わろてんか (第83回・1/11) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第15週『泣いたらあかん』
『第83回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は、記憶喪失の志乃(銀粉蝶)が伊能(高橋一生)の実の母だと知って何とか仲を取り持とうとするがうまくいかない。そんな時、伊能が関東大震災の被災者に救援物資を送るのは、売名のためだと書き立てるゴシップ記事がたくさん出る。志乃は伊能のことが心配になり、手作り弁当を持って伊能の会社を訪ねる。そこへ新聞記者たちが押し寄せ、騒ぎに巻き込まれた志乃が倒れて床で頭を打ってしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
急激な "まともなエピソード不足" が更に深刻化してる!
前回の感想の「あとがき」で “やはり本作の鬼門は水曜と木曜日。要はエピソード不足が露呈する2日間。ここが何とか出来ない限りダメ” と書いたのだが、補足すると…。以前にも書いたが、史実自体が大してドラマチックでないの。だから、想像以上に “盛らないと” ドラマとして成立しないモデルを選んだことが失敗のもと。
おっと失敗と言ってしまったが、「失敗は成功のもと」と言う諺を信じて続けてみる。だから、脚本家はあの手この手でエピソードを急ごしらえしているわけ。それも、大人の事情も踏まえてだから、そう簡単なことでない。だから正確に言えば “まともなエピソード不足” と言うことになる。それが今日の木曜日でも明らかになった…
細かい部分へツッコミを入れたらキリがない!
細かい部分へツッコミを入れたい気持ちはある。志乃への演技指導のやり過ぎ感とか図々しい設定。無断でズカズカ入って来る新聞記者。日本髪の上からほんわり巻いた包帯などなど挙げたらキリがない。しかし、私にとって本作は “今週をハズしたら完全に再起の道は閉ざされる” 状態だから、もっと大局的、根本的に考えてみる。
先週から数えると "4組の母子" を重ねている可能性も?
前回と今回、いや先週の「安木節乙女組」からおかしなことになっている原因が、私にはこの↓3つの台詞に見えて来た。
藤吉「ホンマの親子やろ」
志乃「おふくろの味だからね」
てん「伊能さんが面倒見てあげはった方が
よろしいんとちゃいますやろか」
それぞれどの場面での台詞かはお分かりだろう。結婚しようとする娘を両親から引き離して駆け落ちした藤吉が、まだ伊能が実の息子と知らない志乃が、実の親より藤吉を選んだ主人公が、それぞれ「家族」「親子」「母子」をイメージ(一部、直接言っているが)させる台詞を、脚本家にわざわざ言わされている。
これ、好意的に脚本家の意図を汲めば、「志乃と伊能」と「志乃とキース」の “2組の母子” を重ねているのだ。もちろん、冷静に見れば全く重なって見えないのだが。そして、もっと好意的になれば、先述の「てんと乙女組」と「てんと隼也」の “更に2組の母子” も強引に重ねている可能性もある。もちろん、重なって見えなくて当然だが。
"盛り過ぎ" が原因で "まともなエピソード不足" の事態に!
本作の問題は、ここ↑にあると思う。史実のエピソード不足を解消するために、あれこれ登場人物にまるで後付けのように設定を付け加えて “盛り過ぎ” た。そのお蔭で時間経過も不明瞭にはなるし、登場人物たちの魅力も削がれ、結果的に “まともなエピソードが不足”する事態に陥っている。
僅かな演出で脚本を助けられるのにそれすら出来ていない
更に深刻なのは、水曜日と木曜日に主人公の存在感がほぼ無くなっていること。前々回の感想で私が書いた「私のおススメの1週間のルーティーン」に近づけば…と期待したのだが、今回のラストカットが “あれこれ一応悩んで主人公の閃く顔のアップ” でなく、志乃のアップだった。これが本作の演出のダメなとこ。
折角、志乃の横顔のアップの直前に主人公のアップがあるのに…だ。手元に録画があるなら、下記↓の主人公のアップの台詞の「思い出さはった」の直前で、3秒間だけ一時停止してみて欲しい。
てん「みな 思い出さはったんですか?」
音を消した方が分かり易いが、明らかに次回の金曜日に主人公が何らかの解決策なり和解策を出すように感じると思う。こう言うちょっとした演出で脚本を助けるべきなのに、もはやそれすら出来ていない。さーて、どうしたもんじゃろのう…
あとがき
金曜日と土曜日に主人公の存在感が見られなければ、もう良くて現状維持でしょうね。「失敗は成功のもと」と応援したい気持ちは山々ですが、流石にこの2日間は酷過ぎます。
最後に。前回の感想に 45回ものWeb拍手やたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。この仕上がりでは、離脱はしなくても、毎日観るのは止める人も増えているでしょうね。それだけに、毎回しっかりと主人公の存在感を描くべきなのに…
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[読書] 吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉 (坂本 優二/著・イースト・プレス) 感想
【これまでの感想】
●「わろてんか」なぜ視聴者を “場違いの笑いと置いてけぼり” を続けるのか?(2017/10/15)
第1週『わろたらアカン』
1 2 3 4 5 6
第2週『父の笑い』
7 8 9 10 11 12
第3週『一生笑わしたる』
13 14 15 16 17 18
第4週『始末屋のごりょんさん』
19 20 21 22 23 24
第5週『笑いを商売に』
25 26 27 28 29 30
第6週『ふたりの夢の寄席』
31 32 33 34 35 36
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
37 38 39 40 41 42
第8週『笑売の道』
43 44 45 46 47 48
第9週『女のかんにん袋』
49 50 51 52 53 54
第10週『笑いの神様』
55 56 57 58 59 60
第11週『われても末に』
61 62 63 64 65 66
第12週『お笑い大阪 春の陣』
67 68 69 70 71 72
第13週『エッサッサ乙女組』
73 74 75 76
第14週『みんなの夢』
77 78 79
第15週『泣いたらあかん』
80 81 82
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