わろてんか (第149回・3/29) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第26(最終)週『みんなでわろてんか』
『第149回』の感想。
※ 本作は、2018/2/27 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
てん(葵わかな)と風太(濱田岳)は、海外から帰国した伊能(高橋一生)と久しぶりに再会した。伊能は北村笑店の一員として会社再建の手伝いをしたいと申し出るが、芸人が誰一人戻って来ないことに落ち込むてんは、その申し出を断る。だが伊能と風太は、焼け跡に寄席を作ろうと資材をかき集め始めた。てんは最初気乗りしないが、伊能の前向きさに触発されて笑いへの情熱を思い出す。そこへ一団の男たちが、伊能を訪ねて来た。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
年齢不詳の白髪混じりのヅラを被っての学芸会で始まった
今朝はアバンタイトルが無くて良かったと思ったら、藤吉の遺影の前で朝から茶を飲むシーンで始まった、あと3回の『わろてんか』。ここ数回てっきり「笑いの神さん」から嫌われているのか、全くクスりとも笑えない。今回の冒頭のシーンも、年齢不詳の3人が白髪混じりのかつらを被っての学芸会。これが、残り3回しかない半年分のエピローグか…
伊能に偉そうなことを言わせるのは筋違い!
さて、本編。アメリカに行っていた伊能が戦争で時局が悪化する前に中立国に逃げてパリッパリのスーツで帰国したが、それで良かったのだろうか。もちろん、カッコ良く再登場させるためのお膳立てなのだろうが、7分頃の伊能のこの台詞↓に引っ掛かった。
伊能「やっと 日本にも 自由な文化が花開く時がやって来た 今度こそ自分の作りたいものを作れる」
え~と。伊能って戦前から自分の好きなことしかやって無かったよね。親のすねをかじって特段の苦労もせず、最後は役員たちに追い出された身だよね。そんな人間がこんな台詞を言うと、今度は主人公に近づいて北村笑店の財産狙いに見えちゃうよ。こんな台詞を言わせるなら、もっと正確且つ丁寧に「映画の検閲」を描くべきだった。
それをくだらない寸劇もどきのおちゃらけに描いておいて、伊能に偉そうなことを言わせるのは筋違い。この脚本家、最終週まで思い付きで脚本を書いたの? と思ってしまった。
今回はちゃっかり「北村」の表札が玄関に掛かってた
な~んて、思っていたら、8分過ぎにとんでもないことが起こった。伊能を追い出した役員たちが「会社に戻って下さい」と頭を下げに来た。だから、前回の感想で書いたの! あの小屋がどこなのか明確にしろって。今回はちゃっかり「北村」の表札が玄関に掛かってたけど。それに役員らはどうやって伊能の居場所を知ったのか? まぁいいや。
伊能が再建資金を出したら、主人公の苦労は何処へ…
それよりも、とんでもないのは2つ。1つは伊能が伊能商会に戻ることで、北村笑店再建の資金繰りがあっと言う間に整っちゃったこと。2つ目は、伊能がただの金持ちとして描かれちゃったこと。流石にこの2つはあかん! 残りの2回分で大団円の結末を仕上げなかきゃいけないための、ノーアイデアの脚本家の苦肉の策であり秘策だろうが…
これをやったら元も子もない。だって、“てんの閃き” によって話が進んでないし、何よりも主人公が全く努力も苦労もせずに再建できちゃうことになるから。もう、主人公が目標達成のために苦悩し葛藤し夢をつかむのがドラマじゃないの? そう言うヒロインに共感して応援できるのが朝ドラじゃないの? 今日は書く。これは朝ドラじゃない!
伊能商会の金で再建出来て、てんはホントに嬉しいの?
10分過ぎには戦後のどさくさの頃なのに、不釣り合いなヴァイオリンの劇伴で悠長な役員会議風? 数回前に大阪には居られないと言っていた楓もなぜか合流。4人とも洗濯上がりきれいなべべ着て再建の目途がついたのを拍手…ってなに? 茶番劇? みんな空を見上げているのに青空1つインサートカットも無し。あほくさ…
リリコと四郎も不自然過ぎる!
で、今度は13分。主人公の家から歩いて行ける距離にリリコと四郎。あれ、前回だか前々回で風太が芸人のメモ書きを見ていたシーンがあったが、あの時はまだ居なかったってこと? 書かないのは不自然過ぎる。でも、伊能商会が伊能の居場所を探し当てたのなら、リリコと四郎も…
だから、何度も書くが「あの小屋」は「北村家」の残骸だったのか描けってこと。「小屋 = 旧北村家」なら、リリコと四郎は「小屋」に直行するのが自然。行かないってことは「小屋 ≠ 旧北村家」ってことじゃないのかな? 最後の最後でくだらないことで矛盾を抱かせるなって心の底から脚本家と演出家に訴えたいよ。あと、リリコのど派手なブラウスもな!
