アンナチュラル (第9話・2018/3/9) 最初から、かなり濃厚な感想

TBSテレビ系・金曜ドラマ『アンナチュラル』(公式)
第9話『敵の姿』、ラテ欄『連続殺人犯は近くにいた! 8年越しに掴む真実』の感想。
ミコト(石原さとみ)は火災が起きた雑居ビルの隣の空き家で見つかった他殺体を解剖する。口内には「赤い金魚」のような形の痕が残されていた。中堂(井浦新)の元恋人・夕希子(橋本真実)の遺体の口内にも同じ痕があり、UDIラボの面々は同一犯による連続殺人の可能性を疑うが、警察は取り合わない。一方、夕希子の事件を追っているというフリージャーナリスト・宍戸(北村有起哉)は、六郎(窪田正孝)に封筒を渡そうとしていて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:野木亜紀子(過去作/重版出来!、逃げるは恥だが役に立つ)
演出:塚原あゆ子(過去作/リバース、Nのために、夜行観覧車) 第1,2,4,5,8話
竹村謙太郎(過去作/警視庁ゼロ係シリーズ、火の粉、バイプレーヤーズ) 第3,6,9話
村尾嘉昭(過去作/リバース、ラブホの上野さん) 第7話
プロデュース:新井順子(過去作/リバース、Nのために、夜行観覧車)
音楽:得田真裕(過去作/家売るオンナ、嫌われる勇気、カンナさーん!)
まえがき
一部の読者の皆さん、たいへんお待たせしました。金曜日から怒涛の週末が終わり、リアルタイム視聴から2日近く経ちましたので、今回は熟成した濃厚版になっておりますので、録画でも観ながらじっくり読んで頂けると、より楽しめると思います。
前回で「社会派ドラマ」へ昇華した!
前回の第8話では、元消防士の息子が幼い頃に父親から教わったロープの結び方で、自分の居場所である雑居ビルの火災から自分の命と引き換えに客らを助けたと言う父と息子の絆の物語と、妻の死を受け入れられない老人の夫婦の絆の物語で…
父親と息子、夫婦、家族、仲間や同僚の「絆」と「家」が、丁寧に且つドラマチックに描かれ、「社会派ドラマ」へ昇華した本作。
アバンで、主人公がミコトであることを見事に描いた!
そして今回の第9話のアバンタイトルは、前回での雑居ビル火災事故の続きから始まり、その雑居ビルの隣の空き家から、口の中に「赤い金魚」の痕がついた若い女性の遺体が見つかるくだりへ。物語はスムーズ且つ予想通りに「赤い金魚のご遺体」へ異常な反応を示した中堂(井浦新)が解剖室へ走り込んで来るシーンに繋がる。
もう、「毎回書かなくてもいいよ」と思われるかも知れないが、今回のアバンタイトルが秀逸なのは、「赤い金魚のご遺体」の話になると中堂が前に出て来ても良さそうなのだが、本作の主人公はあくまでもミコト(石原さとみ)であることを見事に描いた点だ。
それを「第一執刀医」と言う立場で見せたのも良く出来ている。こんな当然なことも出来ないドラマが多いのだ。
コイントスの様に回るタイトル字と、コインが転がる音に洗脳される!
ところで、感想を冒頭のメインタイトルに一旦戻す。これまで書こう書こうと思って書かなかったことを書いておく。本作の所々にコインが転がるSE(効果音)が使われている(曲のあたまにも)のはご存知の通り。これ、メインタイトルの文字が、コイントスしたようにクルクル回る効果が使われているのと連携していると思われる。
恐らく、第1話でミコトが解剖を担当する順番決めにジャンケンやコイントスとすると言う台詞に基づいているのだろう。とにかく、本作が始まって以来、コインが転がる音がとても気になるようになってしまった。演出による洗脳にまんまと引っ掛かってしまった。
UDIラボへの警察の関与がきちんと描かれた!
主題歌明けも、恐ろしくテンポ良く物語が動く。警察は早々に「赤い金魚のご遺体」の身元を判明させ、 六郎(窪田正孝)は口の中に押し込まれたいたであろうモノが、動物用のオモチャのボールであることに辿り着く。ここまで僅か冒頭から5分半。
更に今回がこれまでで一番良かったこととして、UDIラボに解剖を依頼する西武蔵野署の刑事・毛利(大倉孝二 )と毛利の部下・向島(吉田ウーロン太)が初期捜査の段階からUDIラボのメンバーたちと協力して捜査をしていることが描かれた点を挙げなくてはならない。
実は今まで「依頼しっ放し」だったのが気になっていたのだ。まだまだ本作は進化し続ける…
屋外ランチのシーンが、新鮮に映った!
