隣の家族は青く見える (第10話/最終回・2018/3/22) 感想

フジテレビ系・木曜劇場『隣の家族は青く見える』(公式)
第10話/最終回『神様のくれた結末とは…!?』の感想。
奈々(深田恭子)から別れてほしいと言われた大器(松山ケンイチ)は荒れ、ぼろ雑巾のようになっていた。朔(北村匠海)は高卒認定試験に無事合格。渉(眞島秀和)はそんな朔にあるものを手渡す。そして亮司(平山浩行)とちひろ(高橋メアリージュン)は、亮太(和田庵)の改姓を機に関係を見つめ直す。一方、深雪(真飛聖)は娘・優香(安藤美優)の夢を応援し始めていた。それを感じ取った真一郎(野間口徹)は、改めて家族のことを考える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:中谷まゆみ(過去作/WATER BOYS、ラスト・シンデレラ、地味にスゴイ!校閲ガール)
演出:品田俊介(過去作/人は見た目が100パーセント、失恋ショコラティエ) 第1,2,3,6,最終話
相沢秀幸(過去作/5→9~私に恋したお坊さん~、貴族探偵) 第8話
高野 舞(過去作/セシルのもくろみ、昼顔) 第4,5,7,9話
音楽:木村秀彬(過去作/コウノドリ)、堤博明(からかい上手の高木さん)
プロデュース:中野利幸(過去作/人は見た目が100パーセント、ラスト・シンデレラ)
3人の演出家の仕上がりに、差が少なったのが良かった
演出担当が、シリーズ序盤を担当していた品田俊介氏に交代したことで、これまでの集大成となる最終回がとても素晴らしい作品に仕上がったのが、当blogなりのディレクターの目線の感想。ちょっとしたカットも実に丁寧だし、キスの寸止め編集や、主題歌の “神タイミング” もお見事。
とは書いたものの、今作は3人の演出家が、かなり入り乱れて放送回を担当したが、想像以上に各話の質に差が無く、安心してみることが出来た。
奈々と大器にグッと絞り込まれた第6話から安定感が
さて本編。一言でいうなら「良く出来た連ドラ」と言える。シリーズの序盤では上場人物の多さが仇になり若干群像劇に主人公夫婦が埋もれがちになったり、舞台であるシェアハウスが活用されなかったり、不安要素が無くもなかった。また、「妊活」と言う重いテーマを扱うことにも懸念材料ではあった。
しかし、雰囲気が変わって来たのは第6話あたりからだろうか。そう、大器の妹・琴音の赤ちゃんがお宮参りを迎え、人工授精に失敗し続けている奈々が精神的に追い込まれた頃から、物語がグッと主人公夫婦にフォーカスした。これが良かった。やや散漫だった物語が奈々と大器夫婦とその他の家族と差別され、ドラマの芯が見えたのだ。
4つの家族、カップルを掘り下げて明瞭に描いたのは秀逸
第7話以降は、「一話完結型連ドラ」には無い、毎週見ているからこそ楽しめる4つの家族、カップルの四者四様を奇を衒わない騒動を積み重ねて、笑いあり涙ありを描いた。ここで褒めるべきは、4つの価値観を思い描いていたよりも、かなり掘り下げつつ明瞭に描き分けたこと。
特に、「子供を作らないカップル」と「男性同士のカップル」は、法律上の夫婦となっている「子供が欲しいカップル」と「幸せを装う夫婦」とは異種な存在と捉えがちなのに、そこを丁寧に偏見なく描いたことで、偏見を持っていた視聴者も考えを改めるきっかけに十分だったようにも思う。
子供のいない2人の人生を模索するラストは誰も傷つけない
さて、最終回でどんな夫婦像を描くのか気になっていた奈々と大器の夫婦だが、物語上は暫く「子供のいない夫婦の人生」を選択した。この展開もお見事。結果的に「妊活」を通して「結婚とは何か?」と言う全体に通じるテーマへしっかりと帰着させた。奈々と大器に子供が授かるエンディングも書けたはずなのに、敢えての選択。
「妊活」を一旦休んで、子供のいない夫婦の人生を考える奈々と大器の選択。子供を授かった視聴者も諦めた視聴者も、更に奈々と大器を応援してきた視聴者も傷つけないエンディング。ただ、4つの家族を考えると、かなりドラマならではの大団円でやり過ぎ感も無くもない。ただ、他の3つの家族を中途半端に終われせるのは良くないこと。
良質な心の温まるホームドラマだった
これは、あくまで主人公夫婦の物語だから。その意味では「夫婦」「カップル」「家族」を改めて考える動機付けに、様々な家族の在り方、LGBTの存在、親子の関係などを「特殊」なものでなく「普通」として描き切ったのが良かった。視聴率的には苦戦を強いられたが、良質な心の温まるホームドラマだったのは間違いない。
あとがき
我が家は子供のいない夫婦を25年以上やっていますが、悪いものじゃありませんよ。そう、奈々と大器に伝えたい…そんな最終回でした。内容的に続編は難しいかも知れませんが、奈々と大器のその後を描くと言う意味で、続きが見たい。そんな連ドラでした。
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【これまでの感想】
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