映画「スリー・ビルボード(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし

映画「スリー・ビルボード(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし
映画 『スリー・ビルボード(日本語字幕版)』公式)を本日、劇場鑑賞。採点は、★★★★(最高5つ星で、4つ)。100点満点なら80点にします。

私の評価基準(映画用)


ディレクター目線のざっくりストーリー

ミズーリ州の田舎町で、数か月前に何者かに娘を殺された女性ミルドレッドは、犯人は捕まらず警察の捜査も一向に進展しないことに腹を立て、さびれた道路に3枚の看板に、警察署長ウィロビーへの非難の言葉を書いて、ケンカを売った。

署長を敬愛する警官ディクソンに脅され、町の人たちに抗議され、一人息子からも反発されるが、ミルドレッドは怯むことなく、むしろ益々過激な行動に出る。どんどん孤立するミルドレッド。しかし、事態は思わぬ方向に回り出す…

※本年度アカデミー賞(R) 6部門ノミネート
   作品賞、主演女優賞、助演男優賞、脚本賞、作曲賞、編集賞

全員が善悪で区別不能だから、先は読めず裏切られる!

10代の娘を残忍なレイプ殺人で失った母親が決死に犯人逮捕を望んで、過激な行動に出るのが物語の「起」だが、お蔭で真犯人が逮捕されましたと言う「結」になるような、単純なサスペンスでない。

とにかく、残忍で無念な悲劇から始まったストーリーは、数々のブラックユーモアと衝撃的な瞬間を「承」として 描きながら、怪奇な偶然と奇妙な紆余曲折な「転」を通過する。

しかし、主軸になる登場人物らが善悪では区別不可能な特殊な人格ばかりで、先は読めないし、裏切られるし…の連続で、目が離せないし、目も耳もスクリーンから離している暇などない。

実は、この程度の事前情報までにしておいて、ここから下↓は読まずに「続きは劇場で」と言いたい作品なのだ。しかし、観終えた人もいるだろうから、私なりの感想を続けてみる…

立場も思考も全く違う3人が、奇怪な絆で結ばれていく…

何せ、看板広告を出した母親ミルドレッドは見るからに悪態ばかりで、違法な行動を繰り返す変人。名指しで警察署長ウィロビー保安官は真面目で知的で温和で、犯人逮捕に至ってはいないが真摯に捜査を続け、住民からも慕われている。

一方、ウィロビーを敬愛するディクソン巡査は、差別主義者で暴力的で悪名高くマザコンの人でなしだから、コイツが!? と思ってしまうが、本作の「承転結」はそう簡単で無い。

立場も考え方も全く違う3人の「残忍な事件への憎悪」と「自分の家族に対する愛情」が数奇な運命と言いたくなるような過程を経て、見えない奇怪な絆で結ばれていく過程は、現実的な設定とミステリアスな設定の絶妙なバランスの脚本はお見事。また、感想を書く立場としては、切り口が幾つもある懐の深い濃厚な脚本なのも見逃せない。

力技と知的さが巧みな演出と、俳優陣の演技も秀逸!

また、台詞や映像での初期設定を出来る限り削除して、簡単に収拾がつかない群像劇の舞台を構築し、観客を半ば無責任に放り込んで「さあ。どうする!?」みたいな力技と知的さを兼ね備えた巧みな演出も素晴らしい。もちろん、俳優陣の卓越した演技力や存在感は言うまでもない。

あとがき

残忍で無念な悲劇から始まったストーリーは、数々のブラックユーモアと衝撃的な瞬間を「承」として描きながら、怪奇な偶然と奇妙な紆余曲折な「転」を通過しますが、先は読めないし、裏切られるし…の連続です。果たして、憎悪の連鎖は断ち切られるのか? 緊張と緩和の複雑に絡み合ったラストシーンが醸し出す余韻に、何とも言えない味わいがある作品です。

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