あと2回。最後の最後まで、視聴者置いてけぼりか…
そして、14分にやっとリリコの口から「小屋 = 旧北村家」であったことが、後出しジャンケンで語られた。これだよこれ。脚本家は最初から「小屋 = 旧北村家」のつもりで書いてるの。当然、「視聴者も分かるよね」って具合に都合良く解釈して書き進める。で、劇中の主人公の疑問に答えるかたちで今回リリコが説明した。
こう言うのばっかり。「なぜ、そうなったのか?」を描かずに視聴者置いてけぼりでどんどん話を進めちゃって、見ていると「ああ、そうだったのか」とこちらが気付くみたいな。最初の頃の藤吉とリリコの関係もそう。思わせぶりな恋バナで描いた主人公と伊能の関係もそう。伊能と伊能商会もそう。主人公の勲章も通天閣もみんなそう。
結局、この半年間そのものが、「なぜ、そうなったのか?」を描かずに視聴者置いてけぼりでどんどん話を進めちゃって、あとから「ああ、そうだったのか」と気付いて終わるのかも知れない。だって、脇役中の脇役である伊能が再建資金を出して、それで主人公が万々歳なんて茶番劇にもなってないから!
あとがき
皆さん、忘れてませんか? この主人公が実在の人物がモデルだってことを。いや、「吉本せい」の史実とドラマの “ズレ” を指摘したいんじゃないんです。実在の人物がモデルなら、もう少し “現実味のある物語” に出来なかったのかなって。ヒロインの苦労や葛藤を描き、人々の助けや自身の閃きで、笑いの殿堂を築き上げる物語を見たかったよ。
最後に。前回の感想に、79回もの Web拍手や数々のコメントを頂き、ありがとうございました。今回は、ちょっと言葉遣いが荒っぽくなってしまってすみません。投稿のために3度見直している内に、流石にテンションが上がっちゃって。もはや、残り3回にして、これは不快ですよ。伊能の手柄なんてこの終盤に要らなかった…
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吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉
「わろてんか」を商いにした街 大阪
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11182/
★「北村(藤岡)てん」のモデル「吉本せい」のについて書かれた本の感想
[読書] 笑いを愛した吉本せい - 吉本興業創業者の波乱万丈記 (洋泉社) 感想
[読書] 吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉 (坂本 優二/著・イースト・プレス) 感想
【これまでの感想】
●「わろてんか」なぜ視聴者を “場違いの笑いと置いてけぼり” を続けるのか?(2017/10/15)
第1週『わろたらアカン』
1 2 3 4 5 6
第2週『父の笑い』
7 8 9 10 11 12
第3週『一生笑わしたる』
13 14 15 16 17 18
第4週『始末屋のごりょんさん』
19 20 21 22 23 24
第5週『笑いを商売に』
25 26 27 28 29 30
第6週『ふたりの夢の寄席』
31 32 33 34 35 36
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
37 38 39 40 41 42
第8週『笑売の道』
43 44 45 46 47 48
第9週『女のかんにん袋』
49 50 51 52 53 54
第10週『笑いの神様』
55 56 57 58 59 60
第11週『われても末に』
61 62 63 64 65 66
第12週『お笑い大阪 春の陣』
67 68 69 70 71 72
第13週『エッサッサ乙女組』
73 74 75 76
第14週『みんなの夢』
77 78 79
第15週『泣いたらあかん』
80 81 82 83 84 85
第16週『笑いの新時代』
86 87 88 89 90 91
第17週『ずっと、わろてんか』
92 93 94 95 96 97
第18週『女興行師てん』
98 99 100 101 102 103
第19週『最高のコンビ』
104 105 106 107 108 109
第20週『ボンのご乱心』
110 111 112 113 114 115
第21週『ちっちゃな恋の物語』
116 117 118 119 120 121
第22週『夢を継ぐ者』
122 123 124 125 126 127
第23週『わろてんか隊がゆく』
128 129 130 131 132 133
第24週『見果てぬ夢』
134 135 136 137 138 139
第25週『さらば北村笑店』
140 141 142 143 144 145
第26(最終)週『みんなでわろてんか』
146 147 148
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