海月姫 (第9話・2018/3/12) 感想

フジテレビ系・月9『海月姫』(公式)
第9話『愛する人へ奇跡は俺たちが作る! 奪還大作戦』の感想。
なお、原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」所載)は既読で、2014年12月27日公開の監督・川村泰祐/主演・能年玲奈の映画『海月姫』は鑑賞済み(感想なし)。アニメは未見。
天水館を守るためカイ(賀来賢人)の元へ行った月海(芳根京子)。蔵之介(瀬戸康史)と修(工藤阿須加)が居場所を捜し始める中、ジジ(木南晴夏)は天水館からいずれ出て行かなければならないのなら一人一人が自立すべきだと言い、‘尼~ず’の面々は働くことを決意する。一方、蔵之介はカイの会社のモデルオーディションに参加。カイの滞在するホテルを突き止めるが、そんな蔵之介の前にカイの部下・ファヨン(伊藤ゆみ)が現れる。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:徳永友一(過去作/HOPE~期待ゼロの新入社員~、僕たちがやりました)
演出:石川淳一(過去作/リーガル・ハイ、リスクの神様、フラジャイル) 第1,2,5,8話
山内大典(過去作/キャリア~掟破りの警察署長~、櫻子さん…) 第3,4,7,9話
紙谷 楓(過去作/世にも奇妙な物語'17 春/秋の特別編) 第6話
第9話は、"尼~ず" の友情全開モードだ!
前回で、天水館を守るためカイ(賀来賢人)の元へ行った月海(芳根京子)。蔵之介(瀬戸康史)と修(工藤阿須加)が月海の居場所を捜し始めるが、ジジ(木南晴夏)のこんな台詞↓から第9話が動き出す。
ジジ「いずれ出ていかねばならまさぬなら
私たちが今やるべきことは
一人一人が自立することではないかと」
そして、“尼~ず ” の面々が個々に働き出す。それを知った蔵之介が月見を探さないことについて理由を問い質すと…
千絵子「私たちが一人一人 自立しいていないと
月海が無事に戻ってきたとき
安心して喜んでもらえないでしょ」
今度は、千絵子( 富山えり子)がこんな台詞↑で返す。いよいよ、“尼~ず ” の友情全開モードのスタートだ。
月見奪還作戦が大作戦になる様が、清々しい青春ドラマ!
そして、月見をカイの手から奪還する最後のチャンスが来た。月見が新発行のパスポートを受け取る機会を阻止するのだ。このくだりが実に良い。
“尼~ず ” を筆頭に蔵之介と修に加えて、運転手の花森(要潤)やデベロッパーの稲荷(泉里香)と佐々木(安井順平)まで一致団結して月見奪還作戦が大作戦へと規模を拡大して行く様子は、実に清々しい青春ドラマの様相だ。
ついに、鉄道オタクのばんばさんが覚醒した瞬間!
しかし、物語はドラマのように上手く行かずに、月見を見逃してしまい、月見は成田空港へ向かってしまった。でも、今度は如何にもドラマらしく、鉄道オタクのばんば(松井玲奈)がアフロヘアの前髪を上げて覚醒!
ばんば「JR新宿駅15番ホーム 山手線外回り14時発
池袋 上野方面の7号車に乗って日暮里へ向かえ
降りたら目の前にあるエスカレーターで上に行き
日暮里駅の広いコンコースを歩くと
正面に案内板が出てくる
左側が北改札 京成線の乗り換え口だ
最短3分で乗り換えれば14時25分発の
京成スカイライナーに乗ることができる」
ベタこそ王道! 友情と恋愛ドラマのバンスも絶妙!
既に足が疲れている太った千絵子が「一緒に行ったら 足引っ張っちゃう。先に行って!」と言うのも、ありがちな展開なのだが、この蔵之介一人を月見の許へ行かせるベタな展開が本作にはお似合いだ。タクシーを待つ蔵之介にもベタなアクシデント。いいんだよ、奇を衒わないベタなのが合ってるんだから。
●蔵之介が空港警備員に取り押さえられるスローモーションに…
●飛行機が飛び立つカットが無音でクロスして一旦フェードアウト…
●次は空港に到着する修の足元の画がカットイン…
ここの3カットの編集もベタなのだが、これで良い。
蔵之介「駄目だった。ごめん、みんな つなげてくれたのに」
落ち込む蔵之介と修の兄弟。そこに背後から少しエコーが掛かったこの台詞が近づく…
月海「蔵之介さん? 弟さん…?」
二人が振り返ると、大きな瞳を見開いた月見が立っている。実は離陸前の機内で、カイの秘書・ファヨン(伊藤ゆみ)からこう言われた↓と言うのだ。
ファヨン「あなたを必要としている人はたくさんいます
あなたは われわれに 消費される人間ではありません」
月見を抱きしめる修。涙を流す月見。無表情で棒立ちするだけの蔵之介。うん、きちんと恋愛ドラマ、それも三角関係も説明過多にならずに、映像だけでしっかりと魅せた。いいぞ、この友情ドラマと恋愛ドラマの演出的なバランスは。
千絵子のこの台詞に "尼~ず" の友情の絆が集約された!
無事に月見奪還大作戦が任務完了したすき焼き鍋パーティーでの、千絵子のこの台詞↓に “尼~ず” の友情の絆が集約された。
千絵子「月見がいない尼~ずなんて 尼~ずじゃないでしょ」
今回は劇伴の "神タイミング" が続出 ぜひ演出の勉強に!
そして、今回も主題歌が入る音量も何もかも “神タイミング” だった。それにしても、音量の調節が絶妙過ぎます。特に台詞の背後に流れる時の音量の抑え方が。これを聞く、いや見るだけでもドラマの演出の勉強になりますよ。その上、今回の主題歌のカットアウトのタイミングまで “神” だった。
そして、「さよなら… 尼~ず」と書かれたご託宣の紙1枚のあとの、劇伴も “神タイミング” だ。見応え十分の月9『海月姫』。視聴率が低いのが残念でならない…
あとがき
今回も、月見が蔵之介の気持ちに気付いているのか、いないのかが曖昧に描かれて、オジサンでも胸の奥がザワザワしたし、蔵之介が我慢に堪え切れずに爆発するのもスカッとしますね。また、月海と母、蔵ノ介と母、蔵ノ介と修の兄弟の「血のつながり」も本作の肝になっていて、親の目線でドラマが楽しめるようになっているのもポイントが高いです。
今の時代は中高年層に見て貰わないと視聴率が上がらないシステムになっているため(理由がいろいろある)、どうしてもテレビ番組全体が中高年の楽しめる傾向になっているのです。その意味で、本作はオジサンやオバサンが楽しめる内容になっているんですね。若者ウケは分かりませんが。
ついに、次回が最終回。このまま丁寧に描き切切って欲しいです。最後に。前回の感想に 91回もの Web拍手とたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。
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【これまでの感想】
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