わろてんか (第28回・11/2) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第5週『笑いを商売に』
『第28回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
藤吉(松坂桃李)が北村屋の家土地を担保に、高利貸しから借金していたことを知った啄子(鈴木京香)は激怒する。てん(葵わかな)は啄子から京都へ帰れと言われるが、意地でも帰らないと言い張った。藤吉の窮地を救いたいてんは、貿易に詳しい伊能(高橋一生)を頼って相談に行くが、藤吉と一緒になるのは間違いだと諭されてしまう。藤吉はふがいない自分にむち打つように、少しでも米を売ろうと荷車を引いて町を売り歩いた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
不愉快にさせるだけのアバンタイトルは付けない方が良い
今朝も「わろてんか名物」不愉快にさせまくるアバンタイトルが始まった。今回はぶった斬るだけでなく、少し真面目に分析してみる。2日続けて朝から刃物を振り回す朝ドラもどうかと思うが、そもそもアバンタイトルを毎回付ける必要なんて無いのだ。むしろ不愉快にさせるだけだから削除して欲しい位。
なぜ、そう思うか?今回のアバンは本作の一番ダメな部分が、約90秒間に凝縮されていたから解説しよう。最大の欠点は、“シリアスなエピソードなのにオチを作って「笑いごと」にしてしまう” ところだ。今、てんと藤吉と啄子の3人が置かれている状況はこうだ。
シリアスなエピソードを笑い話にするような演出は即止めるべき
先代の借金で店が傾き、番頭ら従業員が次々と店を辞め、元番頭のいるライバル店に客を奪われ、更に不景気の波が押し寄せているお家の一大事。そこに、跡継ぎの息子が高利貸しから借金をして外国からパーマ機を大量に買いつけたが、その機械が欠陥品で、担保に入っていた店と土地が取られてしまうかも…
普通に考えればシリアスもシリアスな現状だ。「人生の辛い時こそ笑いが必要」なのは本作でも言われているし、言われなくてもそう思う。がしかし、このアバンでこんな↓啄子の台詞でオチを付けて笑いにする。
啄子「何やのん これ」
いや、こう言う手法もアリの時はある。あまりにもシリアス過ぎて前回が終わったため、次回のアバンでは少しコミカルに描いて雰囲気も戻すみたいなのは。しかし、それは全体の演出が成功している時に限ってできる高度な技。まあ雑な脚本は今は置いておくとして、今回もアバンでの演出家のセンスを疑うしかない。
北村屋に、店のことを真剣に考えている人間はいない
懸命に演ずる藤井隆さんも気の毒だが、それこそ文字通りのこんな茶番劇を見せられる視聴者の方がもっと気の毒。そして、このアバンを見て感じたのはたった1つ。北村屋の関係者には、誰1人として店のことを真剣に考えている人間がいないってこと。冒頭でそれを感じさせる演出は明らかに間違っていると言わざるを得ない。
笑いを使えば啄子の "悩み" の真剣みが伝わるのに…
主題歌明けのシーンも、脚本も演出が的外れだ。アバンで「北村屋に、店のことを真剣に考えている人間はいない」ことを描いたばかりだ。視聴者はそう言う目で見ているから「謝罪する藤吉」は「謝罪しているフリの藤吉」に、「苦しんでいる啄子」は「苦しんでいるフリの啄子」なのだ。そこで、啄子がこんな↓ことを言う。
啄子「腰だけやのうて 胸まで苦しゅうなってきたわ」
こんな時こそ、啄子に「いいや、ほんまに苦しいのは北村屋の商いや」くらいのことを言わせて少しでも笑いを入れたら、啄子は少しだけでも店のことを考えているように見えたのに、この脚本家と演出家はシリアスのままこのシーンを終わらせてしまう。だから啄子の「なんとかせんと…」の真剣みが伝わらないのだ。
藤吉と笑い、母子の絆、ほぼテーマとして、重要なシーンのはずだ
6分過ぎに、驚愕の映像が飛び出した。何と、幼少期の藤吉役に子役(大西啓翔くん)が採用された回想シーンがあったのだ。寝込んでいる啄子が、幼少期の藤吉を寄席に連れて行ったからボンクラになったかも…と、てんに話すくだりで…だ。遊び人の先代を大阪中探して疲れ果て、川に飛び込もうかとさえ思った時、寄席に入り…
啄子「親子水入らずも これが最後と思て 落語見てな。
哀しいやら おかしいやらで わても わろたわ」
これ、藤吉と「笑い」としても、啄子と藤吉の「母子の絆」としても、そして本作の「テーマに限りなく近い部分」としても、とても重要なシーンだったのではないだろうか。「人生辛い時こそ笑う」とは一味違った「哀しいやら、おかしいやら」と言う表現で人生の中での「役割」を表した悪くない台詞だと思う。
藤吉の子役に驚いて、啄子の台詞が流れてしまった…
