海月姫 (第7話・2018/2/26) 感想

フジテレビ系・月9『海月姫』(公式)
第7話『一発逆転!!謎の男の怪しい誘惑…君がほしい!?』の感想。
なお、原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」所載)は既読で、2014年12月27日公開の監督・川村泰祐/主演・能年玲奈の映画『海月姫』は鑑賞済み(感想なし)。アニメは未見。
修(工藤阿須加)から結婚前提に付き合いたいと手紙で告白された月海(芳根京子)は大混乱。一同も驚く中、オーナー・千世子(富山えり子)が天水館の売買契約のため帰国する。蔵之介(瀬戸康史)らは洋服販売で稼いで天水館を買い取りたいと訴えるが、相手にされない。ところが、肝心の権利証が見当たらず契約は延期に。実は千絵子(富山=2役)が権利証を隠したのだ。一同は、販促のための店を出して、一発逆転を狙おうとする。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:徳永友一(過去作/HOPE~期待ゼロの新入社員~、僕たちがやりました)
演出:石川淳一(過去作/リーガル・ハイ、リスクの神様、フラジャイル) 第1,2,5話
山内大典(過去作/キャリア~掟破りの警察署長~、櫻子さんの足…) 第3,4,7話
紙谷 楓(過去作/世にも奇妙な物語'17 春/秋の特別編) 第6話
"第7話から見始めても楽しめるアバン" は丁寧で良い!
蔵之介「あいつは 告白されたことさえ 半信半疑なんだから
いきなり プロポーズなんてされたら
キャパオーバーになるだけだって」
修「なんか この気持ち 抑えられなくて…」
冒頭の修(工藤阿須加)から告白された月海(芳根京子)が大混乱して、夜に蔵之介(瀬戸康史)に電話してきた時の、この蔵之介と修の会話の劇伴の入るタイミングに早速やられてしまった『海月姫』の第7話。
天水館にいる月海のブルーと鯉淵家のアンバー色の照明のコントラストが、3人の心情の違いを上手く表現。そして、切ない雰囲気を一気に翌朝のカットで切り替えて、 『ジェリーフィッシュ』の業務の話へ素早く転換。
冒頭の約3分でこのツカミ。本当に良く出来ている。だって、これだけ見ても、奇妙な三角関係と個性的なオタクたちのラブコメであることが予想できる。既に、第7話でも今回から見始めても十分な作り込みにしてあるのは、丁寧で良いと言うしかない。
漫画とも映画とも全く違う "面白さ" がある本作!
その後は、一致団結してカジュアルラインのドレス作りで売上げアップを狙う作戦をする事に決定。
月海(M)「お母さん 天水館の運命を懸けた戦いが
今… 始まろうとしています!」
月海のモノローグのシーンも、きちんと敵陣のカットを入れてあった。これも初見では何者かは分からずとも、月海たちの敵であることは明瞭。メインタイトルまで約10分間の長尺のアバンタイトルだったが、これだけで、漫画とも映画とも全く違う面白さがある本作。久々の “月9” のヒット作であるのは間違いない。
山内大典氏の演出が、キレッキレでメリハリも十分!
それにしても、 山内大典氏に何があったのだろう。いや、第3,4話と今回の演出を担当した山内氏だ。これまでの2話分よりも明らかに演出がキレッキレでメリハリも十分。コミカルとシリアスの切り替えだけでなく、コミカルの中にもシリアスの中にもそれぞれにグラデーションがあってとても見ていて飽きが来ない。
その上、例えば月光仮面に成り済ました鰐淵家の運転手・花森(要潤)のカメラ目線のニッコリ笑顔のカットのタイミングも要潤さんの演技もお見事。“尼~ず” が月海と修の婚姻届けを先走るくだりでも、劇伴の他に細かな効果音を足して面白味を追加。こう言う演出を見ているだけで嬉しくなる。
今回の主題歌は、意表を突いた "神タイミング" だ!
さて、既に『アンナチュラル』と『家族の旅路 家族を殺された男と殺した男』とこの本作が、今期の連ドラで主題歌の入るタイミングや音量のベスト3であることは幾度も書いた。今回もそれを期待して観ていたら…
19分過ぎに突然 Beverlyが歌う『A New Day』が、月海が修の気持ちを受け入れたと蔵之介に告げた瞬間から流れ始めた。とても小さな音で慎重に…。
月海「不思議なんです この感覚
心の臓が 激しく脈を打ち
心筋が引きつるような痛みを伴い…
なのに なぜか 不思議と つらくないんです
むしろ この痛みが 心地いいんです
このまま死んじゃってもいいくらいに」
まるで、月海と蔵之介の複雑な関係や心情をフォローしつつ、微妙に音量に変化を付けて、今後の展開への期待感を高めた。いいね、この場面での主題歌の使い方も。
蔵子と翔子が後退し、月海が前面に押し出て大正解!
これまでも十分に良く出来たドラマだった。しかし、ほんのちょっぴり “ラブコメ風味” が物足りなかった。その理由はただ1つ、コメディーは描かれていても、肝心の “恋バナ” が中途半端だったから。それは、必要以上にデベロッパーの稲荷翔子(泉里香)を出し過ぎていたのが原因。
しかし、今回は修の告白を受けた月海の心情の変化を丁寧に描きつつ、蔵之介と言うか蔵子まで若干後退させて、月海を思い切り前面に押し出した。お蔭で、ついに主人公・月海の新しい自分や生き方を見つけていく姿が丁寧に且つ楽しく描かれ、見事な “ラブコメ” に仕上がった。この調子で最終回まで進んで欲しい。
あとがき
ついに、アパレル業界のやり手実業家として名を馳せている “カイ・フィッシュ ” 役で賀来賢人さんが登場。これで、益々今後が楽しみですね。それにしも、本文で書いた通りに、漸く主人公の月海がメインに躍り出た感じです。だからと言って、“尼~ず” の個性も薄まらず、全ての登場人物たちが際立っているのが良いですね。
それと、芳根京子さん始めとする俳優さんたちも演技が上手、なんて表現では言い表せない見事っぷり。特に芳根京子さんは完全に吹っ切って月海を演じてくれているのが、気持ちいいです。いよいよドラマも終盤になりますが、低視聴率は無視して、この秀作ラブコメを楽しみましょう。
最後に。前回の感想に 76回もの Web拍手とたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。1人でも多くの人に見て欲しい作品です…
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