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コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~

2017/12/19 06:30 記事更新
コウノドリ[2]

TBSテレビ系・金曜ドラマ『コウノドリ[2] 命についてのすべてのこと』公式
第10話『出生前診断 命についてのすべてのこと』の感想のかなり濃厚な第2弾
なお、原作:鈴ノ木ユウ「コウノドリ」(漫画)は未読。


サクラ(綾野剛)は羊水検査を希望する妊婦・透子(初音映莉子)を診察する。透子は別の病院で出生前診断を受け、おなかの子がダウン症候群の可能性が高いと診断されていた。サクラはまだ現実を受け止めきれない透子と夫・光弘に、検査の結果が出る前に今後どうするかを話し合っておくよう語りかける。一方、やはりおなかの子がダウン症候群と診断された信英・明代(りょう)夫妻。2人は長女のことや生活のことを考え、中絶を希望する。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---


脚本:坪田文(過去作/コウノドリ 第7,8話) ※第1,3,6,10
   矢島弘一(過去作/毒島ゆり子のせきらら日記) ※第2,4,7,9話
   吉田康弘(過去作/映画「ヒーローショー」「黄金を抱いて翔べ」) ※第5,8話
演出:土井裕泰(過去作/コウノドリ、重版出来!、逃げ恥) ※第1,2,5,8話
   山本剛義(過去作/Nのために、夜行観覧車) ※第3,4,7,10
   加藤尚樹(過去作/コウノドリ、ホワイト・ラボ) ※第6話
   韓哲(過去作/ATARU、IQ246~華麗なる事件簿~) ※第9話

まえがき

一部の読者の皆さん、たいへんお待たせしました。さて、先日の第10話は余りにも重たいテーマのため濃厚な感想を書くのは止めるつもりでしたが、通常版の感想の補足と、演出面について特化して書こうと思います。

あらゆることで、便利なものには理由や裏がある…

そもそも…。冒頭から「そもそも」で書き始めるのはどうかと思うが、今回の1組目の夫婦と赤ちゃんについては、高山透子の夫・光弘が発したこの↓言葉に集約されていると言っても過言でない。

光弘「郵送で教えてくれるなんて便利だよな」

まあ、あらゆることで、便利なものには理由や裏がある。と思って生活をしなければ痛い目に遭う時代だ。私は「出生前診断」、正確には「新型出生前診断(NIPT検査)」には詳しくないが、我が家の助産師に聞いたり、大学病院にある資料や専門書、ネットで調べたりしてみると…

僅か20cc程の血液を注射器で採取するだけで、母体血中の胎児由来遺伝子の内で13番、18番、21番染色体の濃度を分析可能で、「13トリソミー」、「18トリソミー」、「21トリソミー(いわゆるダウン症候群)」の可能性を出産前に発見することが出来る。自由診療で、一般的な費用は20万円前後。

また、検査の時期は妊娠10~18週頃の時期だけ。検査結果が出るのは約2週間後。従って、胎児の全ての先天性異常を出産前に発見出来る訳ではないし、非確定的検査(染色体疾患のある or 無いの確率を求めるだけで、確実に疾患がある or 無いを確定する検査で無い)である検査結果を盲信することは非常に危険だ。

「出生前診断」の前に、夫婦や家族で考えるべき3つの事

結局、羊水検査等の検査を行って胎児の詳細な健康状態を改めて調べるまで、具体的な疾患は分からない。だから、担当医としっかり話し合い、正確な情報を把握すべき。それと怖いのは、新しい技術だからと間違いないとして、くれぐれも自暴自棄になって軽率な行動に走らないように気をつけるべき。

また、結論を言ってしまうようで恐縮だが、第10話のサクラや四宮、倉橋や小松の意見の違いを見ても分かるように、医師がそれぞれの家族の希望に応じて処置を決めて行く訳だが、正直育てるのは産科医でも助産師でもなく、検査を受けた自分たち。従って、やみくもに医師に相談しても納得のいく選択や結論を導くのは困難だ。

その意味で、「出生前診断」を受ける前に、特に以下の「3つ」は夫婦や家族で考えるべきと思う。

  ●なぜ、出生前診断を希望しているのか?
  ●出生前診断に、どこまでの精度や診断を求めているのか?
  ●望まない結果が出た時に、どのような選択をするのか?

