海月姫 (第6話・2018/2/19) 感想

フジテレビ系・月9『海月姫』(公式)
第6話『第二章突入尼~ず解散危機!愛と勇気の闘争』の感想。
なお、原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」所載)は既読で、2014年12月27日公開の監督・川村泰祐/主演・能年玲奈の映画『海月姫』は鑑賞済み(感想なし)。アニメは未見。
蔵之介(瀬戸康史)が女装姿で再開発反対を訴えたことでマスコミが騒ぐ中、蔵之介は注目を利用して、クラゲのドレスを売り込む。一方、月海(芳根京子)は修(工藤阿須加)から、蔵之介には内緒でドレスを1着注文したいと頼まれる。ドレスの注文が次々入り、奔走する月海ら‘尼~ず’。だが、稲荷(泉里香)には頑張っても意味はないと言われ、蔵之介が連れてきた縫製会社の女性・ニーシャからも駄目出しを受け、落ち込んでしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:徳永友一(過去作/HOPE~期待ゼロの新入社員~、僕たちがやりました)
演出:石川淳一(過去作/リーガル・ハイ、リスクの神様、フラジャイル) 第1,2,5話
山内大典(過去作/キャリア~掟破りの警察署長~、櫻子さんの足…) 第3,4話
紙谷 楓(過去作/世にも奇妙な物語'17 春/秋の特別編) 第6話
本作初担当の演出家に交代し、全体の切れ味が乏しく…
アバンタイトルの月海(芳根京子)のテンションの表現が、これまでの5話分と違うから、演出家が交代したかと推測したら、予想通りに本作初担当の紙谷楓氏になっていた。そのためか、これまでで最も全体的に演出的な切れ味が乏しく、中途半端な印象は否めなかった。
今回位のメリハリのさじ加減の方が、好きな人が多いかも?
しかし、第5話を観直してみると意外なことが分かった、それは、これまでの演出家がメリハリを重視した演出だったのに対して、今回はメリハリを若干抑えて、オタク度を下げることで、誰でも楽しめる「ギャグ満載の新感覚シンデレラ・コメディー」に近づけた印象だ。
また、書いておかなければいけないのは、今期の連ドラの中ではトップクラスに、演出家毎の品質の差が少なく、「脚本・俳(女)優・演出の三位一体」が及ぼす面白さが怯んではいないことは確かだ。もしかすると、実は今回位のメリハリのさじ加減の方が、好きな人が多いかも知れない…
脚本と俳優陣のお蔭で、キャラたちがイキイキ生きてる!
演出家交代の分を差し引いて録画を見直すと、改めて相変わらず脚本と俳優とキャラクターたちが良く出来ていること、いや前回以上にキャラが研ぎ澄まされて、劇中でイキイキと生きているのが伝わって来る。
月海(M)「どうしたでしょうか?
前の静かな暮らしに戻りたいとは
思わないみたいです」
アバンタイトルでのこの月海のモノローグ↑なんて、正に月海たちがテレビの中で生きている証拠。こう言う台詞が書ける脚本家の徳永友一氏がブレない限り、右上がりに良くなることは間違いない。
江口のりこさんの巧みに関西弁を操る演技も良かった!
さて、前回はゲスト女優の安達祐実さん演じる「人形専門のドレス職人・ノムさん」 が凄かった。安達祐実さんの個性的な声と年齢不詳のルックスが本作の世界観にピッタリで、途中参加でも一切の不自然さが無かった。
そして今回は、MISIAじゃないから歌が下手な「インドの縫製会社のニーシャ」役で江口のりこさんが登場。配役も見事だし、巧みに関西弁を操る演技力も素晴らしかった。
見れば見る程、月海を応援したくなる!
さて、物語は30分頃に、ニーシャの経営方針に影響を受けた蔵之介(瀬戸康史)が、以前と違う作戦で仕切り直そうとすることに、月海以外の「尼~ず」が動揺して反抗する。
月海を励ますために久し振りに「尼~ず鍋」を作った千絵子(富山えり子)たちだが、服飾デザイナーと言う仕事(役割)に水を得た魚、いや水を得たクラゲのようにフワフワと楽しそうにする月海との温度差を感じ、天水館から逃げてしまう。この辺の人間の尊厳の描き方には、毎度頭が下がる。
まやや「服を作って 楽しいのは
月海と お前だけだ」
ばんば「どうせ 作ったって
自分らが着れる服なんてないしな」
まるで子供のように無邪気に公園のタコの山で遊ぶまややとばんば。彼女たちに一言も反論できない月海と蔵之介。「尼~ず」を空中分解させてしまったことで自暴自棄になる月海。幼い頃から “夢中になると一人ぼっちになる ” のを思い出す。いいね、月海。ついつい応援したくなる。
これ位の情緒あるカットが点在すると、ドラマの格が一段上がる
月海(M)「勝手に盛り上がって 誰もいない
振り向いても 誰も…」
そんな月海の背後から肩を叩く男性、それが修(工藤阿須加)。脚本も演出も上手いね。ちゃんと蔵之介と修の使い分けが出来ているし、男2人の月海や天水館への気持ちの違いもしっかりと活かされている。
特に女装男子の時の蔵之介が指に針を刺してしまうカットや、こたつ布団をギュッと握り締める月海の手のアップ、夜の公園で遠くにいるまややとばんばの頭がタコの山から逆光で見えるカットなんて、本当に泣けてくる。やはり、これ位の情緒あるカットが点在すると、ドラマの格が一段上がる。
後は、ラブコメのエッセンスを上手に加えれば、月9王道のラブコメに
物語はこのままどんどん切なくしんみりと進んで行くと思いきや、37分過ぎに突然の「デモ決行」で急展開。「コスプレ=わしらの鎧」と言うのもいいよね。もはや、「ファッションと自己表現の関係性」についてまで言及しちゃってる。これ本当にスゴイよ。
コスプレした僅か7人のデモ隊と唯一の味方の修で、カタルシス(心の中に溜まっていた澱(おり)のような感情が解放され、気持ちが浄化されること)まで描いちゃった。恐るべし月9版の『海月姫』。あとは、ラブコメのエッセンスを上手に加えれば、完璧な月9王道のラブコメになること間違いない!
あとがき
ついに、芳根京子さんが最高のハマり役を手に入れつつあるように思います。そして、今回もラストの主題歌の入りのタイミングと音量が絶妙過ぎます!グッと来るし、あと味も良いし。予告編を見る限り、いよいよ第二章が更に盛り上がる予感。次回にも大いに期待します。
前回の感想に、82回もの Web拍手と多くのコメントを頂き、ありがとうございました。みんな、こう言う月9を待っていたんですね。そして、芳根京子さんのハマり役も。次回も楽しみです。
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