わろてんか (第35回・11/10) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第6週『ふたりの夢の寄席』
『第35回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
てん(葵わかな)と藤吉(松坂桃李)は待望の寄席を亀井(内場勝則)から譲ってもらえる約束を取り付け喜んだが、最後の難関・啄子(鈴木京香)の説得が残っていた。キース(大野拓朗)とアサリ(前野朋哉)が啄子に寄席開業を認めさせると説得を買って出るが、まったく歯が立たない。てんと藤吉は早朝家を出たままの啄子を心配して町を探すと、藤吉が買おうとしている亀井の寄席の客席で立ち尽くす啄子を発見して驚く。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
母と息子で嘘つきであることを証明しただけのアバンタイトル
これまで散々啄子の腰痛がとっくに治っているのを見せているのに、今更になって藤吉が「ばれてるで」と。結局、母と息子で嘘つきであることを証明しただけ。それに、幼少期の回想シーンで天神さまの鳥居がチラリと見えたから、この寄席があの寄席であることもバレバレ。
本当は、「似た者親子」と「チラ見せ」でドラマが面白く感じるところだが、全てが後出しに見えるだけ。今回も意味無きアバンタイトルで始まった。
啄子を説得する前に、テレビの前の視聴者を説得しろ!
主題歌明け、無責任極まりないキースが「俺らで ごりょんさんを 説得したるわ」と言うが、劇中の啄子を説得する前に、テレビの前の視聴者を説得しろ!と言いたい。だって、前回で亀井が藤吉とてんに寄席を譲ると言った根拠ですら、視聴者は納得していないのだから。とにかく視聴者を置いてきぼりにするな!
藤吉は "寝坊助" で、てんは "環境不問で熟睡OK" に納得!
5分頃、てんが寝ている藤吉を起こすシーン。そりゃあ、好意的に解釈すれば、前夜のてんの話を聞いた啄子が寄席の現場を早起きして、そっと見に行ったとなる。しかし、流石にこのシーンの冒頭の早朝の情景カットでは全く時間が分からない。
そして、これまでの藤吉の言動から、全ての出足が遅くてぐうたらな印象が強いから、寝坊をしたようにしか見えて来ない。その上、川の字の真ん中で寝ている啄子が起きて着替えて家を出たことをてんも気付いていない始末。天秤棒を担いで歩く啄子のカットで後ろを通行人が歩くから、それほど早朝でないのも分かる。
だとしたら、このシーンで言いたいことって、「藤吉は寝坊助」で「てんは歓喜協に左右されずに、自然に目が覚めるまで完全に熟睡できる体質」ってこととしか思えない。要は、二人とも “かなり図太い神経の持ち主” か “余程の鈍感” と言うこと。こんな印象を今さら追加してどうしようと言うのだ。本当に雑過ぎる。
啄子を笑わせる前に、テレビの前の視聴者を笑わせろ!
9分過ぎ、鶴亀亭の中にいる藤吉とてんと啄子。てんを度外視にして親子で思い出話にふける中で、藤吉の「ホーホケキョ!」の笑いの芸で、初めて啄子が笑ったとされた。うん、確かに啄子は笑っていたが、少なくとも私は何が面白いのか分からなかった。
もちろん、ここでまた好意的な解釈をすれば、成長した息子の姿にホッとして笑顔がこぼれた…と言うつもりなのだろう。しかし、幼少期の描写が余りにも少な過ぎて全く伝わらない。従って、劇中の啄子を笑わせる前に、テレビの前の視聴者を笑わせろ!って感じ。どこまで視聴者を置いてきぼりにする気なんだ!
「大阪編」での藤吉を見る限り、藤吉の印象はこの7項目!