事前にきちんと調べて考えないから…

例えば、今回の1組目の妊婦・透子と夫の光弘は、「陽性」の検査結果を見て「21トリソミー(ダウン症候群)」って何だよ?」「分かんない」なんて状況だ。

コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~
©TBS

事前にきちんと調べて考えないから、問合せ先の病院(検査先)からこんな↓ことを言われて愕然とするのだ。

電話「うちは検査して結果をお返しするだけですので、
   あとは患者さんのほうで専門の病院を探して、
   受診して下さいね。
   検査結果の内容に関しましては結果の用紙に詳細が…」

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©TBS

綾野剛さんの目の芝居に注目した!

既にここ↑まで書いてしまったから、1組目の夫婦・高山夫妻についてこれ以上言及することは余りないのだが、演出と演技の観点でとても興味深い部分がある。羊水検査のためにペルソナを訪れた高山夫妻に、赤ちゃんが好きなサクラだからこそ掛ける言葉がジーンと心に響くシーンだ。

鴻鳥「ご家庭の事情もあると思います。
   お二人で現実に向き合って決めていくことになります。
   (透子に)高山さん、僕達はどんな結論になっても、
   高山さんの決断を支えていきます。
   これからのこと、一緒に考えていきましょう」

「出生前診断」に反対したり、障害児を拒んでの中絶に反対したりせず、かと言ってサクラ自身の考えを押し付ける訳でもなく “妊婦に寄り添うサクラ” の言葉が響くのだが。ここで注目して頂きたいのは、サクラが「高山さん」と声を掛けるカット↓での綾野剛さんの目の芝居だ。

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©TBS

普通なら「高山さん」と言う台詞は「夫婦」を指して当然だから、サクラは透子と光弘の両方に目線を合わせて喋るのが一般的な演出だ。しかし、韓哲氏以外の本作の3人の演出家は、診察シーンでのサクラの目線の送り先にとても神経を尖らせて演技指導しているように感じる。

特に今回の山本剛義氏は『コウノドリ2』からの演出担当だから、ひときわ神経質。この「一緒に考えていきましょう」の台詞を喋るサクラの目を良く見て欲しい。この台詞が終わる寸前に、綾野剛さんが一瞬だけ光弘の方を見る(見てしまう)。

これ、私の想像の域だが、演技指導では「ずっと透子を見て話して欲しい」だったのでは?と。サクラが透子を見つめて話し続けることで、自然と “妊婦に寄り添うサクラ” に映ると言う演出的な仕掛け。撮り直さなかったのは、この時の綾野剛さんの表情が最高に良かったからだろう。こんなドラマの楽しみ方?もあるのだ。

高齢出産なら、我が子の成長を1日でも長く見守りたい…

さて、もう1組の辻 明代と信英夫妻。先の高山夫妻が30代前半だとすると、こちらの辻夫妻は40代半ばの設定だろうか。明代は所謂「高齢出産」。わざわざ書くことも無いが、一応説明しておこう(私は何者か?)。「高齢出産」とは、「35歳以降の初産婦」のことで、世界も日本もこの基準が一般的。そしてリスクは大きく以下の3つ。

   ●流産しやすい
   ●子供がダウン症になりやすい
   ●妊娠高血圧症候群(以前は妊娠中毒症と言っていた)になりやすい

このシーンで今橋は、やや新生児科寄りの意見を言う。要は、ダウン症の子供にも個性があるみたいな。しかし明代は余り反応しない。そんな明代に今度はサクラが中絶する理由を「ご家庭の事情ですか?」と聞く。すると、明代は少し悩んで口を開く。「うち…ちっちゃい弁当屋をやってて」と。

コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~
©TBS

今橋は普通に聞いているが、サクラの態度は何となく怪訝な様子。更に妻の気持ちを補完するかのように夫の信英が「うちには上に一人娘もいるので」と言うが、サクラは中絶の理由、明代の態度に何か納得していない表情↓をする。

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©TBS

ここからは私の要らぬ深読み。現代医学ではダウン症の寿命は50才程度と言われている。となると、明代の赤ちゃんもあと50年は生きることになる。その時、明代は90歳。それまで我が子の面倒を看られるか?と言う不安。また、長女にそれを任せて良いのかと言う迷い。

その本心を夫に言えない明代の心の内をサクラは察したから、あれ以上突っ込まなかった。と言うか突っ込んだ更に物語が深みに嵌るから、脚本家は保育園のシーンでの親子、父と娘を見る明代で代用したでは?と言うのが私の脚本と演出に関する深読み。

コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~
©TBS

流石にここまで深読みするのは、やり過ぎだろう。しかし、高齢出産の人なら、我が子の成長を1日でも長く見守りたいのは、誰でも一緒だと思うのだが…

奥山佳恵さんの笑顔に元気を貰った!

