わろてんか (第10回・10/12) 感想 ※追記あり

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第2週『父の笑い』
『第10回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
てん(葵わかな)を窮地から救ったのは、偶然にも見合い相手の伊能(高橋一生)だった。藤吉(松坂桃李)への思いを断ち切るため大阪に来たと正直に話すてんに、伊能は大いに興味を持つ。儀兵衛(遠藤憲一)は大阪から戻ったてんを蔵に閉じ込め、藤吉からもらった手紙を全て燃やしてしまう。藤岡屋の経営危機を知った取引先が次々と店に押し掛け騒ぎになる中、懸命に対応していた新一(千葉雄大)が持病のぜんそくで倒れた。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
風太があそこにあのタイミングでいるのは、都合が良過ぎる
前回も書いて恐縮だが、真実だから書いておく。、毎朝感想を書くのが億劫になって来た。「なら、止めろ」の声が聞こえてきそうだが、止める止めないは自分で決めるからお構いなく。で、お構いなくとは言えないのが風太だ。
前回の終盤のナレーションで「えっ… 都合がよすぎる?」と言って登場した伊能だが、彼は大阪にある「伊能薬品」の社長の息子だから、まず大阪にいること自体、前回でてんが単独で迷わず京都から大阪まで来たよりはずっと自然。それこそ、てんの窮地に偶然遭遇したことこそドラマだから、全く問題ない。
しかしだ。風太があそこにあのタイミングで到着するのは、都合が良過ぎるのを超えてやしないだろうか?だって、風太は一度てんの単独行動を許可して、「帰って来ない」と騒動になったら、京都からあのピンポイントに到着する展開はやり過ぎでしょ。てんがGPSスマホで位置情報でも発信していたなら話は別だが(苦笑)
"登場人物の設定の不明瞭さ" が徐々に広がる恐れが…
もう、アバンタイトルだけでどれだけ「駄目出し」をすれば良いのだろう。今回の風太があの場所に1人で来たことで、本作がドラマとして描くべきことを幾つも端折った。そのお蔭で、今の本作に最も欠けている “登場人物の設定の不明瞭さ” がじわじわと広がって行く恐れがあるのだ。
風太は丁稚、トキは女中の役割を果たしていない
まず、前回でも書いたが、てんが大阪行きを口にした時に、風太と女中のトキはてんに同行すべきだった。いや、本来なら「藤岡屋」の丁稚と女中だからてんを止めるべきだった。この時点で2人が丁稚と女中と言う役割を劇中で果たしていないことになる。
伊能が芸能文化に精通する人物であることを描かない
また、伊能は海外文化に精通し日本の文化や芸術にも豊富な知識がある人物設定(モデルを考えるとこうなるし、この直後に本人が「文化芸能全般に興味がある」と台詞で言う)だから、てんと伊能があの街で擦れ違いそうで擦れ違わないような演出を加えた上で、伊能が寄席や芝居や大道芸に見入る姿を入れるべきだった。
そうすれば、伊能が芸能文化に精通する人物であることが自然に視聴者に埋め込まれるし、どうせ今後にも描かれるのだからやっておくべきこと。そして、路地裏に行き着くのも、「(てんのことは知らなかったが1人の娘として)実は心配だったから」とすれば、至極普通ではないか。
少なくとも、風太とトキがてんに同行し、伊能が芸の街を散策さえしていれば、チンピラに絡まれるのを伊能が助けるくだりに一切の不自然さは無く、重要人物の1人の登場シーンとしても、藤吉初登場を遥かに超える印象的な場面になったに違いない。もったいないと言う以前に、なぜやらん!?
「お家の一大事」も儀兵衛と新一で丁寧に描くべきだった
感想がなかなか本題に入らなくて済まないが、やるべきことをやらないからつまらないくなっていることに、今描かれ中の「藤岡屋の一大事」も同じ。本来なら倉庫が全焼して銀行からも融資が止まり、娘を嫁に出すと言う戦略結婚で乗り切ろうと言うお家の一大事なのに、あたふたしているのは儀兵衛だけ。
この後に、そうこの火事の一件は何もなかったような展開になるなら構わないが、私なら家業の一大事を救うために娘を嫁に出す父の気持ちやら、後継ぎの兄・新一もしっかりと絡めたエピソードに仕立てた方が、面白味が出ると思うのだが、今回の中盤程度にさらりと描いて終わりか。もう一度書こう。もったいないと言う以前に、なぜやらん!?
てんは上から目線で人を採点するような女の子だったか?
アバンでこれだけ書きたいことがあったから、本編に入ったらどれだけあるかと思いきや、伊能とてんと風太のシーンは、前回の感想に書いた 本作の PRプロデューサー:殿村美樹氏の発言通りに、「伊能=五代」をあざとく狙った場面がだらだらと。その上、てんが突然こんな↓ことを言い出した。
てん「点つけさしてもろうたら満点のお人やったわ」
てん流に伊能を人物評価した台詞として書かれたのだろうが、少なくとも幼少期からのてんを見ていて、このような上から目線で人を採点するような女の子では無かったような。それも、あのどっちつかずの笑顔で言うから、ちょっと腹も立つし。どうやら、まだまだヒロインがどのような人物なのか定まっていないようだ。
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ここから追記
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【追記 2017/10/12 13:30】
文中の「PRプロデューサー 殿村美樹氏」は、『わろてんか』のPRプロデューサーではありませんでした。ご指摘下さった「名無しさん」ありがとうございました。
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ここまで追記
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まるで展開も表現も "「あさが来た」の粗悪コピー品" みたい
こう言う↓ナレーションもうんざりするね。
N「それこそが 儀兵衛が最も恐れていた事でした」
いかにも、「順序を逆にして盛り上がりを作りました」みたいなあざとい説明だ。これ、やはり順序がおかしいね。火事があって、家族や従業員で今後の対策を考えている内に、藤岡屋の外堀が埋められてしまい、伊能製薬からの結婚話が来て、それに悩む儀兵衛や新一や関係者、そして恋と家のどちらを選ぶか悩むてん。
これで良かったのでは?そして、普通に見合いの席で初めて伊能とてんが出会うと言う普通の流れで。まるで、展開も表現も “「あさが来た」の粗悪コピー品” みたい。なのに途中に全く笑えない「わろてんか?」を挟むから、余計に粗悪品に見えてしまう。これで、「藤吉=新次郎」となるのか、お手並み拝見だ。
あとがき
うーん。。。。。。このお家の一大事と藤吉への恋をヒロインが天秤にかけて苦悩、葛藤する…でドラマチックとするのは、脚本的に無理がありませんかね。藤吉の人間的な魅力も描かれず、ヒロインのてんの魅力だって見えて来ず、こんな状態で一番魅力が伝わっている儀兵衛と新一で、新一との別れを描こうとしてはダメでしょ。
益々、てんと藤吉が埋没するばかりですよ。そして、依然として面白くなる気配も吉本興業が出て来る気配もなく、“「あさが来た」の粗悪コピー品” が続く…。最初から期待値は低かったので驚きはしませんでしたが、それは個人的に主演女優さんを私が苦手なのが最大の理由であって、まさか、脚本が第1週目から躓くとは…
最後に。前回の感想に 69回のWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございます。 “「あさが来た」の粗悪コピー品” とは、少し言い過ぎましたかね。でも、制作者が狙っているのは確かな訳ですから、この仕上がりはどうかと思いますよ。出演者さんたちが気の毒になってきました。まだまだ様子見です…
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