わろてんか (第135回・3/13) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第24週『見果てぬ夢』
『第135回』の感想。
※ 本作は、2018/2/27 にクランクアップ(撮影終了)しています。
※ 従って、僅かな編集への期待と、直感的な賛美や愚痴を書いています。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
伊能(高橋一生)が社長を辞任し、てん(葵わかな)たちに何も告げず伊能商会を去ったことを知って、てんは大きなショックを受ける。何としても映画制作を続けたい伊能は、東京まで行って新しいパートナーを探すが見つからず、落胆して戻って来た。北村笑店で映画を作ろうと考えたてんと風太(濱田岳)は、映画部設立に力を貸して欲しいと伊能を誘うが断られてしまう。てんは映画への伊能に情熱を取り戻してほしいと懸命に訴える。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
主題歌は、本作が空回りし続けることを暗示したのか!?
先日(3/11)放送された『関ジャム 完全燃SHOW』で「失恋ソング編~ 歌詞に散りばめられた名曲と言われる秘密をプロが分析」の中で取り上げていた、10代、50代に支持される失恋ソングとして、杏里さんの『オリビアを聴きながら』の歌詞のこの部分↓が取り上げられていた。
誰もが思いつくベタな歌詞だが、これが1978年に最初に書いた歌詞だから意味があると。
♪ 出逢った頃は こんな日が来るとは 思わずにいた
本作の現状って、正にこんな状況では無いだろうか? まさか『ひよっこ』の後継にこんな話題にならない朝ドラが続くなんて。ただ、流石に私の祈りが通じたのか、今回はアバンタイトルが無かった。これだけでも「マシてん=マシな点」と思わないと、気分良く午前中を過ごせないのが本作だ。そんな本作の主題歌にこんな歌詞がある…
♪ パレードは まわり続けてる
この歌詞、放送前からドラマの内容が空回りし続けることを暗示したのだろうか? だとしたら、作詞作曲を担当した松たか子さんには相当の先見性があると言うことだ(苦笑)
物語の最初の台詞が「ため息」では、ため息しか出ない…
さて、本編。「わろてんか隊」の時はギリギリ主人公らしさを発揮して、叙勲まで強引に辿り着いた “おてん様” だが、それが一段落したら、再び “聞き役” と “相槌係” に格下げ。ドラマの冒頭の台詞が、主人公の相手役である 「伊能商会」専務・山下(玉置孝匡)のため息で始まるのだから、こっちがため息をつきたくなる。
伊能商会の "原点が映画" だなんて設定はあったっけ?
その上、主人公のアップから下手(画面左)にカメラがパンすると、仕事中の伊能に専務たちが責任追及する回想シーンになると言う編集も全く意味不明。それこそ、伊能の「異議あり」の台詞までアバンにして…
伊能「映画で大衆に感動を届ける
それこそが この会社の原点だ」
えっ!? その回、その週、見逃した!? そんな設定あった? 伊能は父の経営する薬の貿易会社を任されたお坊ちゃまで、母・志乃 が好きだった活動写真によく連れて行ってもらったからエンターテインメントに興味を持ち、大衆芸能・芸術を創る会社を設立したんじゃ無かったっけ? 映画製作は時代の流れに乗って始めたと記憶しているが。
伊能が「ただただ映画を撮りたい人」になってる…
まあ、会社が先か、映画が先かなんてどうでも良い。どうやら、脚本家は映画を作るために伊能が会社を設立したことにしたいらしいから。でもね、それならそうで、なぜ以前から伊能や伊能商会のことをしっかり描かなかったのかと言うのが最大の疑問。どっちが先かなんて小さな疑問だ。
伊能「その原点を切り捨てれば 会社経営は必ず行き詰る」
これも変。確かに会社に原点は重要かもしれないが、大切なのは「社是」みたいな魂であって、何を創るかは別の話では? 映画製作をしなくても代替えの利益が見込める事業があるなら、それに変えるのも社長の英断であり悪くないと思うのだが。この台詞では、伊能が「ただただ映画を撮りたい人」になっている。それで良いのかなぁ。
回想から現実になって、再び回想が入ると言う編集…
で、感想は「回想シーンになると言う意味不明な編集」のくだりへ戻る。冒頭で主人公が伊能商会を訪れて、伊能が退社する回想シーンになった。そのあとに、普通なら現在の主人公にシーンが戻るべきなのに、伊能の回想が続いてそのまま伊能のその後になると言う不可思議な構成。更に生前の藤吉が登場。回想の中に回想が入ると言う摩訶不思議さ。
これ、普通に主人公を登場させず(これも問題だが、いない方が話が進むから)、アバンで伊能が社印を返すシーンまでやって、主題歌明けに「一週間後」の風太とうどん屋で良かったんじゃないの? そうすれば、5分近くバッサリとイケたのに。おっと、脚本家のネタが枯渇してるから強引に時間軸を行ったり来させて “間” を埋めてるのか…
なぜ伊能と風太を "うどん屋" は鉢合わせさせたの?