実は事前情報で知っていて、この第10話の放送で一番期待をし、楽しみにしていたのが、奥山佳恵さんの出演についてだった。サザンオールスターズと同じアミューズ所属で、健康的で屈託のないキャラで、テレビで大活躍していた彼女が、2011年に次男・美良生(みらい)君がダウン症候群であることを公表したのを今でも思い出す。

そんな奥山さんが演じたのが、ダウン症の子供を育てる「木村 弓枝」。こんな↓弓枝の台詞も、前述の “明代の言えない本心” に繋がっているように思えてしょうがない。

弓枝「いろんな人にお世話になって、どうなんだって思うけど
   それこそ 壮真(そうま)にもね」

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©TBS

それにしても。今橋に「先生と話すといつも元気出る」と言っていた弓枝だが、私はこの奥山佳恵さんの笑顔に元気を貰った気がする。奥山さん、なんかスゴイな。

妊娠・出産で一番大切なことは「向き合って考える」

四宮と妹とへその緒のシーンを挟んでの高山夫妻の診察シーン。実は、ここでのサクラと小松の台詞の中に、第10話に於ける重要な「出産前診断」と「ダウン症の子供を育てること」の結論でもあり、育児全般への夫婦の在り方、いや今の世の中に一番欠けているもの、そして一番大切なものへの答えが出て来る。

鴻鳥「これは 高山さんとお二人の赤ちゃんのことなんです」
小松「時間がない中で受け止めるのは難しいの、分かるよ。
   けど、しっかり向き合っていこうね」

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©TBS

まず、注目したいのは前述もしたサクラの「高山さん」と言う言い方。ここでは「高山さんとお二人の…」とサクラはまず透子を見て、次に光弘を見る。そう、やはりサクラはここでも「透子=高山さん」なのだ。これ、産婦人科医として重要だと思う。因みに、今橋は辻夫妻を見る時、2人に向かって話している…

そして遠回りになったが、第10話で描かれる “妊娠・出産で一番大切なものへの答え” は「向き合って考える」こと。どんな選択肢を選ぼうと、どれが正解なのかは分からない。ただ、赤ちゃんが、子供たちが幸せであるために、親や産科医たちは現実に「向き合って考える」しかない。そんなドラマが『コウノドリ』なのだ、きっと…

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©TBS

四宮、倉橋、向井、小松の「出生前診断」への考え方

さて、第10話の中で最も主要登場人物たちの個々の考えの違いを表したシーンがこれ↓。不安な面持ちで羊水検査を受ける透子のアップに、四宮の台詞が音先行で被って来るところから始まる…

四宮「まあ、羊水検査を受けに来ただけでも良かったな」
小松「NIPTの結果だけ見て、次の検査は受けずに
   中絶って決めてしまう人もいるもんね」
四宮「たった10ccの血を採って、
   検査すればいいって言う気楽さが、
   そういう親を生んでるんですよ」
倉橋「それはどうでしょう。
   私は新型出生前診断が生まれたこと、
   いい面もあると思います。
   出生前診断に罪悪感、嫌悪感を抱く人が多いですけど、
   親になる前に我が子の情報を集めるのは、
   悪いことなんでしょうか?」
四宮「きれいごと言うなよ。子供に疾患があると分かったら、
   中絶を選択する親がほとんどだろ」
倉橋「出生前診断を受けても選択する中絶について、
   どうしてそこまで批判的な人が多いんですかね」
小松「まあね。中絶する理由も人それぞれだからね。
   中学生や高校生には、若気の至りとか経済的に
   難しいっていう理由で中絶を勧める人もいるからね」
向井「性教育、全然アップデートされてないですからね。
   避妊についてとか。
   もっと踏み込んで知らせていかないと。
   それに性暴力などによる予期せぬ妊娠もあります。
   そういう人達にとっては必要なことだと思います」
倉橋「もっと生まれてくる我が子の情報を知る権利について、
   理解してほしいです」
四宮「赤ちゃんの情報を親が知る権利があるのは、
   もちろん分かってる。だが、その情報を知ったあとで、
   どうするかを決めずに出生前診断を行うのは無責任だろ」
向井「そうですね。赤ちゃんがおいてきぼりにならないように、
   夫婦できちんと話し合ってほしいです」

