わろてんか (第90回・1/19) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第16週『笑いの新時代』
『第90回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
ラジオ放送の当日、風太(濱田岳)はラジオ局前で団吾(波岡一喜)を捕まえようと社員たちに見張らせる。てん(葵わかな)は息子の隼也(大八木凱斗)が、ゆくゆくは藤吉(松坂桃李)の跡を継いで北村笑店で働きたいと言うのを聞いて、うれしい気持ちで一杯になる。放送直前になっても団吾はラジオ局に現れず、風太の出演阻止が成功したとおトキ(徳永えり)たちも安堵(ど)するが、このあとにとんでもないことが起きるのだった。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
一瞬で「今回こそ!」の期待感をしぼめせたアバン…
アバンタイトルにする意味って何だろう?前回を見逃した人のための復習や、前回を受けての今回の展開への期待感を高めるために、敢えてアバンタイトルにするのだと思うのだが、今回のアバンと来たら主人公の兄か親戚のおじさんにしか見えない男が、「お父ちゃん」と言った違和感だけ。「今回こそ!」の気持ちがしぼんだ瞬間だ。
今回は、何かと "一言多い" のが玉に瑕…
主題歌明け。藤吉の病室に見舞いに来た万丈目夫婦が、東京で芸の勉強をしたとして新しく書いた万歳のネタ帳を藤吉と主人公に見せるシーン。低姿勢で藤吉社長に自身の “変化” や “成長” を見て貰いたいと言う万丈目の芸人人生にとって大切なシーンだと思うのだが、ここでネタ帳を覗き込んだ主人公がこんなこと↓を言う。
てん「あっ こない ぎょうさん書かはったん? すごいなぁ」
この台詞のあとに、藤吉が万丈目を褒めて万丈目夫婦も照れ笑い。その後に、主人公が「すごいなぁ。新しい事しよ思うやなんて」と続く。ちょっとしたことなのだが、1行目の台詞さえ無かったらと思う。だって、このシーンで重要なのは、万丈目がネタをたくさん作ったことでなく、新しい万歳をしようとする行動力。
アバンでの隼也の台詞にしても、この主人公の台詞にしても “一言多い” の。たった、1行の台詞が無いだけで全然印象が違うし、これでも好意的に脳内補完しようとしている身としては、本当に邪魔な台詞でしかない。脚本家さん、“死んだ気ぃ” で、この癖を治すべき。藤吉の台詞を借りれば、これから本作の正念場でもあるのだから…
月曜日に描かれた風太と藤吉の対立さえ無かったら…
6分頃からの風太が藤吉の病室を訪れるシーンだけを見たら、意外と良いのだ。ラヂオの時代の到来で、北村笑店を支える2人が北村笑店の正念場をどう乗り越えるか話し合う。まるで、朝ドラみたい(苦笑) でも、ここでも先述の “一言多い” が首をもたげる。それは、月曜日に描かれた風太と藤吉の対立だ。
風太は「これからの寄席は万歳の時代」と言い、藤吉は「寄席には落語」と言い争ったくだりだ。あれさえ無ければ。
先日も書いたが、好意的に脳内補完したら、藤吉の意見に風太が従ったと捉えることも出来るが、あの台詞と演出からは、風太が寄席に客を集めることばかり考えて、藤吉の「新しい時代」を聞いていなかったように見えた。やはり、演出家さえも思い付きで毎回の演出をしているように見えてしまう。本当、残念でならない。
ちょっと台詞を精査すれば、朝ドラみたいになったのに…
8分過ぎに、隼也が主人公と一緒に藤吉の病室にやって来る。このシーンも “一言多い” のだ。いや、二言か? 隼也が父親への反抗の理由を考え直して、父親の跡を継いで父親を超えることが今の自分にとっての冒険だと気付く。ここも、まるで朝ドラみたいなのだ。しかし、隼也の台詞が、藤吉の台詞がおかしい。
隼也「まずは 勉強して 大学行こう思うねん」
藤吉「分かった。そやけど なまはんかな仕事ちゃうで」
これ、いくら好意的に脳内補完しても、隼也の冒険の目的が「大学進学」になって、それを藤吉が了承したこととしか思えない。それで良いのだろうか? ここは「大学に行って専門的なことを学んでこよう思うねん」でないの? そして、「大学で学べるような なまはんかな仕事ちゃうで」では?
あとがき
ついに金曜日になっても、今週は主人公の存在感はほぼゼロ。藤吉も病気で台詞が聞き取り難いし。でもね。何を描いたいのか、どんな方向に話を持って行きたいのかも、何となく分かります。だけど、台詞の稚拙さや演出の統一性の無さが目立ち過ぎて、違和感しか無いのです。今週はそればかり。何か、何かなぁ…
最後に。前回の感想に 70回ものWeb拍手やたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。月曜日の藤吉と風太の対立さえ無かったら、意外と朝ドラチックだったのに。それに、隼也のくだりはもう少し全体の流れに馴染んで描いてくれたら良いのにと思います。撮影前にもうちょっと吟味、検討するだけで変わると思いますよ。
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★「北村(藤岡)てん」のモデル「吉本せい」のについて書かれた本の感想
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[読書] 吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉 (坂本 優二/著・イースト・プレス) 感想
【これまでの感想】
●「わろてんか」なぜ視聴者を “場違いの笑いと置いてけぼり” を続けるのか?(2017/10/15)
第1週『わろたらアカン』
1 2 3 4 5 6
第2週『父の笑い』
7 8 9 10 11 12
第3週『一生笑わしたる』
13 14 15 16 17 18
第4週『始末屋のごりょんさん』
19 20 21 22 23 24
第5週『笑いを商売に』
25 26 27 28 29 30
第6週『ふたりの夢の寄席』
31 32 33 34 35 36
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
37 38 39 40 41 42
第8週『笑売の道』
43 44 45 46 47 48
第9週『女のかんにん袋』
49 50 51 52 53 54
第10週『笑いの神様』
55 56 57 58 59 60
第11週『われても末に』
61 62 63 64 65 66
第12週『お笑い大阪 春の陣』
67 68 69 70 71 72
第13週『エッサッサ乙女組』
73 74 75 76
第14週『みんなの夢』
77 78 79
第15週『泣いたらあかん』
80 81 82 83 84 85
第16週『笑いの新時代』
86 87 88 89
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