海月姫 (第10話/最終回・2018/3/19) 感想

フジテレビ系・月9『海月姫』(公式)
第10話/最終回『尼~ずよ永遠に! 涙の卒業制作最後のキス』の感想。
なお、原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」所載)は既読で、2014年12月27日公開の監督・川村泰祐/主演・能年玲奈の映画『海月姫』は鑑賞済み(感想なし)。アニメは未見。
月海(芳根京子)は天水館を出た‘尼~ず’一同と漫画喫茶で暮らし始める。そんな中、慶一郎(北大路欣也)が反対派に回り、再開発は見直されることに。ぼうぜん自失の稲荷(泉里香)と鯉淵家を訪れた佐々木(安井順平)は、息子たちのためではと嫌みを言うが、慶一郎ははぐらかす。一方、カイ(賀来賢人)から月海の才能を捨てさせるのかと言われた蔵之介(瀬戸康史)は、一からファッションの勉強をするためブランドを解散すると宣言。そこで最後のショーをやることになり、一同は再び天水館で服作りに挑む。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:徳永友一(過去作/HOPE~期待ゼロの新入社員~、僕たちがやりました)
演出:石川淳一(過去作/リーガル・ハイ、リスクの神様、フラジャイル) 第1,2,5,8,最終話
山内大典(過去作/キャリア~掟破りの警察署長~、櫻子さん…) 第3,4,7,9話
紙谷 楓(過去作/世にも奇妙な物語'17 春/秋の特別編) 第6話
中高年も楽しめる連ドラだから、"おさらい" が欲しかった
さて、ついに『海月姫』の最終回だ。これまで順調に来た作品だから大ハズレはないと思うが、絶賛する前に一言。冒頭でもう少し前回の振り返りを挿入して欲しかった。やはり先週の金曜日から連ドラの大作の最終回が続いたため、どうしても気持ちの切り替えが難しい。もちろん、私が感想を書くために何度も録画を見ているからなのだが。
また、前回の感想に書いた通り、本作は中高年層に見て貰わないと視聴率が上がらないシステムに十分に配慮されて、オジサンやオバサンが楽しめる内容になっているのだから、ここは中高年にも優しい連ドラと言う観点からも、最終回とは言え、新規視聴者獲得の意味でも「前回の振り返り」や「これまでの流れ」をもう少し入れても良かった。
まややとジジ様が「蔵子=男」を知るタイミングが絶妙!
まやや「男勝りの女だと思ってたら
本当の男が 男勝りの女のふりをしていたということか」
そうか! いろいろなことが、既に片付いていたから、あとは結末だけと思っていたのだが、よくよく考えたら「蔵子、男説」が未解決の “尼~ず” がいたんだね。それを23分に持ってくるなんてのも構成の妙だ。10分台だとそれが主軸になってしまうし、30分過ぎでは今更感が漂う。「せめて ショーが終わるまでは隠し通すぞ」を生かす絶妙なタイミングだ。
"洋服は心も輝かせる" のを教えてくれた月海の独り言
今作の序盤で蔵之介が「よろいを身にまとえ」と “尼~ず” に檄を飛ばした回想シーンを挟んで、蔵之介に買って貰ったタコクラゲのクララに話し掛ける月海が、今作の序盤の頃の月海とは見違えるように成長したのにも驚く。
また、洋服って「鎧」のように人間の外側を飾るものだと思っていたが、人間の内面も輝かせる。そんなことがこの月海の独り言↓に詰まってた。
月海「このドレスがね 私たちの
よろいになればいいと思って考えたんだ
柔らかくて 透明なゼリーみたいに私たちを包む膜
私たちが 私たちのままで強くなれるようにって」
最終回は、ジジ様がいい味出してる!
