映画「デトロイト(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし


ディレクター目線のざっくりストーリー
1967年7月。アメリカ・ミシガン州デトロイトで大規模な暴動が勃発する。暴動発生から3日目の夜、ミシガン州の州兵集結地付近で銃声の通報があり、デトロイト警察、ミシガン州警察、ミシガン陸軍州兵、地元警備隊らは、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルの別館へ大勢で乗り込む。
そこで、黒人差別主義者の白人警察官クラウスら数名のデトロイト警察官が捜査手順を無視して、偶然モーテルに居合わせた若者たちに、不当で暴力的な強制尋問が始まり、それはやがて警官たちにとっての “死と恐怖のゲーム” となり、惨劇が惨劇を生んでいく…
最大の見所は、約40分間に亘る羨望の暴行と尋問シーン!
5日間に亘るアメリカ史上最大級の暴動「デトロイト暴動」の内、3日目の夜に発生した “アルジェ・モーテル事件” に特化して描かれた戦慄の実録サスペンス映画。最大の見所(と言うべきか)は、約40分間に亘る羨望の暴行と尋問シーンだ。
映画『ゼロ・ダーク・サーティ』での強烈な拷問シーンが物議を醸したビグロー監督ならではの臨場感溢れる映像が、観客自身をスクリーンの中の惨劇の渦に引き摺り込み、劇中の彼らと同じ体験をさせる。
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極限状態では、誰の身にも起こる可能性がある恐怖!
そして、本作が更に恐ろしいのは、上映時間 143分の大半を要して描かれる、人間が極限状態の中で感情や判断力を失う心理や、自分の身を守るために悪事にも手を染める可能性、他人を攻撃することで我が身を優位に立ったり快感を得る愚行が、実は誰の身にも、もちろん私にも起こる可能性があると言う恐怖だ。
差別主義の白人警官の手口と裁判の行方に怒りしかない!
物語は、宿泊客の1人でR&B/ソウル ボーカルグループ「ザ・ドラマティックス」のリードシンガーのラリー、白人警察官警官クラウス、民間警備員ディスミュークスの3人の視点で描かれるが、差別主義者の白人警官のやり口と事件後の裁判の経過には制止できないほどの怒りに駆られる。
デトロイトでのショービジネス、黒人の音楽への熱いソウルも描かれる!
また、デトロイトは、世界中で知られるソウルミュージックのレーベル「モータウン」発祥の地であり、ラリーの視点から、デトロイトでのショービジネスの側面が描かれると共に、彼を通して黒人のソウルミュージックへの様々な思いが描かれる点では、ザ・ドラマティックスの歌も収録されたサントラ盤も興味深い。
あとがき
実話ベースとは言え映画の中の出来事と高を括っていると、一気にスクリーンの中の惨劇の渦に引き摺り込まれ、劇中の人種差別を受ける彼らと同じ体験をさせられるます。
しかし、本作が訴えるのは、本当に怖いのは、人種差別と言う枠を超えて、極限状態の中で感情や判断力を失う心理や、保身のため悪事に手を染める可能性、他人を攻撃し我が身を優位に立たせたり快感を得る愚行が、実は誰の身にも起こる可能性があると言う恐怖です。世界から人種差別が無くなることを願いつつ、観て欲しい作品です…
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