしないと作業が進みませんので。返信が遅いのは、どうかご容赦下さい。書ける時に書きますので、待って頂けると助かります。

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【これまでの感想】
第1週『あこがれ』
1,2 3,4

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