このシーンで脚本的にも演出的にも興味深いのは、サクラが一言も話さないこと。四宮は親の責任を、倉橋は親の権利を、向井はメディカルソーシャルワーカーとして検査や中絶や性教育を対極的に、小松は助産師として中絶に対する考えをそれぞれ述べるが、サクラはただ聞いているだけ。

コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~
©TBS

そんな無言のサクラに、坂道を思い詰めた高山夫妻が、足を引き摺るような雰囲気で上って来るカットがオーバーラップ。そして「二週間後」のテロップ。今度はサクラの「羊水検査の結果が出ました」の台詞が音先行して診察室のカットで、再び坂道の高山夫妻と言う編集になっていた。

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話さないことで "妊婦に寄り添うサクラ" が強調された!

要は、最初の医師たちの会話のシーンの後に2週間後の時間経過を直結する中に回想シーンが挿入されていると言う編集だ。これによって何がどう映るのか?そう、“妊婦に寄り添うサクラ”、特に透子に寄り添うことしか考えていないサクラが強調されたのだ。

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この時のサクラには一般論や議論よりも、「透子に寄り添いたい」と言う気持ちが強かったと言う演出(編集)だと思う。この描写があるから、CM明けの高山家の家族会議のくだりでの透子と透子の母・澄江との当事者同士の本音のぶつかり合いのシーンが引き締まって来る。なぜなら、寄り添うしか出来ない無力なサクラを感じるから…

重たいテーマを敢えてど真ん中の表現で挑んだ意欲作!

透子の母・澄江の「透子が苦労するところ、見たくない」の台詞のあとに、弓枝が今橋に友人の出生前診断のことを相談するシーンを直結したのも、スゴイこと。“産む勇気” と “産まない勇気”、“出産と育児の厳しさ” と “出産と育児の喜び” と言う究極の対比を、澄江と弓枝と言う母親で大胆且つ印象的に描いていたから。

弓枝「このまま生まれる前に検査するのが当たり前になって、
   どんどん…ダウン症のある子、
   いなくなちゃうんじゃないかなぁって」

コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~
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その上、更に「出生前診断」の是非についても弓枝の台詞で言及し、視聴者に問題提起までしている。無難に避けて通る道もあるのに、敢えてど真ん中を進んだ脚本と演出、そして奥山佳恵さんのキャスティング。どれを取ってもお見事だし、これぞ『コウノドリ』だと思う。

"お産を助ける" から "助産師"

場面は、第7話に登場した小松の元助産師仲間の京子の家。小松が遊びに来たようだ。45歳の初産婦である京子に小松が「出生前診断」を受けなかった理由を聞くと、京子はこう↓答える。

京子「悩むのが怖いから。
   どんな子供でも受け入れる!自分の子供なんだから」

小松は京子の決断を「受けない権利ね」と言う。ドラマとしては、ここで新たな権利が提示され、描かれるテーマはどんどん深く重くなる。それと一緒に、どんどん深みに嵌って行く感覚の小松に、京子が言うこの台詞↓もいい。

京子「うん、ただ寄り添うの。大切な私達の仕事だよ」

そして、“お産を助ける” から “助産師”。正にそう言う仕事を背負った小松が、次の辻夫妻の結論を聞くシーンで、妊婦に寄り添うしか出来ない、子宮全摘をした女性として、強がっている明代に小さな声で言うこの↓台詞が心に沁みる…

小松「辻さん、辻さんの体も大切だよ」

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小松の何とも言えぬ目が、脳裏に焼き付いて離れない…

処置が終わった明代の病室。サクラが明代の願いを叶えたよう…

明代「抱っこ…させてもらったんです。すごく小さくて。
   でも…温かかった」

嗚咽する明代の背中をさすりながら、ただただ見つめ寄り添う小松の何とも言えぬ目が、私の脳裏に焼き付いて離れない…

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退院する明代と信英を見送るサクラの気持ち…

明代と信英が、退院して行く…

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鴻鳥「産科医として避けられないことだからね。
   ご家族が幸せになるための選択だと、
   そう自分に言い聞かせてる。
   でもさ、僕は赤ちゃんが好きだから」
四宮「ああ」

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もう、物語を言葉で解説する必要は無いだろう。ただ、演出面から言うと、サクラ(と四宮)をずっと俯瞰気味(上から)のアングルで抑えることで、サクラの苦悩を明瞭に見せたり、引きの2ショットを劇伴が終わった後に3秒程引っ張ったりして、四宮も同じ気持ちであるのを描いたのはシビレる演出だ。

