わろてんか (第150回・3/30) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第26(最終)週『みんなでわろてんか』
『第150回』の感想。
※ 本作は、2018/2/27 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
リリコ(広瀬アリス)と四郎(松尾諭)に再会したてん(葵わかな)と風太(濱田岳)は、本格的に寄席の再建に取り組み始める。さらにキース(大野拓朗)とアサリ(前野朋哉)が戻り、次いで亀井(内場勝則)や万丈目(藤井隆)ら北村笑店の主要メンバーが続々と戻って来たのを受け、てんは焼け跡の寄席から新生北村笑店の船出をしようとみんなに提案する。そんな中、長らくてんが待ち続けていた人物が焼け跡に姿を現した。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
笑顔がきちんと出来る若手女優を選ぶべきだった…
こんなことから書き始めたくないが、アバンタイトルのラストカットの主人公の顔って何を意味していたのだろう? 苦笑? 失笑? 全く分からない。結局、笑顔と言う演技すら150回の放送の中で完成させられなかったのだ。やはり、笑顔がきちんと出来る若手女優を選ぶべきだったと今更ながら思う…。
このナレーションは、間違ってはいないのだが…
N「北村笑店の家族が少しずつ帰ってきました」
本来なら、このナレーションは間違っていない。このナレーションに続いて、芸人たちだけでなく息子の隼也も帰って来るのも間違いではない。主人公の人徳や北村笑店への想いや風鳥亭への愛着などが源になって、集まって来たのは。ただ、アバンでの主人公の横柄な振る舞いや、私の頭の中にある1つのことが気になって…
てんが "無一文" になったように描かれているが…
そのナレーションを素直に受け入れることは出来ないのだ。その理由は、前回で主人公は北村笑店の再建資金を伊能商会から出資を受ける話になっていたが、主人公自身もかなり財産を持っているのではないかと言うのが描かれないのが気になるのだ。
だって、戦争前までは超が付く程に経営は順調だった。そこへ戦争が始まって疎開前に主人公は北村笑店を解散した。300人超の芸人とも契約解除したから「月給」も払わずに済んだはず。これ、主人公が「いつでも帰って来る場所が必要だろうから、会社は存続しておく」と言ったなら話は別だ。しかし「解散」したのだ。
だから、家や寄席が空襲で焼けても、有り金は相当持っていると思うのだ。以前、藤吉に隠れてへそくりしていた前科もあるのだから、万が一のためにお金を何処かへ…みたいな方が「女太閤」らしいとも思うし。もちろん、戦後直後のどさくさの時期に「銀行だ」「お金だ」と言っていられなかったと言う解釈もあろう。
であるならば、そう書けば良い。「銀行にはみんなに稼いで貰ったお金がある。でも、今はこんな時だからみんなの手を貸して欲しい」と書けば良いのだ。それをしないで、例の視聴者置いてけぼりで話を進めるから説得力の無い話になるのだ。また、7分過ぎの夜の鳥居の前での主人公と伊能の会話にこんなのがあった。
てん「伊能さんには ご心配をおかけしましたけど
これでまた なんとか やれそうです。
そやさかい 伊能さんには これからは
北村に気兼ねのう
ご自分のやりたい事やってほしいんです」
結局、主人公に財産があるってことでしょ? 商売を描くドラマで金銭のやり取りを中途半端に描くなんて愚の骨頂。愚かなことだ。まっ、今に始まったことでは無いが…
隼也の「おっちゃん」が馴れ馴れし過ぎて嫌悪感が…
時間軸を放送開始から3分過ぎへ戻そう。すると、また視聴者置いてけぼりがあった。隼也が何処からか知らんが北村家に帰って来た。そこで主人公と風太に向かってこんなことを言う。
隼也「お母ちゃん おっちゃん お願いがあります」
「お母ちゃん」は良い。でも風太を「おっちゃん」って? これも違和感を覚える台詞だ。いや、隼也にとって風太は叔父だし、父親代わりの一面もあったから、「おっちゃん」は間違いでない。でも、隼也と風太が親戚同士や仮の父と息子みたいな描写で印象的なものがあっただろうか?
