わろてんか (第9回・10/11) 感想 ※追記あり

NHK総合・連続テレビ小説『わろてんか』(公式)
第2週『父の笑い』
『第9回』の感想。
※ 毎日毎日の感想なので、私の気分も山あり谷ありです。ご理解を。
※ また、称賛、絶賛の感想だけをご希望の方は読まない方が良いです。
倉庫の火事で外国から仕入れた薬が焼失し、藤岡屋は経営の危機に陥った。倒産を避けようと儀兵衛(遠藤憲一)は、てん(葵わかな)と伊能製薬の次男(高橋一生)との縁談を一気に進めようとする。てんは藤吉(松坂桃李)に会って自分の気持ちに整理をつけようと大阪へ向かうが、藤吉を見つけられず途方に暮れてしまう。そんなてんを怪しい男たちが路地に誘い込み、てんの大ピンチ!だがそこに、もう一人の男が現れて…。
---上記のあらすじは[Yahoo!テレビ]より引用---
「銀行」のテロップも無し、「強引に洋薬へ」も初耳では?
もう、継続視聴するの、しないの以前の問題で、毎朝感想を書くのが億劫になって来た、それが今回の15分間を見て感じた素直な感想だ。先程、前回の録画を見直したが、前回のラストでは番頭の平助が「神戸の薬品倉庫が全焼した」と言う電話を受け、てんはそんなこともつゆ知らず藤吉への気持ちが恋なのか悩んでいた。これで終わり。
今回のアバンタイトルでも、その電話のシーンは使われていた。なぜ私が録画を見なおしたのかと言うと、その後の儀兵衛の土下座の直談判の相手が誰かが分からなかったから。私が見落としているなら教えて欲しいのだが、この紳士誰?台詞と小道具に書いてある「京都東銀行」から、その関係者であることは容易に推測できるが…
普通、儀兵衛の土下座の顔のアップに行く前に、その後に使われる俯瞰の銀行員と儀兵衛のカットの下に「京都東銀行○○室」のテロップで入れるべきでは?更に銀行員がこんな↓ことを言っていた。
銀行員「何で そな強引に洋薬への転換を…」
あの~、儀兵衛が洋薬に興味を持っていると言うところまでは、第1週のドイツ人一家のくだりでチラリと描かれたのは認めるが、その後「強引に洋薬への転換」なんて描かれた記憶は無いのだが。描いていないことをあったように書く脚本、視聴者に提示すべきことを提示しない演出。両者、仕事が雑にも程がある。
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【追記 2017/10/11 16:50】
↑上で “強引に洋薬への転換」なんて描かれた記憶は無いのだが” と書いたのだが、何となくムズ痒いから数話前から録画を見直してみた。すると、第1週の『第5回』で、新一が薬問屋の後継ぎの話だけでなく、日本の薬業界の先駆者になりたいと言うくだりに行き着く理由として、洋薬を積極的に仕入れているような表現があった。
しかし、やはりと言うべきか、その後は洋薬を積極的に仕入れていると言う描写は見当たらなかった。でも、これでまた私には辻褄が合わない事柄が出来てしまった。そう、藤吉とてんとの手紙のやり取りが “約8年間” あったような描写があったから、先の『第5回』から今回までは8年前後の時間は経過したはず。
と言うことは5年以上は前に、藤岡屋は「洋薬への転換」を始めており、それがそれなりに成功を収めていたから、これまで銀行が融資していたと考えるのが自然では?だとすると、今回の銀行員の「何で そな強引に」の台詞に辻褄が合わない。だって、銀行は藤岡屋の経営計画を知って融資しているはずだから。
まあ、私も加齢により最近忘れることが多いが、脚本家は数話前に書いたこととの辻褄合わせを忘れては困る…と忘れん坊の私が敢えてお願いしたい。
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「薬品倉庫が全焼した」のを家族全員は知っているのか?
次の家族会議の演技指導と芝居も不可思議でならない。稼業の薬問屋の仕事をすべて儀兵衛1人でコントロールし、家族は何も知らないと言う設定であれば、何の問題も違和感もない。しかし、これまでを見ていれば、儀兵衛が “ドイツ人一家のくだりで、家族を仕事に巻き込んでいる” のは明らかだ。
だとしたら、「神戸の薬品倉庫が全焼した」の事実も家族全員が知っているはず。そして、先日の見合い話が「戦略結婚」の意味も持つことも理解している家族はいるとしないと不自然だ。さて、ここからが違和感探しだ。誰が「儀兵衛が結納を急がせた真相」を理解しているように見えただろう?
