わろてんか (第39回・11/15) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第7週『風鳥亭、羽ばたく』
『第39回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
どんどん客が減っていく風鳥亭を立て直そうと、てん(葵わかな)は懸命に働いていた。藤吉(松坂桃李)は人気落語家に出演交渉するが断られ、芸人を寄席に派遣する太夫元の寺ギン(兵動大樹)にも頼み込むが話すら聞いてもらえない。気落ちした藤吉が戻って来ると、寄席の前で伊能(高橋一生)が待ちかまえており、なぜか飲みに誘われた。酔った二人は寄席やてんのことで言い争いになり、大ゲンカを始めてしまう。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
若い2人が、啄子の行商による稼ぎに頼り切っていたのか!
空き小屋を見つけ儀兵衛に大借金をして風鳥亭を立ち上げたが、3日間で客足は減る一方で売り上げも立たない始末なのは、良く分かる。しか私にはし、開業前から主人公と藤吉が働いているように見えないのだ…なんて、前回までを振り返りつつ今回が始まった。すると早速、主人公のこの↓台詞に “びっくりぽんや” 。
てん「うち また お針仕事 始めます」
この↑台詞には “3つの不思議” が隠れているのがお分かりだろうか?
●「うち」…藤吉は何をしていたの?
●「また」…いつまで針仕事をしていたの?
●「針仕事」…啄子の行商と主人公の針仕事で生活できていたの?
主人公がこんな↑台詞を言ったために、暫くの間、主人公と藤吉が全く働いていなかったことが証明されてしまった。と言うことは、若い2人が啄子の行商による稼ぎに頼り切っていたことになる。
「以前にも主人公は家で裁縫をしていたよ」との声も聞こえてきそうだが、その通りだ。私の見た目には “主人公が長閑に裁縫をしていた” に映っており、どう好意的に見ても生活費を稼ぐための針仕事には見えなかった。むしろ、先日の座布団補修の方がよほど針仕事に見えた位なのだから。
啄子は、若い2人への嫌味目的で腰痛の仮病をしたのか!
こうなると更に勘ぐってしまうのが、先日に描かれた啄子の腰痛だ。結果的に、数日?後には治っているのに仮病のふりをしていたと言う描写まであった。と言うことは、啄子の性格を鑑みると、年老いた自分にばかり働かせている若い2人への嫌味が目的で腰痛の仮病をした可能性も出て来る。いや、この方が自然だ。
だとすると、北村屋が倒産して無一文になり芸人長屋に居を構えたは良いが、生活費は啄子に寄生していたってことだ。
結局、てんと藤吉は儀兵衛と啄子に寄生して寄席開業か!
また、この↑台詞に続く主人公のこちらの↓台詞にも違和感が残る。
てん「藤吉はんは 寄席の事だけ考えておくれやす」
この↑台詞では、藤吉は寄席以外のことを何か考えていると受け取れる。例えば、寄席の開業準備前から続けていた仕事を再開するとか?でも、藤吉が働いたのは啄子の腰痛の時だけだ。
う~ん。結局、アバンタイトルで脚本家が安易に “主人公が頑張ってるように見せようとしたたった1つの台詞” で、家を継ぐと言った割に勘当され、嫁ぎ?先の実家を潰し、嫁としても認めてもらっていない主人公と藤吉が、儀兵衛と啄子に寄生して風鳥亭を開業したところで、褒めるどころか不快感しかないのだが。
儲けよりも仲間内でワイワイ楽しむ学園祭の出し物レベルの席主
主題歌明け、売れない芸人役の俳優さんたちが頑張って大阪の演芸界の戦争を説明しても、売れない芸人たちだから本気でつまらない。更に関東では電車の「運転見合わせ」情報が赤い文字で画面の左にドンと表示されて、内容に集中できず仕舞いで、 “何か、何かなぁ” と見ていると、これまた信じ難い台詞が藤吉から飛び出した。
藤吉「俺は この小屋に お客さん もっと集めて
お前らの芸を見てもらいたいんや」
信じ難いと言うよりも、やはりそうだったかの方が正確だ。これまでの藤吉の言動を総括してみるとこうならないか?キースや吉蔵ら売れない(面白くない)芸人たちの芸に笑い、彼らの芸を面白いと思い、彼らの芸を見たいのが今の藤吉。だから、こんな↑台詞が言えるのだ。
客を増やして儲けるよりも、お友だちの売れない芸人たちを見て貰いたい方に重点が置かれている訳で、これは安倍晋三式側近人事「お友達内閣」になぞって、藤吉式「お友達寄席」と名付けよう。儲けは二の次でお友達でワイワイ楽しむ。これって、学園祭の出し物レベルと言わざるを得ないが。
いつから「売れない芸人の夢をかなえる小屋」になった!?