私の印象には風太が怒鳴り散らして、たまに褒める位しか記憶にない。そう言う状態で、正に最終回直前に取って付けたように「おっちゃん」などと言う台詞を隼也に書くと、益々隼也が馴れ馴れしい(人懐っこいとは真逆の)人間に映るだけ。それなのに、脚本家は隼也にこんな台詞まで言わせちゃう。
隼也「僕 戦場で 笑いが どんだけ大事か 身にしみて分かった」
この台詞が説得力ゼロなのは当然だ。誰一人、隼也が戦場でそんな思いをしているのを見ていないのだから。もしかして「わろてんか隊」のくだりで既に描いたから、あとは視聴者の脳内保管に丸投げってか? それは流石に酷過ぎる。私は隼也自身が本作に不要だと思って来た。しかし、描くならきちんと描くべき。
たった一行の台詞で済ませずに、隼也の戦場での経験を描くべき。それをせずに、隼也に「笑いが好きや」と言わせても説得力が無い。そのことは、隼也の話を聞いている主人公と風太の「なに言っちゃってんの?」みたいな表情に見事に表れているではないか。
結局、最後まで "てんと伊能" はモヤモヤのまま終了か…
で、再び前述の夜の鳥居のシーンだ。ここも、物凄くモヤモヤするのだ。特に伊能のこの台詞が一体何を言わんとしているのか? 脚本家は一体何を含ませて書いたのか? て。
伊能「君と 君たちと一緒にね。
君となら きっと そんなパートナーになれる」
1つは、綺麗事に書けば主人公の財産に魅力を感じてる。感じたままを書けば伊能は北村笑店の金に目を付けてるとなる。また、ビジネスパートナーが綺麗事で、金も身も頂いちゃうのが本音。結局、これも主人公と伊能の “恋バナもどき” を描いたからなのだ。
書くならきちんと藤吉亡き後二人の気持ちを確かめるシーンがあっても良かったし、そんな関係でないなら、もっとクールな関係に描けば良かった。これ以上鳥居の下での台詞は引用しないが、最後の最後まで脚本家がいろいろ含ませたつもりで書いたって、視聴者誰一人として、二人の関係にワクワクや胸キュンなんてしないのに…
あとがき
終盤の5分間は、つまらない茶番の一言でした。なぜラスト2回で、戦後から北村の従業員になった新キャラ「田口一郎」を登場させて物語を作るの? それこそ、田口一郎を松坂桃李さんに演じて貰ったら良かったんじゃないのかな。亡霊で何度も登場していたのだから、藤吉のそっくりさんが現れて、てんが目を丸くするなんてのが本作らしかったと思うのですが…
最後に。前回の感想に、80回もの Web拍手や数々のコメントを頂き、ありがとうございました。明日、田口と藤吉が重なって目を丸くするおてんちゃんをやりそうですね。それにしても、戦前は大儲けして、戦後の復活の兆しを描いて終了と言う訳ですよね。要は、生前も死後も藤吉に振り回され続けたヒロインってことで良いのかな? なんか、なんかなぁ…
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わろてんか メモリアルブック (ステラMOOK)
吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉
「わろてんか」を商いにした街 大阪
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11185/
★「北村(藤岡)てん」のモデル「吉本せい」のについて書かれた本の感想
[読書] 笑いを愛した吉本せい - 吉本興業創業者の波乱万丈記 (洋泉社) 感想
[読書] 吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉 (坂本 優二/著・イースト・プレス) 感想
【これまでの感想】
●「わろてんか」なぜ視聴者を “場違いの笑いと置いてけぼり” を続けるのか?(2017/10/15)
第1週『わろたらアカン』
1 2 3 4 5 6
第2週『父の笑い』
7 8 9 10 11 12
第3週『一生笑わしたる』
13 14 15 16 17 18
第4週『始末屋のごりょんさん』
19 20 21 22 23 24
第5週『笑いを商売に』
25 26 27 28 29 30
第6週『ふたりの夢の寄席』
31 32 33 34 35 36
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
37 38 39 40 41 42
第8週『笑売の道』
43 44 45 46 47 48
第9週『女のかんにん袋』
49 50 51 52 53 54
第10週『笑いの神様』
55 56 57 58 59 60
第11週『われても末に』
61 62 63 64 65 66
第12週『お笑い大阪 春の陣』
67 68 69 70 71 72
第13週『エッサッサ乙女組』
73 74 75 76
第14週『みんなの夢』
77 78 79
第15週『泣いたらあかん』
80 81 82 83 84 85
第16週『笑いの新時代』
86 87 88 89 90 91
第17週『ずっと、わろてんか』
92 93 94 95 96 97
第18週『女興行師てん』
98 99 100 101 102 103
第19週『最高のコンビ』
104 105 106 107 108 109
第20週『ボンのご乱心』
110 111 112 113 114 115
第21週『ちっちゃな恋の物語』
116 117 118 119 120 121
第22週『夢を継ぐ者』
122 123 124 125 126 127
第23週『わろてんか隊がゆく』
128 129 130 131 132 133
第24週『見果てぬ夢』
134 135 136 137 138 139
第25週『さらば北村笑店』
140 141 142 143 144 145
第26(最終)週『みんなでわろてんか』
146 147 148 149
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