わろてんか (第146回・3/26) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第26(最終)週『みんなでわろてんか』
『第146回』の感想。
※ 本作は、2018/2/27 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
てん(葵わかな)はつばき(水上京香)やトキ(徳永えり)、子どもたちと一緒に、りん(堀田真由)を頼って滋賀の農家に疎開した。身を寄せた先の主人・治平(西川きよし)は偏屈な男で、てんたちを邪険に扱う。大阪に残った風太(濱田岳)は芸人たちと一緒に工場慰問に回っていたが、公演先の工場で空襲に遭うことが度々あった。てんたちは苦しい疎開生活でも日々笑って暮らしていたが、治平はその楽しげな笑い声に怒りを覚える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
最終週の月曜日のアバンタイトルから絶望的である
絶望的である。それが半年間の最終週の月曜日のアバンタイトルを見た率直な感想だ。なぜなら、アバンが伊能の渡米から始まってまだまだ戦中で終わったから。だって、これは最終週が戦後直後に北村笑店が再開し、仲間が舞い戻ってめでたしめでたしまでしか描かないことが分かったようなものだから。
私は、月曜日はアバン無しで、「悲惨な戦争は終わり、次々と芸人たちが北村笑店に戻って来た」の語りから始めて欲しかった。そして、何とか苦しい戦後を通じて「辛い時こそ笑うんや」をしっかりと描き切って欲しかったのだ。どうやら、最後の最後まで私を裏切り腹立たせ続けるようだ…
主題歌明けも絶望的である
主題歌明けも絶望的である。どう好意的に見ても現代的なロケ地に、疎開先とは言え今更になって主人公の妹・りんや夫の従弟夫婦を名乗る新キャラに西川きよし師匠を投入。もういい加減にしてくれ。既出のキャラも満足に描けないのに、最終週でまだ恥の上塗りを繰り返すのか。本当、見ている方が恥ずかしくなる。
それにしても、大阪から疎開先の滋賀県米原まで自動車で名神高速利用でも136km、Googleマップで徒歩25時間(120km)とある。幼い子供を連れた女性たちの足なら数日かかったはず。なのに主人公らは疲れも見せずお肌もツルッツル。少しは、現実的なメイクとか演技とかさせる気ぃは無いのか?
誰が喋っても同じ意味で視聴者に伝わらない
藤一郎「ごはん これだけ?」
そりゃあ、4,5日以上も歩き続けたのだから、藤一郎がこう言う↑のも無理はない。戦中の疎開先をドラマで描く時の “あるある” でもある。しかし、藤一郎がこの台詞を言うと、やっぱり身勝手で人でなしの隼也とつばきの子供だなぁと見えてしまう。残念だが、連ドラとはそう言うもの。誰が喋っても同じ意味で視聴者に伝わらないのだ。
だから、個々のキャラは細心の注意を払って描くべきなのだ。例えば、芋を小判に例えるくだり。主人公とつばきが藤一郎に分け与えたなら、トキも藤一郎に分ける時、主人公が「トキは飛鳥ちゃんにお皿ごとあげんと」くらいは言わないとおかしくないか? この一言の在る無しで主人公の好感度が大きく変わるのだ。
その後の、藤一郎の飛鳥への “些細ないじわる” も同じ。治平(西川きよし)は「食べるものでふざけるんやないわ!」と叱ったが、それよりも芋をお金に例える主人公の “金への執着” みたいな方が強調されたと感じてしまった。愚かな脚本だ。
大根収穫シーンを主人公のアップで始めた違和感
その後も絶望は続く。まるで遠足の芋掘り大会のような楽しい大根の収穫シーン。本来なら、子供達には辛い戦時中の “ホッとできる瞬間” と言う微笑ましいシーンなのだが、このシーン頭(冒頭のカット)をテッカテカのおてんちゃんのアップで始めたから全部台無し。ここは好感度が高いおトキと飛鳥の母子のやり取りで始めたら良かったかな?
