わろてんか (第16回・10/19) 感想

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第3週『一生笑わしたる』
『第16回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
婿を取って藤岡屋を継ぐ身のてん(葵わかな)と米問屋の跡取り息子の藤吉(松坂桃李)の恋は許されるはずもなく、儀兵衛(遠藤憲一)は店から藤吉を放り出し、てんを蔵に閉じ込めてしまった。てんは笑顔を見せなくなり、しず(鈴木保奈美)が食事を持ってきても一切手を付けない。だが藤吉が夜な夜なこっそりと来て蔵の外から声をかけると、てんに笑顔が戻る。その様子を目撃した風太(濱田岳)は藤吉を追い払うことにした。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
謝る時は "半笑い" で、驚くと "困り顔" は明らかな矛盾
もう、アバンタイトルから良く分からん。冒頭、怒る儀兵衛の足元に走り込んで跪(ひざまづ)くてんは、明らかに “半笑い” だ。これは “笑い上戸” と言う、今や脚本家も演出家も視聴者さえも忘れかけている主人公の設定だから、シチュエーションとしては不自然だが、てんとしてはこれで良い。
しかし、儀兵衛の「全員を座敷に引っ立てい!」の直後のてんのアップは、“困り顔” になっている。おかしいよね。謝る時が “半笑い” で驚くと “困り顔” と言うのは。明らかに矛盾しているし、統一性もない。だから、始めから “笑い上戸” なんて設定は止めて “お笑いが好き” 程度にしておくべきだったのだ。
儀兵衛は「なぜ怪我人を医者に診せない!」と叱るのが筋
主題歌明けも、良く分からん。関係者全員を集めた席で儀兵衛が、前回の感想で私の逆鱗に触れた、「思い半ばでこの世を去った兄の代わりに薬屋の後継ぎを宣言した主人公が、今なら救急車を呼ぶような怪我人を、不潔な蔵にかくまう」と言う部分について一切言及せず、こんな↓ことをおっしゃった。
儀兵衛「事情あれ 男を蔵に囲うなんやなんて
婿を取って家を継ごういう者が
恥ずかしい思わんのか」
確か、儀兵衛と言う男は「命に関わる仕事だから笑うな」と言う程に、薬問屋と言う職業に誇りを持っているはず。だとしたら「事情あれ」ではなく、「なぜ怪我人を医者に診せない!」と叱るのが筋では?
もちろん、この↑部分をバッサリと端折った理由は、何が何でも物語を “恋バナ” に舵を切りたいからに違いない。本当、強引だ。
あり得えへん! ジュリエッタのバルコニーと蔵を重ねとるぞ!
↑の見出しが、不慣れな関西弁もどきになる程に驚いた。強引な脚本家の思いが、この↓ナレーションで先走って解説しちゃった。何?「悲恋」「叶わぬ恋」「引き裂かれた恋」をこれから始めようとするらしい。それだけでも不自然なのに、ナレーションでハッキリと『ロミオとジュリエット』と言ってしまうのが本作の愚かさ。
N「この時代 商家にとっては跡取りの長男 長女の結婚はおろか
淡い恋心でさえ 許されるものではなかったのです。
ああ まるで ロミオとジュリエット」
そして恐ろしい映像が、7分過ぎに画面に映し出された。儀兵衛の言いつけで、蔵で反省させられたてんの所へ、藤吉がやって来た。それもどこかから梯子を持ってきて蔵の高い窓から顔を覗かせて…もう、こうして見ていない読者さん向けに、描写しているだけでイライラしてくる。※読者さんのせいではありません。
まさか、藤岡家の蔵と、ジュリエッタの家のバルコニーのあるレンガ造りのファサード(建物の正面)重ねているとか?あり得ない!自作をどうしても構わぬが、名作を汚すのだけは勘弁して欲しい。それ以前に脚本家は、こんなシーンで名作を模して恥ずかしくないのか?もしかして書きながら笑っているかもしれないが…
「ぎょうさん もいでくるわ」と一言多いからイラッとなる
最近は実生の柿でも甘柿の割合が増えていると、元農業総合センター園芸研究所所長の義父から聞いたことがあるが、劇中の当時はまだまだ渋柿の割合が多かったのでは?なのに、同時に2つとも甘柿と言うのも都合良過ぎる!と言ったら可哀想か?それに、季節柄で柿を使いたかったのも分からなくもない…
が、しかし、「ぎょうさん もいでくるわ」とまで言わせてしまうと、脚本家も演出家も渋柿と甘柿の割合を調べたの?と言いたくなる。
脚本家も演出家も匙を投げたからナレーションがここまで煽る?
まあ、これでも蔵のシーンで終わってくれれば良いものを、最後の数秒にまたとんでもなく不快で煽るこんな↓ナレーションを突っ込んで来た。片思いのお嬢様のてんを思い過ぎてなのか、寝ている藤吉の胸倉を徐に掴んで「起きんかい!」と、鬼の形相で睨み付ける風太のアップに被せて…
N「いよいよ 男と男の対決。いえ 果たしでしょうか?」
特に不快だったのは、「果たしでしょうか?」の部分の語尾に向かって、笑って楽しみにしているような口調に演出されていたのこと。不快と言うかここまで煽るか!と言う感じ。物語の辻褄が合わないからと、ナレーションで無理矢理に煽るのは、脚本家も演出家も既に匙(さじ)を投げたとしか思えない。
あとがき
蔵の外と中で、てんと藤吉の運命や思いを台詞で言わせていたが、台詞で言わせても意味がないの。きちんと映像で見せないと。でも、今後本作を見続けるためには、今回の2人の会話を受け入れた上に、第1週からの物語も受容しなくてはいけません。うーん、出来るかなぁ。
結局、今回が終わった時点でも、2人の人物設定も関係性も良く分からないので、感情移入できません。なのに、脚本も演出も、視聴者が好意的に感情移入をし、共感している前提で作っているので不快感や違和感になる訳です。雑にも程があると思いますよ、ホント。
最後に。前回の私の堪忍袋の緒が切れた感想に 93回ものWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございます。応援コメントと同時に「離脱しました」のコメントも届くようになりました。テレビは見なくても当blogは読んで下さるのは大変嬉しいです。でも、本当は一緒に番組を見ながら笑ったり泣いたりしたいです。と言う意味を込めて、もうしばらく応援してみます。
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