そして、10分過ぎ、啄子が息子の成長を認めて「寄席開業」を許すシーン。もう、一々書くのが面倒なので詳細は端折るが、なぜ自分の米問屋を潰した啄子が、全く畑違いの業種である「寄席経営」のノウハウを藤吉らに語れるのか、さっぱり意味が分からない。
そして、許した理由が「あんたには 寄席しかなさそや」であると言う衝撃。これまでの「大阪編」での藤吉を見る限り、私の藤吉の印象は、下記の7項目↓に集約される。
●笑いのセンスがない
●商いのセンスがない
●芸や芸人を見下す
●やることが遅い
●頑張らない
●辛いと逃げ出す
●成功した試しがない
啄子は、藤吉とてんに向かって「あんじょう気張りや」と励ますが、ここも演出が雑、いや間違っている。
藤吉がダメ男だから、てんが笑顔で一大決心をしなくちゃ!
既に藤吉には、上記↑のような悪い印象がついているのだから、“あんじょう気張る” のはてんでなければ、このあとの話が成立しないし。だからここは、てんのモデルも考え合わせれば、大きく頷き一大決心をした満面の笑みで啄子に応える1カットが欲しかった。中途半端にニヤけた笑顔では、映像に全く説得力がない。
その上、てんに「親孝行のためにも」と心にもないことを言わせちゃう。いや、この時点ではそうは思わなくても、ラストで実家に500円(現代の500万円)を出させるてんが描かれたら、“心にもないこと” と考えるのが自然。だって、前回も「GPS探偵・風太」をあっさりと帰した “人でなし” なのだから。
タナボタで鶴亀亭を手に入れようとしたのに、万策尽きた?
でね?(すみません。ついつい怒りと馬鹿馬鹿しさで馴れ馴れしくなってしまいました…謝) 13分過ぎに3日後までに500円を用意しなければいけなくなる。その夜のシーンの演出と演技(指導)もおかしいの。まず、「万策尽きたな」と言う藤吉だが、「万策」とはありとあらゆる手立てのこと。藤吉、何やった?
亀井の亡き奥さんをヨイショして、亀井に付け入ってタナボタで鶴亀亭の権利をゲットしただけでしょ?金策に走り回った訳でもなく、寝坊していただけでしょうに。だから悲痛に悩む演技は正しくない。むしろ、頭を抱えて「どうしよう?」と悩むくらいがちょうど良い。
てんが端から儀兵衛頼みを決めているように見えちゃダメ!
そして、そんな悲痛に悩む藤吉の傍にいるてんの表情が、ハッキリ言っちゃうとイヤ。斜め下から藤吉を見る視線も少し遠くを見る視線も、どう好意的に捉えようにも、この時点で「儀兵衛頼み」を決め込んでいるように見えちゃっている。
ここで、「一つだけ 手が残っていました」とナレーションが入るが、決め込んで見えるのはナレーションの瞬間よりも直後でないとダメでしょ。ナレーションの前から決め込んで見えたら、ナレーションを入れる意味がない。こう言うところに演出家の演技指導と編集の雑さが露呈するんだよね。
あとがき
結局ラストシーンで、てんが早起きしたのに気付かぬ啄子が描かれましたね。と言うことは三人とも “かなり図太い神経の持ち主” か “余程の鈍感” と言うこと。そんな三人が時代の流行を感じ取ったり、芸人さんたちの気持ちを汲んだり、お客様の気持ちになって寄席を経営できるのでしょうか?益々、この先に不安しかありません…
最後に。前回の台詞の引用を大幅に少なくした感想に、117回ものWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございました。文章量も少な目になって読み易いですか?私のドラマ愛は、より濃厚に書いているつもりなのですが。それにしても、親に資金を出して貰って、私の妄想では月曜日には寄席を手に入れますね。『まれ』超えは、ほぼ確実かな?
『まれ』の話題が出たので、ここで最後の最後におまけを。こんな状態の『わろてんか』に僅かな希望の光を探し、当blogの感想まで読んで下さっている読者さんに、私から朝ドラ愛を込めて改めて、本作の感想を書いてみますので、わろてんか?
ちっとも “地道にコツコツと” 働かない藤吉と、世間知らずで笑ってごまかしているようなてんに “びっくりぽん” の毎日ですね。そして、このバカップルな夫婦もどきと、商才のない啄子が笑いの殿堂を作って行くなんて “どうしたもんじゃろのう” って思いませんか?ホント真面目に考えれば考える程、 “何か、何かなぁ” ですよね。でも、最終回まで “頑張っぺ!”(笑)
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