海月姫 (第5話/15分拡大SP・2018/2/12) 感想

フジテレビ系・月9『海月姫』(公式)
第5話/15分拡大スペシャル『一攫千金!ショータイムにかけた仲間の想いをつなげ!運命の決断』の感想。
なお、原作:東村アキコ「海月姫」(講談社「Kiss」所載)は既読で、2014年12月27日公開の監督・川村泰祐/主演・能年玲奈の映画『海月姫』は鑑賞済み(感想なし)。アニメは未見。
稲荷(泉里香)は、千絵子(富山えり子)の母で天水館の所有者・千世子(富山=2役)と買収の交渉をすべく韓国へ。それを知り絶望する月海(芳根京子)たち。慶一郎(北大路欣也)が今度のパーティーで再開発賛成を表明すると知った蔵之介(瀬戸康史)も焦り、パーティー当日にドレスのショーを開こうと月海らに提案。天水館を守るためこの案に乗った一同は、人形専門のドレス職人・ノムさん(安達祐実)を助っ人に、ドレス作りに励む。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
脚本:徳永友一(過去作/HOPE~期待ゼロの新入社員~、僕たちがやりました)
演出:石川淳一(過去作/リーガル・ハイ、リスクの神様、フラジャイル) 第1,2,5話
山内大典(過去作/キャリア~掟破りの警察署長~、櫻子さんの足…) 第3,4話
強気の "15分拡大"も「第一章閉幕」らしい見応えアリ!
さて、最近、話題性と視聴率が低迷する作品が続く『月9』。本作も例に漏れず、 第1話が 8.6%の低視聴率でスタートして第3話で 5.9%まで落ち込んだが、当blogのプッシュもあり? 第4話で 7.5%に右上がり。そして、何と第5話は強気の15分拡大スペシャルで放送。
連ドラ不調のフジテレビ編成部にしては、かなり強引な「15分拡大」だが、『平昌五輪2018』や他局の大型スペシャル番組の強さを考えると、この位の大きな花火を打ち上げたのは良いこと。実際、ストーリーも「第一章閉幕」に相応しい内容で、見応えアリ。フジテレビもやれば出来るじゃないか!
主人公を "主人公らしく魅せる閃きの使い方" が秀逸!
本作感想欄に書くことではないが、月海(芳根京子)がファッションショーの会場を天水館で開催することを、ふと閃くシーンがあった。一見何でもないようなシーンだか、こう言う “閃き” が主人公を “主人公らしく” 魅せる。
それをきちんと弁えて出来ているのが本作。全く出来ていないのが、放送中の朝ドラ『わろてんか』。そもそも、過程こそ丁寧に描くのを実行している本作と、全くやる気すら感じないあちらと、比べること自体本作に失礼だが、本作の秀逸さを表現するためにも書いてみた。
ファッション&オタクで、人の尊厳を描くギャグ満載のシンデレラ・ラブコメ!
さて、本編の感想。既に本作の構成の見事さや、 本作がファッションと言う文化とオタクと言う人間性を融合させて、しっかりと人の尊厳まで描くギャグ満載のシンデレラ・ラブコメディーとして秀逸であることは、たくさん書いてきたから、今さら付け加えることも無いのだが…
「起承転結」の「転」から始まる人間ドラマがお見事!
前回では 38分頃の感動的な “月海の裁ちバサミに洋服の神様が降臨するシーン ” から「起承転結」の「転」が始まり、見事な人間ドラマを魅せてくれた。
そして、今回は46分頃のショーが進んでまやや(内田理央)の出番があと1回に迫った際、まややが低血糖防止のために飲み始めた「とれたて果実 まるごとぶどうジュース」 をドレスにこぼしてしまうハプニングをきっかけに「転」が始まる。人見知りの月海が勇気を振り絞ってご近所さんにドライヤーを借りに行く場面がそれだ。
決して順風満帆にショーまでの下準備が進んで来た訳ではないが、“尼~ず” の幸運と前述の “月海の閃き” でトントン拍子に進むストーリーに、毎回きちんと全体の7割程度進んだ時点で一度急ブレーキをかけて、ドラマチックなくだりを作っているのが素晴らしい。
安達祐実さんの声と年齢不詳のルックスが世界観にピッタリ!
ところで、今回は “尼~ず” の助っ人として、安達祐実さん演じる人形専門のドレス職人・ノムさんが加わった。安達祐実さんの個性的な声と年齢不詳のルックスが本作の世界観にピッタリ。超個性派集団の中への途中参加でも一切の不自然さ無し。むしろ、ど嵌まり。芳根京子さんも弾け甲斐があるに違いない。
蔵之介が月海にこの台詞を言った場面からアクセル全開!
そして、物語は蔵之介(瀬戸康史)が天水館に戻って来るところから、徐々に加速し始めて、56分頃にステージ上から蔵之介が月海にこの台詞↓を言った場面からアクセル全開だ。
蔵之介 「俺を見ろ」
「兄さんが政治家に向いている」の回収も上手過ぎ!
本当に脚本の構成、演出や編集が見事だ。蔵之介の台詞で一気に進めず、一旦は月海の亡き母へのモノローグで、蔵之介はあくまでも “天水館の救世主” であると描いておいて、蔵之介の "女装趣味のカミングアウト" の時間軸を交錯させ、さり気無く入れて瀬戸康史さんの女装と男装の魅力を描く。
恋バナを一時停止させておいて、蔵子が天水館をアトリエであるとし、本館の重要性を観客らに訴える場面は、蔵之介の弟・ 修(工藤阿須加)が言う「自分より兄さんの方が政治家に向いている」を、誰よりも早く蔵之介に拍手をした修の姿で証明した。このフラグの回収方法は本当に上手過ぎる。
ラストの主題歌の入りのタイミングと音量が絶妙!
なぜ、今期はラストの主題歌の入りのタイミングと音量が絶妙な連ドラが多いのだろう。『アンナチュラル』、『家族の旅路 家族を殺された男と殺した男』に続いて本作もか!ショーが無事終わり、蔵之介の「あっと言う間だったな」の台詞の後の僅かな無音を挟んで、ごく小さな音量で主題歌がスタート。
その後も音楽は聞こえるか聞こえないか程度の音量で、月海と蔵之介の “募る不安” を静かに応援するように流れ、キスシーンで一気にヴォリュームアップ。王道の演出だが、ここまでイントロを小さくし続けた編集は我慢と自信がないと出来ないはず。前回の主題歌のタイミングはNGだったのに。どうやら、フジテレビのドラマもまだまだ捨てたものじゃないぞ!
あとがき
俳優・女優陣と役柄の相性が絶妙ですね。第1話の頃は、芳根京子さんの弾けっぷりが目を引きましたが、今や新キャラ含めて全員のキャラが立ち、魅力ある登場人物ばかりになっているのも楽しいです。今回は「俺を見ろ」からラストまでが、“これぞ月9の王道ラブストーリー” に仕上がって良かったです。次回からの「第二章」にも大いに期待します。
※前回の感想に、42回もの Web拍手やたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。
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