だが、突然現れた藤吉の子役の印象が強過ぎて、啄子の台詞がさーっと流れて行ってしまった。第1週目に藤吉も子役を立てておけば…の話は止めておくが、せめて「大阪編」になってから何度か子役を登場させておけば、このシーンの意味は大きく違ったはず。やはり、演出家の力量不足が足を引っ張っているのは間違いない。
てんが、店と藤吉を救うため万策尽きたように見えない
7分過ぎに、以前の予想通りにてんが伊能栞に相談に行くシーンがあった。今さら感が半端無い伊能の登場。このシーンも失敗と言えよう。
なぜなら、てんは本来藤吉が使えない代物を高利貸しから借金して大量購入したことを知った段階で、嫁(見習い)として店のことを真剣に考え、藤吉のことを愛しているのなら、どんな手を使ってもこの窮地を救おうとしなければおかしい。実家に泣きついたっていいくらい。そして、真っ先に伊能に相談するのもアリだった。
しかし、てんが策を懸命に探した描写はない。むしろ、伊能が話しているのを途中で遮って「ありがとうございました」と言ったてんの悪印象ったらありゃしない。もちろん、慌て動揺しているてんを表現したいのだろうが、そうは見えない。
てんが、伊能を小馬鹿にしているように見えてしまった
てん「うちは 間違うたとは思いません」
また、伊能が藤吉の存在を知って身を引いたことが間違っていたと告白する場面では、てんが苦虫を噛み潰したような変な笑顔でこの台詞↑を言うが、まるで伊能を小馬鹿にしているように見えてしまった。
本来は、てんが自分の選択に自信に満ちているように見えなくてはいけないのだが、1か月も経っているのに葵わかなさんの「笑顔」がその時のてんの心情に合っていないからこうなる。一体、私はいつヒロインの笑顔にエールを送れるのだろう…
『ひ』で豊子が工場最後の日に籠城した名場面のパクり?
13分過ぎ、夜に金貸し屋がやって来た。利息だけでも払えと言うが、ここの利息の金額が明確で無いから、藤吉が街中を歩き回って稼いで来た金銭との比較ができない。なぜ「商い」を描くドラマなのに「お金」をきちんと描かないのか意味が分からないと思っていたら、啄子からこんな↓台詞が飛び出した。
啄 子「ほんなら わてを殺しなはれ」
金貸し「えっ?」
啄 子「この店は わての命や。
それを奪ういう事は 死ねいうこっちゃ。
わては こっから一歩も動きまへんで」
えっ?どう言うこと?自分の息子が借金して利息も返さないから、金貸しが抵当に入っている家を貰うと言っているだけなのに、自分を殺せ、ここを動かないって?意味が分からないのだが。それに『ひよっこ』で豊子が工場最後の日に籠城した名場面をパクったように感じてしまったのも残念だ。
また刃物? それに藤吉が家を壊してどうなるの?
金貸しが「そこをどけ」と言うのも良く分からないし、「どかない」「殺せ」と主張したところで事態は変わるはずはないのに、なぜか覚悟を決めた?啄子に何かを感じた藤吉が台所から包丁を持ち出し(本日2度目の刃物の登場)て、この↓台詞を言いながら包丁を啄子に向かって振り上げる…
藤吉「お母ちゃんの言うとおりや。いっそ この家 壊して…」
藤吉が家を壊してどうなるの?解体費用分を借金から差っ引いて貰おうとか?全く意味が分からない。北村屋の家土地を売った代金で借金を返済して、さっさと『ひよっこ』をパクって、引っ越しの朝に店を隅から隅まで丁寧に掃除して仏壇に謝ればいいのに。早く「一巻の終わり」して、先に進んでよ。
あとがき
ネタバレサイトを見なくても、家土地を売って芸人長屋に引っ越して寄席作りの話になるのは分かりますから、こんな意味不明な描写ばかり繋げていないで、さっさと進めたら良いのにね。それにしても、つける薬がない藤吉の中途半端さに腹が立ちますね。伊能のてんを「待っている」の台詞にも信ぴょう性がないし…
最後に。前回の提案と分析の感想に、89回ものWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございました。やはり、もっともっと藤吉とてんに魅力を吹き込んで共感できるキャラにしないとダメですね。特に藤吉が…。そして明日から三連休なので、金曜と土曜日はのらりくらりと引越しまでで終わりですね、きっと。何か、何かなぁ…
★ケータイの方は下記リンクからご購入できます。
笑いを愛した吉本せい (洋泉社MOOK)
吉本せい お笑い帝国を築いた女 (中経の文庫)
吉本せいと林正之助 愛と勇気の言葉
連続テレビ小説 わろてんか Part1 (NHKドラマ・ガイド)
NHK連続テレビ小説 わろてんか 上
NHK連続テレビ小説「わろてんか」オリジナル・サウンドトラック
★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/10641/