徳永えりさん、本作をきっかけにブレイクするかも
そして、使わんで良いところで無駄遣いした “てんの閃き” で、おっきい大根の掘り当て競争かい? それも即刻終了。しっかしスゴイよなぁ。台所にトキ、つばき、てんが並んだ構図。下手(画面左側)から順に 29歳、22歳、19歳だもん。徳永えりさん、本作をきっかけにブレイクするかもね。
空襲シーンに主人公を入れなかったのは大正解
さて、関東大震災がしょぼしょぼだったのを名誉挽回したいのか、美術さんの渾身の終盤での空襲シーン。おまけに、大根を引き抜いていた大根主人公を敢えて排除して、戦争の悲惨さを風太やリリコら芸人たちに全面委託。これは正しい判断。でもさ、一瞬のブラックアウトからりんの報告で如何にも風太が死んだような流れは頂けない。
だって、風太は最終回まで登場するのは既知の事実なんだから。それに風太だけを心配するおてんちゃんにも超幻滅。だから、月曜日は終戦後の復興期からやるべきだったと、改めて感じた15分間だった。
あとがき
映画作りがなあなあで終わったので、今度は最終週は北村笑店の再起の歴史をネタにした喜劇をつくるお話になりそうですね。だって、ここまで来て芸人たちが戦死するはずありませんもん。だとして全員が登場できるのは喜劇しかない。結局、「辛い時こそ笑うんや」が全編に亘って薄っぺらに描かれて終わるようですね。残念無念…
最後に。前回の感想に、57回もの Web拍手やコメントを頂き、ありがとうございました。主人公や北村笑店が再興すると言うエンディングなんでしょうか? なんか違う気がするんですよ。再興しようとする日本に笑いや元気を与えて終わらないと、本作の意味が無いんじゃないかなって。どんなエピローグだよ、と言いたいです。
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anan (アンアン)2018/01/31[選択の技術(テクニック)]
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★「北村(藤岡)てん」のモデル「吉本せい」のについて書かれた本の感想
[読書] 笑いを愛した吉本せい - 吉本興業創業者の波乱万丈記 (洋泉社) 感想
[読書] 吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉 (坂本 優二/著・イースト・プレス) 感想
【これまでの感想】
●「わろてんか」なぜ視聴者を “場違いの笑いと置いてけぼり” を続けるのか?(2017/10/15)
第1週『わろたらアカン』
1 2 3 4 5 6
第2週『父の笑い』
7 8 9 10 11 12
第3週『一生笑わしたる』
13 14 15 16 17 18
第4週『始末屋のごりょんさん』
19 20 21 22 23 24
第5週『笑いを商売に』
25 26 27 28 29 30
第6週『ふたりの夢の寄席』
31 32 33 34 35 36
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
37 38 39 40 41 42
第8週『笑売の道』
43 44 45 46 47 48
第9週『女のかんにん袋』
49 50 51 52 53 54
第10週『笑いの神様』
55 56 57 58 59 60
第11週『われても末に』
61 62 63 64 65 66
第12週『お笑い大阪 春の陣』
67 68 69 70 71 72
第13週『エッサッサ乙女組』
73 74 75 76
第14週『みんなの夢』
77 78 79
第15週『泣いたらあかん』
80 81 82 83 84 85
第16週『笑いの新時代』
86 87 88 89 90 91
第17週『ずっと、わろてんか』
92 93 94 95 96 97
第18週『女興行師てん』
98 99 100 101 102 103
第19週『最高のコンビ』
104 105 106 107 108 109
第20週『ボンのご乱心』
110 111 112 113 114 115
第21週『ちっちゃな恋の物語』
116 117 118 119 120 121
第22週『夢を継ぐ者』
122 123 124 125 126 127
第23週『わろてんか隊がゆく』
128 129 130 131 132 133
第24週『見果てぬ夢』
134 135 136 137 138 139
第25週『さらば北村笑店』
140 141 142 143 144 145
第26(最終)週『みんなでわろてんか』
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