「倉庫が全焼」を知っているのは新一だけに見えたが…
私の目には、完全に理解しているのは兄の新一だけ。祖母・ハツはどっちもどっち。あとの4人は完全に気付いていない “芝居” になっていた。これ、どうなのだろう?母・しずと従弟の風太は気付いている “芝居” でないと、「家族」の体を成していないと見えてしまうのだが。俳優に罪は無い。悪いのは雑な演技指導なのだから。
そして、更に全く場に似つかわしくない “コケ” を入れるから、ハツの “どっちもどっち” が完全に「当主が決めた事」だからとなってしまった。一体、脚本家は「藤岡家」と言う家族を真面目に描こうと言う気があるのか?3分間もの長尺のアバンタイトルで本作の雑さがまたまた露呈しまくった。大丈夫なのか?本作は…
新一は、"藤岡屋の窮地" を察知した方が自然では?
新 一「お父はん!何がありましたんどすか?」
儀兵衛「お前には関係ない事や」
しかし、残念ながら主題歌明けに新一も何も気付いていなかったことが判明。更に「藤岡屋」が経営の窮地に追い込まれているのを知るのは儀兵衛と番頭くらいと言うことも判明した。新一は家業を継ぎつつもっと大きな世界を目指している設定で無かったのか?そんな男がこの窮地に気付かない…。まあ、いいや。
"てんごのてんちゃん" だから、てんは単独行動したの?
プロの脚本家相手にこんな言い方はしたくはないが、“これぞ雑の極み” と言わざるを得ない「強引極まりない展開」がついに訪れた。おいおい。早速、てんは “てんごのてんちゃん=いたずら好きだけど周囲を明るくする子” だから、たった1人で京都から大阪へ行っちゃったってこと?
だってね、考えてみて欲しい。現状は、まずヒロインがどんな人物なのかが中途半端なのね。その上、藤吉の言動も良く分からないよね。そして、てんと藤吉の関係なんて藤吉から一方的に(嘘の)手紙が送られてきたと言うだけで、どんな関係なのかイマイチどころか全く分からない。
更に、てんが見合い相手や結納をどう思っているのかも描写されずに、突然に大阪へ行く?それもお嬢様が単独で?
自宅から迷わず直行したようにしか映っていなかったが?
脚本も強引なら、演出は負けずに雑さを全開。てんの大阪到着が8分40秒位。大阪の街を楽しそうに見て歩くてんの描写があって、9分20秒くらいに、てんの「あっ、これや!」の台詞に続いて耳を疑うこの↓語りが入る。
N「そして ようやく 藤吉の手紙にあった
南北亭にたどりついたのです。
あの~、「ようやく(字幕では平仮名表記だった)」とは、私の拙い国語の知識画は「時間や手数がかかった後に、待っていたことが実現するさま」と言う意味なのだが、てんの描写に「時間や手数がかかった後」と言う雰囲気が漂っていただろうか?私の家のテレビには自宅から迷わず直行したようにしか映っていなかったが。
アバンの銀行のテロップ同様に演出が雑だよね。1カットで良いから、南北亭の目の前でも良いから、大道芸人に「南北亭はどこにありますの?(関西弁の正誤は無視して頂いて)」と聞いて「目の前や」と言われて大笑いする位の演出はするべきでは?一体、てんのどこが笑い上戸なのか?脚本家は忘れたのか?
風太や女中のトキが一緒で迷子にならないと超不自然!
そして、南北亭を探すシーンは一切無いのに、藤吉を探すシーンはだらだらと撮影&編集。そして、まさかの単独行動でてんが迷子。これが、事情を知る風太や女中のトキがお嬢様に協力した挙句に迷子になるなら、百歩譲りつつ超好意定期な脳内補完で「藤吉に会いたい一心で」と捉えることも出来なくもないが。
流石に、単独行動で迷子は強引過ぎる。そして、迷子のてんに目を付けた風体のよろしくない輩がてんを路地裏に連れ込んで…そこへ、まるで正義の味方のように白装束を身にまとった見合い相手の伊能さまが登場。何故かアクションシーンだけは演出に異常に力が入っていると言うありさま。流石に失笑してしまった。
「わろてんか」と言わんばかりの描写で、全く笑えない!
