映画「僕のワンダフル・ライフ(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし

なお、原作である W・ブルース・キャメロンの小説『野良犬トビーの愛すべき転生』 (新潮文庫)

ディレクター目線のざっくりストーリー
野良犬として生まれたゴールデンレトリバーの子犬ベイリーは、少年イーサンに命を救われた。ベイリーは、飼い主のイーサンを慕い、1人と1匹はいつも一緒にいて、喜びも悲しみも分かち合い、強い絆を育んでいた。しかし、犬の寿命は人間よりも短く、ついにベイリーが旅立つ日が来てしまう…
…はずだが、ベイリーのイーサンへの愛は不死身だった。ベイリーは、イーサンに会いたい一心で、何度も何度も犬種や性別を変えて、生まれ変わりを繰り返すが、なかなかイーサンに会うことが出来ない。そして3度目の生まれ変わりで、中年となったイーサンと再会を果たしたベイリーは、自らの “重要な役割” に気付き―
飼い主の幸せのため、何度も生まれ変わる犬の感動物語
飼い主の少年と固い絆で結ばれた犬が、転生を繰り返し再会しようと奮闘するハートフル&ファンタジー映画が『僕のワンダフル・ライフ』だ。W・ブルース・キャメロンのベストセラー小説を、『HACHI 約束の犬』や『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』など犬映画を得意とするラッセ・ハルストレム監督。
主人公の犬ベイリーの声を『美女と野獣』や『アナと雪の女王』でオラフを演じたジョシュ・ギャッドが担当。若き日の飼い主イーサンをK・J・アパが好演している。
犬も、飼い主と共に人(犬)生を過ごしている風景がいい
実は、私は動物全般が苦手で基本的にこの類の作品は遠慮してきたのだが、何故か劇場で見た予告編に心を惹かれて鑑賞。犬のベイリーが命を救ってくれた飼い主イーサンと輪廻転生する理由が「イーサンを幸せにしたい」ためと言うのが泣けてくる。
しかし、本作は飼い主と犬の魂の再会を描く動物ファンタジーではない。序盤では、少年から青年時代の飼い主が体験する、家庭や恋愛の問題や、将来の夢や辛い挫折などの “日常” が丁寧に描かれ、それを一番近くで見ている犬との絆が深まって行く過程も優しく描かれ、犬も飼い主と共に人(犬)生を過ごしている風景がいい。
アメリカ文化と人間が移り変わる中で、不変の犬の愛を描く
また、50年間で3度の輪廻転生をする犬の視点を通して、当時のクルマやカーラジオから流れる音楽、服装や食事などからアメリカの60年代からの時代の変遷を見ることが出来るのも楽しい。とにかく、本作はただの泣ける映画ではない。アメリカ文化と人間が移り変わる中で、不変の犬の愛を描いた重厚な映画だ。
でも、決して堅苦しい映画ではない。全体的には軽快なトーンで、押しつけがましいことのない、感動作になっている。
声優の感情豊かな演技が飼い主への一途な愛を見事に表現
面白いのは、ゴールデンレトリバー → シェパード → コーギーと転生して、犬種も性別も変わるのに、魂は最初のベイリーのままと言うところ。その表現は『アナと雪の女王』でオラフを演じたジョシュ・ギャッドの声がずっと同じであることで描かれる。
若干喋り過ぎで賑やかではあるが、声優の感情豊かな演技が、飼い主への一途な愛を更に表現しており、日本語字幕版で見た甲斐があった。
健気で可愛い犬たちの名演技にも魅き込まれる
終盤で、少年時代の飼い主を知っているからこそのベイリーが、自らに課せられた “ある重要な使命” を果たす場面では、ベイリーの奮闘に手に汗握る。また、再会を果たした中年になった飼い主とベイリーだが、飼い主は目の前の犬の中身がベイリーと気付かないため、何とか気付かせようと頑張るベイリーへの応援に気が入る。
とにかく、動物が苦手な私が「ペットを飼う人」の気持ちと「飼い主と暮らすペット」の2つの思いに感動し、久し振りに涙腺決壊寸前だったから、犬好きはもちろんのこと、ペットを飼っている人なら、健気で可愛い犬たちの名演技に魅き込まれるに違いない。
あとがき
飼い主と、親友として喜びを分かち合い、悲しみや孤独を癒し、恋のお手伝いまでする犬が、“人間より寿命が短い” と言う運命の中で転生を繰り返すことで、更に “1人と1匹の強い絆” が強まり、犬の人間への一途な無償の愛を描いた感動作です。死の描き方も怖さや悲しさや悲壮感を重視せず “死=日常” としてアッサリと描かれるのもワンダフル。心落ち着く秋におすすめの「犬の魂の旅の物語」です。
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