わろてんか (第26回・10/31) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第5週『笑いを商売に』
『第26回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
藤吉(松坂桃李)がほとんど店に姿を見せなくなり、北村屋の使用人たちは店の先行きに不安を覚える。てん(葵わかな)は藤吉を信じて店の仕事に精を出すが、手代までが辞めてしまい、その負担が啄子(鈴木京香)にのしかかってきた。無理がたたって腰を痛めた啄子は、てんについ弱音を語ってしまう。そのころ藤吉は、キース(大野拓朗)が持ち掛けてきたもうけ話で一山当てて店の借金を帳消しにしようと目論(もくろ)んでいた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
今週の流れが見えてしまった第26回
そうか、パーマ機を大量に輸入するために、店の土地を担保に高利貸しから金を借りようとする藤吉を知り、てんが伊能に相談し、伊能に藤吉の態度も大博打も全部反対され、啄子にも借金は反対されて、てんが「寄席を作ろう」と提案する…と言うのが土曜日までか。それなら名目上は『笑いを商売に』で終わるな。
そんな今週の流れが見えてしまった第26回。この直前に月9『民衆の敵~世の中、おかしくないですか!?~』での高橋一生さんを見て思い付いた私のお得意の「妄想」なのだが…。では、前回の感想は奇襲攻撃みたいだったので、今回は通常運転で時間軸に沿って見てみよう。
今や「わろてんか名物」の "不愉快極まりないアバンタイトル"
今や「わろてんか名物」と言っても過言ではない、不愉快にさせまくるアバンタイトル。今回もきっちりイラッとさせてくれた。まず、この↓てんの台詞。何の根拠もないし、せめて愛情から信用に繋がるようなエピソードが過去にあれば説得力はあるが、視聴者にも女中トキにも無いからポカーンと聞くしかない。
てん「藤吉さんが 必ず 店を立て直してくれはるさかい」
この↑てんの台詞の直後に、また気持ちの悪い妙な抑揚をつけたこちらの↓ナレーションが続く…
N「本当に? 大丈夫でしょうか」
悪いが、この1か月の『わろてんか』のせいで、『ガッテン!』でも小野文惠アナの声を聞くとイラッとするようになってしまった。毎朝の習慣とは恐ろしいものだ。
文楽の「山姥」の1カットのインサートでいろいろ見えてくる
主題歌明けは、元番頭・又八を引き抜いた天野屋に上得意(常得意でないと推測)を次々と取られる北村屋の図。そこへ、嫌味を言いに天野屋の女将が又八と一緒にやって来る。それに腹を立てる啄子の直後に人形浄瑠璃の「山姥(やまうば)」が1カットだけインサートされるが、これ一体どんな意味があるのだろうか?
因みに、人形の口が急に耳まで裂けて、金色の歯が光り、目玉がひっくり返って金目となり、髪の中から金色の二本の角を出すことを文楽では「がぶ」と言う。では話を戻そう。
撮影段階では編集まで考えられて演出されていない
実際の構成はこうなっていた。天野屋が帰って「作り笑顔の啄子が無表情になりてんを睨み付ける→人形が山姥に→慌てた表情で塩を取りに行くてん」と。
これ、最初に啄子が作り笑顔から一度無表情になって、てんの方を向いた時に改めて啄子が「山姥」みたいに口角を上げて、てんを睨み付けた直後なら、インサートも生きるし、「山姥」の直後のてんが笑っていたら「てんの想像」と言う意味を持つから、てんが「笑い上戸」と言うのも表現できたのに。
結局、「撮影段階では編集まで考えられて演出されていない」と言わざるを得ない。脚本も行き当たりばったりならば、演出も同じと言うこと。それがこの「山姥」の1カットで見えてしまった。もちろん、私の顔も「山姥」みたいになったのは言うまでもないが…
従業員の提案に、啄子が反対するのはおかしくないか?
さて、今回もおかしなことが幾つか起こるが、最初のおかしな場面が4分過ぎにあった。天野屋が帰った後に従業員の佐吉と豆蔵がこんな↓ことを言う。
佐吉「噂では 一等米に安い米をぎょうさん混ぜて
うちの半値で売りさばいてるとか」
豆蔵「うちらも そないしたら どうですやろ」※佐吉の台詞かも?