そして最後のこの↓語りと、倒された若造のカメラ目線の演技で、更に失笑。
N「えっ… 都合がよすぎる?
いえいえ これがロマンスというものです」
本作って、“笑い” をテーマに、吉本興業の創業者・吉本せいの人生をモチーフに、天真爛漫なヒロインがお笑いをビジネスにしていく奮闘ぶりを描く作品でないの?それがこんな “笑い” で良いのか?
いや、その「笑い」には、「泣き笑い」「照れ笑い」「悔し笑い」「思い出し笑い」「あいそ笑い」等、これからヒロインが体験・経験していくいろいろな「笑い」が含まれているのは分かっているが、とにかく表面的に「わろてんか」と言わんばかりの描写が全く的を射ていないのはどうしようもない。何とかならないものだろうか?
「藤吉=新次郎」「伊能=五代」をあざとく狙うらしい…
本作の PRプロデューサー:殿村美樹氏が、以前このように↓語っている。
「あさが来た」を連想させる登場人物
http://www.yomiuri.co.jp/entame/ichiran/20170927-OYT8T50032.html?page_no=4
最近の朝ドラといえば、ヒロインの脇を固める男性陣も重要です。「わろてんか」に出演する顔ぶれは、「あさが来た」のキャラクターに重なる一面を持ち合わせています。
・松坂桃李さんが演じる芸人の夫・北村藤吉
⇒「あさが来た」で玉木宏さんが演じた芸事の好きな夫(白岡新次郎)
・高橋一生さんが演じる青年実業家・伊能栞
⇒「あさが来た」でディーン・フジオカさんが演じた五代友厚
それぞれの役柄も雰囲気も、実によく似ています。もしかしたら「わろてんか」は「あさが来た」を連想させつつ、物語を二転三転しながら、視聴者を惹きつける作戦なのかもしれません。
上で引用したPRプロデューサー:殿村美樹さんの『NHK朝ドラ「わろてんか」はホンマ笑えるか?』を全文読むと、何とも浅はかなことを狙い過ぎながら、本作が作られているのかと落胆してしまった。 ※落胆したくない方は、読まないのをお勧めする。
NHK朝ドラ「わろてんか」はホンマ笑えるか? : エンタメ : 読売新聞
http://www.yomiuri.co.jp/entame/ichiran/20170927-OYT8T50032.html?page_no=1
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ここから追記
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【追記 2017/10/12 13:30】
文中の「PRプロデューサー 殿村美樹氏」は、『わろてんか』のPRプロデューサーではありませんでした。ご指摘下さった「名無しさん」ありがとうございました。
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ここまで追記
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あとがき
脚本も演出も過不足が滅茶苦茶ですね。「さあ、笑え!」の部分は過剰にやってはいますが笑えません。倉庫全焼やてんの大阪までの足取りなどは、完全に説明不足。あと、てんが「笑い上戸で周囲を明るくする女の子」でなく、「能天気で緊張感のない女の子」に見えています。
『あさが来た』を意識しているのなら、「あさ」の爪の垢を煎じて飲ませたら?と思います。薬問屋だけに…(苦笑)
最後に。前回の感想に 59回のWeb拍手と、たくさんの応援コメントを頂き、ありがとうございます。前回のあとがきで書いた通りに、高橋一生さんが登場したら、益々藤吉が埋もれてしまいましたね。てんと結婚することになる登場人物なのに…。
番組があざとく騒動を作ったお蔭で、流石の朝ドラの御用記事も『「わろてんか」8話。視聴率は下降、魚と恋と手紙と倉庫は炎上、笑えない展開に』と書かざるを得ない本作。でも私は、このまま様子見を続けます…。少しだけ応援したくなって来たので…
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★本家の記事のURL → http://director.blog.shinobi.jp/Entry/10540/
【これまでの感想】
第1週『わろたらアカン』
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第2週『父の笑い』
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