今回、私の目に新鮮に映ったのが序盤でのミコトらの屋外ランチのシーン。これまではオフィス内でわさわさと食事をするシーンが多かった本作だから。それに、意外とカット割りも細かい。冬の午後は刻々と日差しが変わるから、ざっ~と撮りたいところだろうが、そこを手抜きしなった。
お陰で、1秒にも満たない一瞬のブラックアウトが超効果的に働いた。だって、ミコトと六郎と東海林(市川実日子)をじっくりと描いたからこそ、次のシーンでいきなりカメラが捉えるのが視聴者の知らない女性が屋内にいるシーンなのだから。
だらだら取って普通に繋げたら、きっと新たな被害者が生まれてしまったショックは和らいだに違いない。そして、この屋外のシーンが、中盤のこのミコトの台詞↓にリンクする。お見事!
ミコト「殺害場所の違いではないでしょうか? 中と外」
今回の主題歌の使い方には「やられた!」の一言だ!
今回は意外なことが度々起こっている訳だが、その1つに主題歌のタイミングもあった。いつもは終盤のクライマックスに “神タイミング” で流れるのだが、今回は違った。
今回は、10年前に中堂と 中堂の元恋人・夕希子(橋本真実)の出会いから交際過程の中で、自分の夢であった一冊目の絵本が出版されたことを 夕希子が中堂に嬉しそうに話し出すカットから主題歌が流れた。
映像はその後、 夕希子が殺され死体解剖を中堂が執刀する場面に移り、解剖が終わり二度と喋ることのない恋人と解剖室で二人きりになった中堂が嗚咽する直前で終わる。そうだったのか。 米津玄師さんが歌う主題歌『Lemon』は、この時の “中堂系” の心情を歌ったものだったのだ。
更に、楽曲のサビで、中堂が夕希子の瞼を静かに閉じる動作とぴったりと合わせて編集するなど、いやぁ、この主題歌の使い方には「やられた!」の一言だ。
今回はこれまでの不満要素が次々と消されていく…
そして、このミコトの台詞↓から、ドラマは中堂と元恋人の物語から、UDIラボの「赤い金魚のご遺体事件」の捜査の物語へ一気に動き出す。
ミコト「私達は法医学者です。法で落とし前をつける」
ここから再びテンポアップ。笑いの小ネタも散りばめつつ、もう一方の 夕希子の事件を追っているというフリージャーナリスト・宍戸(北村有起哉)への不信感と疑惑を感じ始めた六郎の物語も動き出す。
更に ミコトの養母かつ実父の妹・夏代(薬師丸ひろ子)も絡んで来る。今回はこれまでの不満要素が次々と消されていく。実に素晴らしい。
これこそ "骨太の法医学ミステリー" だ!
ミコト「完全に盲点」
中 堂「クソッ 毎日見ていたせいで気づかなかった」
その後の展開に、私なんぞの解説は不要だろう。ご遺体の口の中の赤い金魚の痕、 宍戸が呟いていたアルファベット、赤い金魚の連続殺人事件の真犯人も前回で登場済みと言うこと、これら全てが謎解きや推理モノのお約束で、それらをしっかりと踏襲した。
その上で更に、 ホルマリン中毒と蟻酸と言う “法医学の盲点” と言う科学の面白さを盛り込んで来た。これこそ “骨太の法医学ミステリー” に仕上がったと言うしかない。
更に、"極上の人間臭いドラマ" にも仕上がってる!
また、視聴者1人1人が、合理的な思考回路と温かな心を持ったミコト、目的のためには手段を選ばない熱い男であり元恋人を忘れられない悲しい男の中堂、やっと自分の居場所や存在感を見つけた六郎などの各登場人物に感情移入し彼ら彼女らに寄り添って楽しむ “極上の人間臭いドラマ” にも仕上がっている。『アンナチュラル』恐るべし!
あとがき
連続殺人犯を裁けないー!?
ミコトが究極の選択を迫られる…
崩壊しゆくUDIの末路とは?
ついに中堂が一線を越える!?
ミコト「ごめんね。UDI潰しちゃうかも?」
※最終回の予告編より引用
予告編だけで、次回の最終回への期待の高まりが半端ありません。でも、それ以上に半端ないのは、本作が次回で終わってしまうこと。終わらないで欲しいと思いますが、終わるなら次に繋がるような展開で魅せて欲しいです。公式サイトによると、最終回は 10分枠大スペシャル だそうです。
最後に。前回 第8話の感想に 194回もの Web拍手やたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。前回の感想は翌日に投稿をするために、少々簡略化してしまいました。ですので、今回はじっくりと時間をかけて書きました。
さて、次回はいよいよ最終回。もちろん、当blogは、本作を最後の最後まで全力で応援します。感想は遅れると思いますが、必ず書きます。
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【これまでの感想】
第1話 第2話 第3話 第4話 第5話 第6話 第6話(濃厚版) 第7話 第8話
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