藤吉からとんでもない一言があったと思いきや、主人公も負けてはいなかった。
てん「うん。風鳥亭は うちらの夢をかなえる小屋
いうだけでやありまへん。
皆さんの夢をかなえる小屋でもあってほしいんです」
おいおい、いつから風鳥亭の設立基準に「売れない芸人の夢をかなえる小屋」が入ったのだ? そもそも「うちらの夢をかなえる小屋」ですら、曖昧に事が進んで面食らっているのに、今度は売れない芸人たちの夢まで背負い込むってお話になっている?これ、また視聴者を置いてきぼり作戦だね。
なぜ本作の登場人物たちは "地道にコツコツと" 働かないの?
本来なら、適当な空き小屋は見つかったものの開業資金が無い…と言うくだりで、主人公と藤吉が「うちらの夢をかなえる小屋」のために、そして「売れない芸人の夢をかなえる小屋」ために、資金繰りや人集めを描くべきだった。それを全部すっ飛ばして、儀兵衛のスネをかじっていとも簡単に開業するから中身がすっからかんになる。
どうして本作は、主人公と藤吉に限らず “地道にコツコツと” 働く姿を描かないのか?「笑って生きること」と「へらへら笑って生きること」は違うし、「笑いを糧にして生きるヒロイン」と「笑いで稼いだお金で生きるヒロイン」も全く違う。やはり、おかしいことばかりだ。
伊能様がキレたお蔭で、私のイライラがちょっぴりスッキリと…
6分過ぎ。ついに伊能と藤吉が額を合わせる時が来た。前述の通り、笑いの才能もセンスも商才もない藤吉が、偉そうに寄席とは、芸人とはと伊能に説教をし始める。見ているこちらもイライラしたが、劇中の伊能も流石にキレた。いいぞ、伊能!
伊能「くだらないなぁ」
藤吉「くだらん?」
伊能「寄席のため 芸人のため。
一番大事なのは お客じゃないか」
藤吉「そら もちろんやけど…」
伊能「お客は 寄席の格や君らの夢なんて どうでもいい。
ただ 笑えさえすればね。
たくさんの人を笑顔にしたいと言うのなら
まず お客が 面白いと思う芸人に
出てもらうべきじゃないか?」
これで完全に藤吉の笑いのセンスが、一般とは違うことがハッキリした。のちにこの「一般と違う」ことが成功に影響するなら良いのだが、普通に考えれば “世間が気付いていない面白い芸人” を発掘したり、“想像もつかない面白い寄席経営” をしたりして、頭角を現すのではないのかなぁ。
藤吉は寄席経営に不向き。で「オナゴの助け」てんが活躍?
正論を突き付けられたことに、恐らく半分くらいは気付いていない藤吉が、意味不明な逆切れで対抗する。
藤吉「俺は 落語が好きや」
もう何が何だか分からない。いつ藤吉が数ある芸の中で落語が好きと言ったのか?落語が好きなのに、自分の寄席と予算に見合う落語家を探せないのは、益々藤吉が笑いを商売にすることに不適格だと描いているようなものではないか?だから、「おなごの助け」とやらで、今度は主人公が活躍するの?ちゃんちゃらおかしいでしょ。
あとがき
2015年のテレビドラマ『民王』で演じた秘書・貝原茂平役で一気に私の推しメンになった高橋一生さんと、高橋さんが演じる「伊能栞」が、前回のラストと今回で完全に本作の “客寄せパンダ” として利用されているのが分かり、がっかりしました。放送中の月9もそうですが、きちんと必然性のある出番と役で彼を見たいです。
最後に。前回の感想に、111回ものWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございました。今日も酷かったですね。先日、女中トキの閃きにちょこっとアイデアを付け足して手柄を勝ち取ったてんが描かれましたが、今度は伊能のアドバイスで藤吉がお手柄ですか?
親に寄生してタナボタ待ってアイデア横取りの主人公と藤吉にまだまだ共感の言葉は遠いです…
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