啄子「北村屋の のれんにかけて そんな事はできまへん」
ここでおかしいのは、啄子が否定すること。よーく考えてみよう。まず、先日に又八は藤吉に「悪かろう安かろうの米を売る店」と言ったのは確か。そして、店が傾いた理由は、藤吉の父、啄子の旦那の借金の返済と啄子が藤吉に言ったのも間違いない。従って、店の経営難に元番頭の又八は無関係と言うことになる。
好意的解釈しても、啄子の言動は矛盾だらけ!
となると、ここで矛盾が生じる。北村屋は又八の証言から「悪かろう安かろうの米を売る店」なのは明らかで、そのことを女将の啄子が知らないはずがない。だとすると、啄子の指示で「悪かろう安かろうの米を売る店」になったのと考えるのが順当だ。なのに、啄子は従業員の提案を拒んだ。これ、一体どう言うこと?
超好意的な脳内補完をすれば、又八は売り上げを伸ばすために、庶民向けの一部の低等級の米にだけ「更に悪かろう安かろうの米」を調合して売り、儲けを出していた。しかし、その事は啄子には内緒で行われていたと言う解釈だ。ただ、又八は儲けを出していたのは確かなのだから、やはり啄子が知らないと言うのは合点がいかない。
藤吉がやっているのは「仕事」でなく「大博打」では?
さて、今回最大のおかしなくだりが、11分過ぎから本格化する。前回で「店を立て直す」と大見得を切った藤吉は、前回の終盤で米を乗せた荷車を曳いて新規客を探していた。しかし、前回のラストで吉蔵とキースに再会し、今回の11分過ぎに再びシーンが繋がった。
キースが持ち掛けて来た儲け話で、一山当てて店の借金を帳消しにしようと目論む藤吉だが、これって仕事?「ちゃんと仕事をする」と啖呵を切った藤吉のやっていることは、明らかに仕事で無くて博打だ。それも大博打。お世辞にも投資とは言い難い。だって、キースはお調子者で信用できない男なのだから。でも藤吉はこの話に乗っかってしまう。
今の藤吉が一番やってはいけないこと=仕事をしないこと
これ、今の藤吉に対して一番やってはいけない描写なの。なぜか?だって、この度の「店を立て直すこと」は、「藤吉が北村屋の一人前の主として啄子に認められるか?」と、もう一つのここが肝心ね。「藤吉のてんへの愛情の深さや真剣さが試されること」の直接的表現だから。
言い換えれば、藤吉がしっかりと仕事をしている姿を視聴者に提示なければ、仕事のことはもちろん、「おてんちゃんへの気持ちもその程度かよ!」ってことになる訳だ。でも、仕事は全然していないよね。これまでも今も。それで良いのかな?いや、絶対に間違っていると思うぞ。
あとがき
連続ドラマなのに、毎回キャラは変わるし、言動に一貫性も無いし、各騒動に整合性も無い。ラストのナレーションでは「店を立て直すこと」が「男の意地」と書き換えられ、「仕事をせずに大博打をしようとすること」が「あらぬ方向」と訳されました。藤吉の “てんへの気持ち” は「男の意地」と言う解釈で良いのでしょうかねぇ。
また、先日も少し触れましたが、NHK受信料制度の合憲性が争われた訴訟の最高裁での上告審で、NHK側は「豊かで良い番組を放送するために受信料は不可欠だ」と述べました(情報源)。一体、最近の人気作の寄せ集めみたいな『わろてんか』のどこが「豊かで良い番組」なのでしょうか。皆さんは、どう思われますか?
最後に。前回が嫌がらせみたいな構成の感想だったにも関わらず、74回ものWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございました。冒頭で、今週末までの流れは「妄想」したので、残りの4回分の感想は週明けにまとめて書こうかな?そう思ってしまう位に、雑な朝ドラですよ。そして、明日から2か月目突入です。
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