命の話です…

場面は、周産期センターと救命科の合同カンファか? 吾郎が出生前診断がメジャーになって行った時、命の選択と自分はどう向き合うべきかを先輩たちに質問する。誰も答えに詰まる中で、サクラが口を開く…

鴻鳥「吾郎先生。その質問の答えは僕には分からない」
吾郎「えっ?」
鴻鳥「命は尊い。赤ちゃんが生まれて来ることは奇跡だ。
   平等であるはずの命を選別してはいけない。
   そのとおりだ。けど、僕はずっと迷ってる。
   命の選別。その言葉にみんながとらわれてしまっていて、
   お母さん、お父さん、家族、
   その事情には目が向けられていない。
   それぞれの事情の上に命は生まれてくる。
   育てていくのは家族なんだ。
   出生前診断を受けた結果、中絶を選択する家族もある。
   心が重くなる。
   いつまでも慣れることはない。
   けど、悩みに悩んだ上で、その選択をして、
   僕達に助けを求めてる。
   その手を払いのけることはできない。
   中絶を決めたお母さんが、
   赤ちゃんを最後に抱きたいと願う。
   確かに矛盾しているかもしれない。だけど…
   その葛藤に僕達が寄り添わないで誰が寄り添う?
   検査を受けた人、受けなかった人、
   赤ちゃんを産んだ人、産まなかった人、
   どの選択も間違ってない。
   いや…間違っていなかったと思えるように、
   産科医として家族と一緒に命と向き合っていく。
   それが僕に…僕達にできることなんだと、
   そう信じて僕はここにいる」

サクラが決して「赤ちゃん至上主義」でも「出産・育児至上主義」でもなく、あくまで “家族と一緒に命と向き合っていく産科医” であることを自ら訴えたこの↑台詞。吾郎に答えつつサクラ自身も2つの中絶を目の当たりにした(する)自分の心の整理をしたような雰囲気で、とても心に響いた。

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そして、世の中の全ての周産期に関わる人たちに同じ気持ちであることを信じたいし、望みたい…

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コウノドリ[2] 「第10話」の感想 ~かなり濃厚な第2弾~
©TBS

"命のドラマ" として "超が付く秀作" である!

そして、透子が処置の寸前で「産みたい…」と気持ちを変える。透子の母も「あんた、産みたいんだね」と娘の心中を察する。2組の家族が違う選択をした今回。前述のサクラの “命の話” にあったように「どの選択も間違ってない」し、「産科医として家族と一緒に命と向き合っていく」が見事に描かれた。

やはり、“命のドラマ” として “超が付く秀作” であると言わざるを得ない。

あとがき

リアルタイム視聴した際は、もっとサクラの心情を描いても良いかなと思いましたが、この「濃厚版」のために何度も見直してみると、意外にサクラのドラマになっていると思いました。やはりテーマが重厚なだけに、初見では出生前診断に気持ちが引き寄せられたようです。

最後に。第9話の濃厚な感想に 95回、第10話の最初の感想に 63回ものWeb拍手やたくさんのコメントを頂き、ありがとうございました。いよいよこの金曜日が最終回。心して見ようと思います。

なお、『「厚生労働省×コウノドリ」タイアップ』も話題になっていますが、今回は別口の情報をご紹介します。本作の監修(※チラシには「監修」とありますが、本編のクレジットでは「取材協力」となっています)をされている豊島勝昭医師(神奈川県立こども医療センター新生児科)がセミナーを開催するそうです。チラシには「ここでしか聞けないドラマの裏話も!?」とありますが、公式サイトには「周産期センタースタッフであればどなたでも」とあるので、節度を持って情報活用して頂ければ幸いです。
  ■千葉県周産期新生児研究会 http://www.chiba-nicu.com/

千葉県周産期新生児研究会
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★職業:宴会/映像ディレクター(フリーランス)

★略歴:東京下町生まれ千葉県在住。ホテル音響照明映像オペレータ会社を経て、2001年独立。ホテルでイベント、パーティー、映像コンテンツ等の演出を手掛ける。活動拠点は都内と舞浜の有名ホテル等。

★ブログについて:フリーの宴席/映像ディレクターが、テレビ,映画,CM,ディズニー,音楽,仕事等を綴ります。記事により毒を吐きますのでご勘弁を。

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