それにしても、なぜ伊能と風太を “うどん屋” で鉢合わせさせたんだろう? それ自体不自然だし、伊能と風太の座る距離も何気に近過ぎない? 「二人で立ち話」が演出と演技がし辛いのは理解するが、どこかのガード下で偶然会ってから “飲み屋” くらいが妥当では? セットを創るのが面倒くさいのか。まっ、いいや。
整理整頓出来ない主人公と伊能が人を束ねる社長か!?
話は進んで、主人公がタンスの中から見つけるシーンも違和感。だって、主人公はデキる女社長なんでしょ? 寄席の客の履物を揃えたりして、結構きっちりとした性格に描かれたでしょ? なのに、タンスの引き出しは整理整頓出来てないのは、おかし過ぎる。
そう言えば、5分頃の伊能の回想シーンでは、伊能と死に際の藤吉との絆の証でもある「業務提携契約書」が封筒にも入れられておらず、1枚ペラリと他の書類と一緒くたになっていた。伊能が “映画が原点” と言うなら、もっと大切に仕舞っておくよう演出するべきだったと思う。
で、整理整頓出来ない主人公と伊能が語るシーン。もう、二人をくっつけるならくっつければ良いのに…
あとがき
今回の伊能の退陣劇は完全に失敗でしたね。普通に伊能商会と北村笑店が藤吉の遺言と言うか生前の思いを実現する形で、主人公が指揮を執れば良かっただけですよね。どうせ、紆余曲折なんて本作には不釣り合いなのですから、“てんの閃き” でグイグイ物語をけん引させれば良いのです。なぜ、やらないのでしょう?
最後に。前回の感想に、55回もの Web拍手や多くのコメントを頂き、ありがとうございました。たった1週間で全社員から総スカン食らった映画事業のパートナーに出会うなんて伊能は考える人間だったのですね。母の志乃への態度でお子ちゃまなのは分かっていましたが…
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anan (アンアン)2018/01/31[選択の技術(テクニック)]
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/11123/
★「北村(藤岡)てん」のモデル「吉本せい」のについて書かれた本の感想
[読書] 笑いを愛した吉本せい - 吉本興業創業者の波乱万丈記 (洋泉社) 感想
[読書] 吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉 (坂本 優二/著・イースト・プレス) 感想
【これまでの感想】
●「わろてんか」なぜ視聴者を “場違いの笑いと置いてけぼり” を続けるのか?(2017/10/15)
第1週『わろたらアカン』
1 2 3 4 5 6
第2週『父の笑い』
7 8 9 10 11 12
第3週『一生笑わしたる』
13 14 15 16 17 18
第4週『始末屋のごりょんさん』
19 20 21 22 23 24
第5週『笑いを商売に』
25 26 27 28 29 30
第6週『ふたりの夢の寄席』
31 32 33 34 35 36
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
37 38 39 40 41 42
第8週『笑売の道』
43 44 45 46 47 48
第9週『女のかんにん袋』
49 50 51 52 53 54
第10週『笑いの神様』
55 56 57 58 59 60
第11週『われても末に』
61 62 63 64 65 66
第12週『お笑い大阪 春の陣』
67 68 69 70 71 72
第13週『エッサッサ乙女組』
73 74 75 76
第14週『みんなの夢』
77 78 79
第15週『泣いたらあかん』
80 81 82 83 84 85
第16週『笑いの新時代』
86 87 88 89 90 91
第17週『ずっと、わろてんか』
92 93 94 95 96 97
第18週『女興行師てん』
98 99 100 101 102 103
第19週『最高のコンビ』
104 105 106 107 108 109
第20週『ボンのご乱心』
110 111 112 113 114 115
第21週『ちっちゃな恋の物語』
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第22週『夢を継ぐ者』
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第23週『わろてんか隊がゆく』
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第24週『見果てぬ夢』
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