30分から始まった「尼~ずの最後のファッションショー」のくだりの冒頭、月見が考えた「天水館の物語」も秀逸。そして、ショーが始まる。それにしても、蔵子を演じる瀬戸康史さんのスタイルが、まやや役の内田理央さんに引けを取らないのがスゴイと感心してしまった。
と思っていたら、ショーの会場に修が元舞台女優で蔵之介の実母・リナ(若村麻由美)を連れて来る。動揺する蔵之介。このままではショーが中断してしまう…
ジジ様「私 やります 大丈夫です
これは 私たちのためのドレスですから」
そんな時に、ジジ様がメガネを外して言う、この台詞↑もまたジジ様の成長を見せてくれる。ジジ様に続いて次々と “尼~ず” の面々が堂々と胸を張ってランウェイを歩き出す。そんな姿をステージ袖から見る月海が言うこのモノローグ↓もいいね。
月海(M)「お母さん あなたが 言ってたとおりでした
女の子は 大きくなったら みんな みんな
綺麗かお姫さまになれるんだよって」
兄弟を逆転させたドラマ版の分かり易さに注目
ショー中、楽屋にいる蔵之介に会いに来るリナ。
リ ナ「慶一郎さんから 連絡をもらったのよ
立派になったあなたを見てあげてほしいって」
蔵之介「親父が…?」
リ ナ「本当に立派になったわね」
蔵之介「俺… 俺 ずっと母さんのこと…」
リ ナ「ごめんね… ごめんね 蔵之介」
蔵之介とリナの息子と母親のわだかまりをほぐしたのは、弟の修だった。原作等と比較するつもりはないが、このシーンを見てドラマ版は兄弟が逆になっているのも悪くないな、と言うか逆にしたからこそ誰にも分かり易い表現になったと思う。原作の信念は失わず、連ドラだからこそ多くの視聴者に分かり易くするのは良いこと。だから、冒頭も…と言う訳だ。
修も、ちゃ~んと成長したんだ!
そして、場面は月海と蔵之介がラストステージへ。純白のタキシード姿の蔵之介が舞台袖で月海に一言「愛してる」と言って、同じく純白のドレスの月海の手首を引っ張ってステージに出て行くシーンは、なかなか感動。
しかし、画面はすぐに一度ホワイトアウトして、場面はショーが終わった後の水族館でクラゲたちを見ている月海のカットへ。そこに修が、リナから月海への伝言を伝えにやって来る。
修「私(リナ)の分まで愛してあげてって」
修の失恋が確定した瞬間だ。しかし、修は月海に深く一礼をして笑顔でその場を去る。いいじゃないか。修も、ちゃ~んと成長したんだ。
蔵之介王子、ニューヨークへ行く…で思い出した映画
そして、天水館でのショーの打ち上げ。ついに、王子様、ニューヨークへ行くだ。そこで思い出した。1988年公開のコメディー映画。エディ・マーフィ主演映画『星の王子 ニューヨークへ行く』のタイトルを。劇中でエディが特殊メイクを駆使して一人4役する辺りも、ちょっと本作に似ていることに今更気づいちゃった。未見の方はこれを機会に是非ご覧あれ。
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動揺しながらも全てを受け入れる千絵子も可愛かった
話を『海月姫』に戻そう。カイ(賀来賢人)が解雇され天水館のオーナー兼管理人になり、“尼~ず” がこのまま「ジェリーフィッシュ」を継続しながら、王子様の帰国を待つことに。そしてついに蔵之介自ら「男宣言!」。
千絵子「そっ そうよね… ウィーアー 尼~ずよね」
結局、最後の最後まで千絵子は気付いていなかったって訳か。動揺しながらも全てを受け入れる千絵子も可愛かった。
目白先生役が、滝藤賢一さんに天晴!
大団円で拍手喝さいのところへ、「目白先生」こと目白樹音が登場。実は目白先生も男だったと言うオチ。それも演者が滝藤賢一さんと言う大サプライズ。フジテレビもよくぞ配役したもんだ。天晴だぞ。
あとがき
月海「蔵之介さんが私に魔法をかけてくれたから」
最終回はこの月見の台詞で主題歌が! ホント主題歌がずっと “神タイミング” だった本作。笑いあり涙あり、1人1人のキャラクターに無駄がなく個性的で、一話完結型では味わえない連ドラとしての面白さもありました。第3話から大絶賛を始め応援し続けた本作。最終回のラストも前向きな月海が見られて良かったです。
これ、間違いなく『べっぴんさん』超えの芳根京子さんの代表作ですよ。続編、見たいな。
最後に。前回の感想に、80回ものWeb拍手やたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。また、私の「見た方が良い」に賛同して見始めて下さった読者さんも、ありがとうございました。「月9復活!」を確定するのは、まだ時期尚早かも知れませんが、復活の兆しが見えたのはテレビドラマファンとして嬉しい限りです。
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【これまでの感想】
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